来る2月1日、NPBでは12球団が一斉にキャンプをスタートさせる。沖縄や宮崎、高知など気候に恵まれた地方でベテランも若手も、そしてルーキーも開幕1軍入りを目指し、約1カ月にわたって厳しいトレーニングに励む。新人全員を1軍キャンプに帯同させる球団もあり、今年も若手とベテランの熾烈なポジション争いや開幕投手争いなど、シーズンとは一味違う選手たちの勇姿が見られそうだ。
(写真:昨年の西武・南郷キャンプ、日本一はここから始まった)
〜パ・リーグ〜
【埼玉西武】
 昨季、6年ぶりに日本一に輝いた西武は投打ともに抜群の力を見せつけた。だが、課題がないわけではない。なかでもリーグワーストの失策数(98)を記録した守備の改善は連覇を達成させるには必須となる。キャンプではシートノックなど、徹底的な守備力強化が図られそうだ。
 また、前半にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場するため、松坂大輔(レッドソックス)が合流する予定だ。投手はもちろん、野手にとっても大きな刺激となる。さらに松坂同様、WBC出場が濃厚な涌井秀章、岸孝之のエース対決も見ものだ。松坂の後を引継ぎ、今季から背番号「18」を背負い、2年連続で開幕投手を狙う涌井。一方、昨季はその涌井以上の勝ち星(チーム一の12勝)を挙げ、日本シリーズでもMVPに輝いた岸も虎視眈々と開幕投手の座を狙う。普段はクールなイメージをもつ2人だが、ライバル&WBC出場のダブル効果で白熱したピッチングが見られそうだ。

<スケジュール>
○ A班(宮崎県南郷町中央公園) 2月1日(日)〜2月26日(木)
※ 休日=2月5日(木)、10日(火)、16日(月)、21日(土)

○ B班(西武第二球場) 2月1日(日)〜8日(日)
    (高知県立春野総合運動公園) 2月10日(火)〜24日(火)
※休日=2月4日(水)、9日(月)、14日(土)、19日(木)

【オリックス】
 昨季、9年ぶりのAクラス入りの原動力となったローズ、カブレラ、ラロッカに加え、今季はロッテ、西武、楽天で活躍したフェルナンデスが仲間入りする。4人が宮古島に顔を揃える2月中旬には沖縄の空に大量の大砲が打ち込まれそうだ。
 そして、特筆すべきは昨秋に続いて臨時コーチを務める日本人メジャーリーガーのパイオニアである野茂英雄の実践指導だ。昨秋には指導最終日に野茂自らがブルペンでピッチングを披露するという嬉しいサプライズも。果たして宮古島で伝家の宝刀フォークボールは見られるのか。

<スケジュール>
○ 1軍(宮古島市民球場) 2月1日(日)〜22日(日)
    (高知市東部球場) 2月24日(火)〜3月2日(月)
○ 2軍(宮古島・下地球場) 2月1日(日)〜22日(日)
    (宮古島市民球場) 2月23日(月)〜28日(土)
※休日(1、2軍)=2月4日(水)、9日(月)13日(金)、18日(水)、23日(月)

【北海道日本ハム】
 首位奪還を狙う日本ハムのキャンプでは、2年目を迎えた中田翔の1軍キャンプ帯同が決定した。さらに巨人から移籍した二岡智宏も右ふくらはぎの状態を見ながらではあるものの1軍に合流することとなり、二人のポジション争いが白熱しそうだ。
 また、前半にはWBCエース候補のダルビッシュ有の気迫のこもったピッチングが見られる。8日はシード打撃、中2日を空けての11日には阪神との練習試合で登板する予定だ。新人でただ一人、1軍帯同が決まったドラフト1位の大野奨太にも注目したい。

<スケジュール>
○ 1軍(名護市営球場) 2月1日(日)〜27日(金)
※休日=2月5日(木)、10日(火)、16日(月)、20日(金)、25日(水)
○ 2軍(沖縄・くにがみ球場) 2月1日(日)〜24日(火)
※休日=2月5日(木)、10日(火)、16日(月)、20日(金)

【千葉ロッテ】
 ロッテは今季限りで退団が決定しているバレンタイン監督をもう一度、胴上げできるのか。そのためには昨季リーグワーストの防御率4.14を記録した投手陣の再建が急務となる。開幕投手は渡辺俊介、小林宏之、成瀬善久、清水直行とエース級の投手たちが横一線で競い合うことになりそうだ。一つしかないイスを巡って、熾烈な争いが演じられることが予想される。また2年目の唐川侑己や3年目の大嶺祐太など若手の成長も期待したいところだ。
 野手では5年ぶりに国内復帰を果たした井口資仁のメジャーばりのバッティングは必見。早朝練習で若手を鼓舞するプランも掲げており、井口の加入がどんな影響をもたらすのかにも注目したい。

