J1・J2入れ替え戦は13日、ヤマハスタジアムで第2戦が行われ、J1・16位のジュビロ磐田がJ2・3位のベガルタ仙台を2−1で破り、J1残留を決めた。磐田は第1戦でもゴールを決めたMF松浦拓弥が2得点の活躍。仙台は粘ったが6年ぶりのJ1復帰はならなかった。

ジュビロ磐田 2−1 ベガルタ仙台
【得点】
[磐田] 松浦拓弥(41分、70分)
[仙台] 梁勇基(89分)
 J1を3度制した名門のピンチを救ったのは19歳の新鋭だった。第1戦で貴重な同点ゴールを奪った松浦は、第2戦も前後半でそれぞれ1点ずつを奪い、降格を阻止した。

 第1戦のドローにより、勝ったほうに軍配があがる第2戦。立ち上がりから両者は激しいボールの奪い合いを繰り広げる。最初の大きなチャンスを迎えたのは仙台だ。前半24分、MF梁勇基の左クロスがゴール前をスルーし、ファーサイドに流れる。そこへフリーで飛び出したのがFWナジソン。第1戦で先制ゴールをあげたブラジル人に期待がかかったが、その右足は枠をとらえられなかった。

 決定機を逃し、流れは徐々に磐田へ傾く。サイドを起点にスペースを大きく活用し、前線へボールが集まるシーンが増えた。そんな前半41分、松浦が相手陣内でボールを奪い、仙台の選手を1人、2人とかわして、右サイドのFW前田遼一へ預ける。前田が低いクロスを入れると、ゴール前にそのまま駆け込んだのは松浦。胸で合わせてゴールネットを揺らした。磐田は絶好の時間帯に先制し、試合を折り返す。

 J1に上がるには点を獲るしかない仙台は後半に入り、ボールを次々と前へ放り込む。後半11分にはロビングのクロスをDF渡辺広大が頭で合わせるが、GK川口能活の正面を突いた。さらに24分には途中出場したFW平瀬智行のヘッドがゴール頭上を襲うが、これも川口がジャンプしてかき出した。

 ピンチを脱した磐田は一気のカウンターをみせる。直後の25分、MFの駒野友一の大きく蹴りだしたクリアボールに反応したのは松浦だった。「カウンターを狙っていた。いいボールがきた」。シーズン中にはわずか1得点だった若武者は相手のDFをもろともせず、ゴールへ一直線。右足を振りぬくと、ボールはゴール左へ突き刺さった。

 こうなると磐田のゲームプランは明確だ。しっかり守りを固め、人数をかけて点を奪いにきた仙台の攻撃をがっちりと受け止める。守護神・川口も時に飛び出し、時にゴール前にたちふさがって、得点を与えない。磐田2点リードのまま、時計の針は90分にさしかかる。

 ところがロスタイムに入って、情勢は一変した。仙台がPA左外からのフリーキックを得ると、梁の右足キックはゴール左上に吸い込まれ、1点差。同点に追いつけば、アウェーゴール差で仙台の昇格が決まるため、一気に試合はヒートアップする。

 残りのロスタイムは約1分。ゴールドのユニホームは磐田陣内で一斉に散らばり、最後の攻勢をかける。だが、磐田には最後の砦がいた。GK川口は前線でボールを持った仙台の選手に自ら飛びかかり、シュートを阻止。すぐさま立ち上がって、こぼれ球を狙った相手のキックもゴールの外へはじき出す。日本代表で数々の危機を防いできた男が、ここでも神がかり的なプレーをみせた。

 ラストワンプレーが明暗を分け、入れ替え戦は磐田が歓喜の瞬間を迎えた。出場機会はなかったが、大ベテランの中山雅史は「J1に残ったぞー!」とサポーターに向かって絶叫。「このギリギリの戦いを優勝争いでやりたい」と来季の巻き返しを誓った。試合後、退任を発表したハンス・オフト監督は「今季はジェットコースターのようなシーズンだった。たくさんのミスがあった。しかし、このチームはミスから学べるチームだと思っている」と強豪再建へエールを送った。

 2005年からスタートしたJ1とJ2の入れ替え戦は今シーズン限りで終了。J2が3クラブ増加し、各ディヴィジョンが18クラブずつで争われる来季はJ1下位3クラブとJ2上位3クラブが自動的に入れ替わる。