2009年は南アフリカW杯アジア最終予選が佳境をむかえる。日本代表のここまでの成績は2勝1分けの2位。3連勝でトップに立つオーストラリアとの勝ち点差は2だ。3位以下はカタール、バーレーン、ウズベキスタンと続く。昨年11月に行われた第3戦カタール戦は敵地での戦いながら3−0で圧勝している。グループ2位までW杯出場権を獲得できるだけに、この勝利で南アフリカへの道は大きく開けたと言っていいだろう。
(写真:岡田監督には予選突破以上の成果を期待したい)
 最終予選のスケジュールを見てみると、山場は6月の3連戦ということになる。最終戦はオーストラリアとのアウェー戦だ。仮にこの時点で2位以内を確定させていなければ厳しい戦いになることが予想される。最終戦に臨む前に南ア行きの切符を手に入れておきたい。

 カギを握る試合は2月のオーストラリア戦、3月のバーレーン戦だ。ともにホームで行われる。ここで2連勝すれば、日本はグループ首位に立つだけでなく、3位との勝ち点差は少なくとも6にひらくことになる。残り試合数を考えれば、この時点でW杯出場に当確が打たれることになるだろう。

 早い段階で出場権を手にすれば、次のステップを見据えたチーム作りが出来る。もちろんそれは世界へ通用するチーム作りだ。岡田武史監督は就任から丸1年が経った代表チームについて「自分のコンセプトを叶えるチームまでは足りていない。まだまだダメだと思っている」と辛口のコメントを残している。

 代表の年明け始動は明日から行われる鹿児島での合宿だ。国内組を中心にDF石櫃洋祐(神戸)、MF谷口博之(川崎F)、乾貴士(C大阪)と初選出の3人を含むフレッシュな顔ぶれが招集されている。もはや日本にとってアジア最終予選通過は目標ではない。南アフリカで決勝トーナメントに進出する、つまり世界のベスト16に入ることが現実的な目標となる。2010年6月にどれだけその目標に近づけるのか、そのための1年半が始まっている。

<2009フル代表スケジュール>

◆1月20日(火)
AFCアジアカップ2011予選第1戦 イエメン戦(熊本)
◆1月28日(水)
AFCアジアカップ2011予選第2戦 バーレーン戦(アウェー)
◆2月4日(水)
キリンチャレンジカップ フィンランド戦(国立)
◆2月11日(水・祝)
南アフリカW杯アジア最終予選第4戦 オーストラリア戦(横浜)
◆3月28日(土)
南アフリカW杯アジア最終予選第5戦 バーレーン戦(埼玉)
◆5月下旬
キリンカップ 対戦国未定(会場未定)
◆6月6日(土)
南アフリカW杯アジア最終予選第6戦 ウズベキスタン戦(アウェー)
◆6月10日(水)
南アフリカW杯アジア最終予選第7戦 カタール戦(横浜)
◆6月17日(水)
南アフリカW杯アジア最終予選第8戦 オーストラリア戦(アウェー)
◆6月22日(日)
南アフリカW杯アジア3次予選第6戦 バーレーン戦(埼玉)
◆11月14日(土)
AFCアジアカップ2011予選第3戦 香港戦(ホーム、会場未定)
◆11月18日(水)
AFCアジアカップ2011予選第4戦 香港戦(アウェー)


ACL勢の敵は過密日程 注目クラブは大分と横浜FM

 今年度のJリーグは栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3クラブが加わり、J1・J2ともに18クラブが揃うことになる。04年から行われていた入れ替え戦は開催されず、J1下位3クラブとJ2上位3クラブが自動入れ替えとなる。開幕17年目のJリーグは成長段階で1つの節目を迎えた。

 07、08年と連覇を果たした鹿島アントラーズは、今年も安定した戦いぶりを見せるだろう。昨年は途中離脱した小笠原満男が復帰すれば、その強さに磨きがかかる。オズワルド・オリヴェイラ監督は3年目のシーズンとなり、選手の個性を十分に把握している。鹿島の不安要素を挙げるとすれば、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)とJリーグの過密日程が組まれている点。Jリーグ史上3連覇を達成したクラブはなく、初の偉業への意識も高いが、昨年準々決勝で敗退したACLへのモチベーションはより高いはず。仮に1つのタイトルに狙いを絞ることになれば、未だ勝てていないアジアでの戦いを優先するのではないか。

 鹿島の他にも、名古屋グランパス、川崎フロンターレ、ガンバ大阪がACLに挑む。昨年、アジアを制したガンバもJリーグでは8位止まりだった。各クラブとも「二兎追うものは一兎をも得ず」とならぬよう、国際大会と国内リーグのバランスのとり方が課題となるだろう。

 昨年度の上位陣が厳しい日程を理由に苦戦するとなれば、台頭しそうなクラブは大分トリニータと横浜F・マリノスだ。大分は昨年のヤマザキナビスコカップを制し、念願のビッグタイトルを手にしている。DF森重真人を中心にリーグ最小失点24と堅守を誇る。リーグ戦1試合あたりの平均失点は0.71、平均失点が1点を切るのは優勝した鹿島と大分の2クラブのみだ。6月から9月にかけてリーグ戦13試合負けなしと安定感も見せている。FW高松大樹やMF金崎夢生ら攻撃陣が奮起すれば、リーグ制覇も夢ではない。名将の呼び声高いペリクレス・シャムスカ監督の手腕にも注目だ。

 F・マリノスは昨年シーズン序盤から苦しんだが、シーズン途中、木村浩吉監督就任以降は8勝4敗6分け。一時は降格圏の16位まで下げた順位を9位にまで引き上げた。天皇杯でも14年ぶりのベスト4進出を果たし、チームの立て直しは成功している。昨年末に噂されたMF中村俊輔(セルティック)の復帰は白紙に戻されたが、DF中澤佑二の残留はほぼ決定しており大きな戦力ダウンもない。MF山瀬功治の復帰と明るいニュースもある。04年以降優勝から遠ざかっている名門だが、上位進出はおろかチャンピオンクラブに返り咲いても不思議ではない。

<2009Jリーグスケジュール>

◆2月28日(土)
ゼロックススーパーカップ(鹿島アントラーズ−ガンバ大阪、国立)
◆3月7日(土)
J1・J2開幕戦
◆3月25日(水)
ヤマザキナビスコカップ開幕
◆8月8日(土)
JOMO CUP(韓国)
◆11月3日(水・祝)
ヤマサキナビスコカップ決勝(国立)
◆12月5日(土)
J1・J2最終節

<AFCアジアチャンピオンズリーグ2009スケジュール>

◆グループステージ:【M1】3月11日(水)、【M2】3月18日(水)、【M3】4月8日(水)、【M4】4月22日(水)、【M5】5月6日(水)、【M6】5月20日(水)
◆ラウンド16:【西地区】5月27日(水)、【東地区】6月24日(水)
◆準々決勝:【第1戦】9月23日(水)または24日(木)、【第2戦】9月30日(水)
◆準決勝:【第1戦】10月21日(水)、【第2戦】10月28日(水)
◆決勝: 11月6日(金)または7日(土) @国立競技場(東京)

(大山暁生)