<スケジュール>
○1軍(石垣島マリーンズボールパーク) 2月1日(日)〜23日(月)
※休日=2月4日(水)、9日(月)、14日(土)、19日(木)
○2軍(鴨川市総合運動施設野球場) 2月1日(日)〜7日(木)
   (薩摩川内市総合運動公園) 2月9日(土)〜26日(火)
※休日=2月4日(水)、13日(金)、18日(水)、22日(日)

【東北楽天】
 球団設立以来初のAクラスおよびクライマックスシリーズ出場を目指す楽天は、今回も二人の右腕が開幕投手をかけて火花を散らす。昨季、MVPをはじめ最多勝利、最優秀防御率、沢村賞など主要部門を独占した岩隈久志と、今年こそは2ケタ勝利を挙げ、岩隈からエースのお株を奪いたい3年目の田中将大だ。両者ともにWBC出場が濃厚なだけに、本気モードでの競演が見られそうだ。
 新人ではドラフト1位の藤原紘通、同3位の井坂亮平、同4位の井上雄介の3投手が1軍スタートを決めた。岩隈、田中将の先輩らが不在の間に、首脳陣にアピールしたいところだ。

<スケジュール>
○1軍(久米島野球場、沖縄・ホタルドーム) 2月1日(日)〜21日(土)
※休日=2月5日(木)、10日(火)、16日(月)
○2軍(沖縄・仲里球場、沖縄・エアーテント) 2月1日(日)〜26日(木)
※休日=2月5日(木)、10日(火)、16日(月)、22日(日)

【福岡ソフトバンク】
 開幕前は優勝候補に挙げられながら、最下位に終わったソフトバンク。今季も斉藤和巳、新垣渚、大隣憲司が開幕に間に合うかは微妙だという。杉内俊哉、和田毅の両左腕は順調だが、WBC出場の可能性が濃厚なだけに若手の台頭が欲しいところ。
 その第一候補がドラフト1位の巽真悟。新人合同自主トレでも秋山幸二新監督に期待感を抱かせるピッチングを披露した。ケガに泣く投手王国の救世主となれるか。

<スケジュール>
○ A班(宮崎市生目の杜運動公園) 2月1日(日)〜26日(木)
※ 休日=2月4日(水)、9日(月)、13日(金)、18日(水)、23日(月)
○ B班(同上) 2月1日(日)〜3月2日(月)
※休日=2月4日(水)、9日(月)、13日(金)、18日(水)、23日(月)、27日(金)

〜セ・リーグ〜
【巨人】
 何と言っても、注目は大型ルーキーの大田泰示。既に原辰徳監督が勝呂壽統2軍内野守備コーチを専任にし、キャンプでノックの大雨を降らせるプランを明らかにしている。これに耐えられるかが、大田が開幕1軍入りを果たせるかどうかの判断基準ともなり、ファンにとっては目が離せそうにない。
 一方、投手陣にはOBからの貴重なアドバイスが送られる。広島、巨人で139勝をマークした川口和久が臨時コーチを務めることになった。川口は先発、リリーフともに実績があり、内海哲也や高橋尚成など先発の柱はもちろん、若手の左腕育成にも一役買う。

<スケジュール>
宮崎県総合運動公園 2月1日(日)〜25日(水)
※休日=2月5日(木)、10日(火)、16日(月)、20日(金)

【阪神】
 岡田彰布前監督からバトンタッチした真弓明信新監督が12球団一、過酷と言われる中日に劣らないハードスケジュールを敢行する。なんと、最終クールでは休日返上の8連勤が待っているのだ。「シーズン中にも8連戦がある」という新指揮官。その厳しい姿勢は昨季、最大13ゲーム差ありながら巨人に大逆転劇を許したチームを鼓舞する意味が込められている。1、2軍の入れ替えも激しく行なう予定だという。ベテランが目立つ主力に名乗りをあげるくらいの気骨のある若手の台頭が欲しいところだ。

