明日7日に開幕を迎えるJリーグ2009年シーズンは、栃木SC、カターレ富山、ファジアーノ岡山の3クラブが加わり、J1・J2ともに18クラブが揃うことになる。04年から行われていた入れ替え戦は開催されず、J1下位3クラブとJ2上位3クラブが自動入れ替えとなり、開幕から17年目のJリーグは成長段階で1つの節目を迎えた。
(写真:開幕戦の健闘を誓う鹿島・青木(左)と浦和・鈴木(啓))
 07、08年と連覇を果たした鹿島アントラーズは、今年も充実した戦力でJ史上初の3連覇を狙う。先日行われたFUJI XEROX SUPER CUPでは天皇杯王者のガンバ大阪を3−0と圧倒し、順調な仕上がり具合をみせている。シーズン途中には長期離脱中の大黒柱、小笠原満男が復帰する。そして、話題の大型ルーキー大迫勇也の活躍にも期待がかかる。オズワルド・オリヴェイラ監督は3年目のシーズンとなり、完全にクラブを掌握している。90年代後半に黄金時代を築いているが、あのころを彷彿とさせる陣容でシーズンのスタートを切る。

 鹿島の3連覇を止めるのは、どのクラブになるだろうか。対抗の筆頭に上がるのは、昨季2位の名古屋グランパス、3位の川崎フロンターレだ。

 名古屋は昨季の新人王、小川佳純がチーム浮沈の鍵を握る。今季から背番号10を背負い、名実ともにグランパスの中心となった。昨季よりもマークは厳しくなるが、得点力もある中盤だけに、Jの舞台で如何なく実力を発揮し、日本代表にも顔を出してもらいたい。ドラガン・ストイコビッチ監督も2年目のシーズンとなる。1年目のシーズンは攻撃的なサッカーを身上に、チームを見事に上昇気流に乗せた。昨季得点ランク2位のダヴィを札幌から獲得しており、玉田圭司と組む2トップはJでも随一の破壊力だ。昨シーズンよりも得点力の増した攻撃に注目したい。グランパスの不安材料は左サイドバック阿部翔平が故障で出遅れていること。日本代表にも呼ばれる阿部の早期復帰をピクシーも期待しているだろう。
(写真:今季も活躍が期待される名古屋・小川)

 川崎は鄭大世、ジュニーニョ、レナチーニョが組む強力3トップの得点力に期待したい。また、中盤の底を支える中村憲剛、谷口博之の攻め上がりも魅力だ。特に谷口は08シーズン、10得点と攻撃センスは抜群。2人の強烈なミドルシュートは相手守備陣にとって大きな脅威となるだろう。

 上記クラブにガンバを加えた4クラブは、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)と並行してJリーグを戦わなければならない。ACLがスタートするのはJ開幕直後の3月10日(火)から。シーズンが始まったと同時に過密日程に突入する。今年からACLは形を変え、東アジア・西アジアとグループリーグが分かれている。このことから、グループリーグから韓国・中国の強豪クラブとJリーグ勢が戦うことになる。移動距離の面では選手への負担は軽いだろうが、東アジア各国クラブの実力は侮れない。敵地でのプレッシャーも相当高いだろう。前年よりもタフさを求まられる戦いになるだけに、4クラブが順調に勝ち進むためには選手層の厚さやフィジカルのケアなど、クラブの総合力が問われることになる。

 ACL勢以外では、浦和レッズの戦いぶりに注目が集まる。昨季はシーズン序盤から流れに乗れず、ホルガー・オジェックとゲルト・エンゲルスの2人が監督の座を追われている。新監督のフォルカー・フィンケはドイツ・ブンデスリーガ2部・SCフライブルグを17年間率いた人物だ。なかなか2部から抜け出せなかったクラブを1部に昇格させただけでなく、00−01シーズンにはブンデスリーガ1部で6位になり、翌シーズンのUEFA杯では本戦出場を果たしている。その手腕は、あのバイエルン・ミュンヘンも注目していた。浦和はもともと個の力は高いレベルにあるクラブだけに、序盤を順調に乗り切れば、J1で独走してもおかしくはない。攻撃陣では昨季振るわなかった高原直泰をはじめ、阿部勇樹、鈴木啓太といった日本代表クラスの奮起に注目していきたい。

 7日の第1節ではいきなり優勝候補筆頭の鹿島と、覇権奪回を目指す浦和が対戦する。この試合は長いシーズンでどちらが主導権を奪うかという意味で、1/34以上の価値があるだろう。名古屋が対戦するのは、ヤマザキナビスコカップで初タイトルを獲得している大分トリニータ。大分は名将の風格を漂わせるペリクリス・シャムスカの下、金崎夢生や森重真人といった若い選手が堅実なサッカーを見せている。昨シーズンはリーグ最小失点の24。鉄壁の守備陣に対し、名古屋の攻撃陣がどのような戦いを挑むのか。注目していきたい。

(大山暁生)

<2009Jリーグ第1節対戦カード>

3月7日(土)
FC東京 × 新潟(13:00、味スタ)
横浜FM × 広島(13:00、日産ス)
名古屋 × 大分(14:00、豊田)
千葉 × G大阪(15:00、フクアリ)
鹿島 × 浦和(16:00、カシマ)
川崎F × 柏(16:00、等々力)
磐田 × 山形(16:00、ヤマハ)
3月8日(日)
大宮 × 清水(13:00、NACK)
京都 × 神戸(14:00、西京極)