<スケジュール>
○1軍(宜野座村野球場) 2月1日(日)〜17日(火)
   (高知・安芸市営球場) 2月19日(木)〜3月3日(火)
※休日=2月4日(火)、9日(月)、13日(金)、18日(水)、23日(月)
○2軍(高知・安芸市営球場) 2月1日(日)〜22日(日)
※休日=2月4日(火)、9日(月)、13日(金)、18日(水)

【中日】
 12球団随一の“サバイバルキャンプ”と言えば、中日だ。今年はスタートからいきなりの8連勤。その後は開幕後の6連戦に備え、6連勤が続く。12球団で唯一WBCに一人も送り込む予定のない中日のキャンプは、それこそ主力メンバーがズラリと顔を揃える豪華キャンプになりそうだ。
 特に外野のポジション争いは見もの。平田良介、社会人から鳴り物入りで入団したルーキーの野本圭、プロ4年目にしてスイッチヒッター転向を決めた藤井敦志といきのいい選手がズラリ。ベテランも若手もルーキーも「横一線」スタートが落合流。内野も含めて開幕スタメンに名前を連ねるのは誰か。

(沖縄・北谷公園野球場、沖縄・平和の森球場) 2月1日(日)=3月1日(日)
※休日=2月9日(月)、16日(月)、23日(月)

【広島】
 新球場元年を迎えた広島は12年ぶりのAクラス奪回を狙う。投手陣は昨季39歳のベテランながら8勝をマークした高橋建が去ったものの、15勝のルイスをはじめ、大竹寛、前田健太などが開幕投手を狙う。
 野手では11年ぶりの前田智徳が1軍キャンプ帯同となった。これは若手育成の一環。特に前田を尊敬してやまないドラフト1位の岩本輝裕(外野手)にとっては、技術を盗む絶好の機会となりそうだ。また、ドラフト3位・小松剛(投手)も1軍キャンプスタートを決めており、紅白戦などでの“同期対決”が見られるかもしれない。

<スケジュール>
○1軍(沖縄) 2月1日(日)〜12日(木)
   (日南) 2月14日(土)〜27日(金)
※休日=2月4日(水)、9日(月)、18日(水)、23日(月)
○2軍(日南) 2月1日(日)〜27日(金)
※休日=2月4日(水)、9日(月)、13日(金)、18日(水)、23日(月)
 
【東京ヤクルト】
 チーム再建のカギの一つには若手の台頭が挙げられるヤクルト。今季入団した新人7人のうち、1軍帯同は3人。ドラフト1位の赤川克紀(投手)、同5位の新田玄気(捕手)、そして育成2位の塚本浩二(投手)だ。特に塚本は育成枠ながらの大抜擢。果たして27歳のルーキーは首脳陣のお眼鏡にかなうのか。
 そして横浜からFA移籍した相川亮二が若手投手陣をキャンプからどう引っ張っていくのかもチームの今後を占う大事な要素となりそうだ。

<スケジュール>
○1軍(主に浦添市民球場) 2月1日(日)〜27日(金)
※休日=2月5日(木)、10日(火)、16日(月)、21日(土)、26日(木)
○2軍(主に東風平球場) 2月1日(日)〜13日(金)
   (主に宮崎・西都原運動公園野球場) 2月16日〜3月1日(日)
※休日=2月4日(水)、9日(月)、15日(日) 以降は未定

【横浜】
 昨季、5位・ヤクルトと19ゲーム差をつけられ、ダントツのリーグ最下位に終わった横浜。チーム再建には投打ともに若手の台頭が絶対条件とばかりに、新人5人を1軍キャンプに帯同する予定だ。特に俊足巧打のドラフト1位・松本啓二朗(外野手)は開幕スタメン入りが濃厚とされているだけに、キャンプでどれだけ首脳陣の信頼を得られるかが注目されそうだ。また、ドラフト3位の山崎憲晴(内野手)も広島に移籍した石井琢朗のポストを虎視眈々と狙っている。投手ではドラフト2位の藤江均が戦力としてみなされており、若手には大きなチャンスとなる。また、こうした若い息吹はベテランにとっては格好の発奮材料となる。加えて野口寿浩、ライアン・グリンなど移籍組を見れば、チームのかみ合い具合も分かりそうだ。

<スケジュール>
○1軍(宜野湾市立野球場) 2月1日(日)〜3月1日(日)
○湘南シーレックス(横浜ベイスターズ総合運動場) 2月1日(日)〜4日(水)
         (沖縄・嘉手納町野球場)2月6日(金)〜22日(日)
※休日=2月5日(木)、10日(火)、15日(日)、20日(金)、25日(水)