NPBでは19日から交流戦がスタートする。過去4年間は千葉ロッテが2連覇、北海道日本ハム、福岡ソフトバンクとパ・リーグの球団が優勝している。果たして今季はどの球団が交流戦を制するのか。6月21日までの約1カ月間、24試合ずつ計144試合が行なわれる。その後のペナントレースを左右する重要な戦いとなるだけに、目が離せない。
 現在、首位をキープしているのがパ・リーグは北海道日本ハム、セ・リーグは巨人だ。日本ハムは昨季までとはうってかわり、打線が好調だ。本塁打こそリーグ3位だが、チームの打率(.293)、得点(147)はリーグトップを誇る。なかでも両リーグあわせてトップの打率(.373)を誇る金子誠は開幕から好調をキープしている。4月にはプロ野球新記録となる7試合連続二塁打、打率.423をマークし、プロ入り16年目にして初の月間MVPを受賞した。

 中軸の稲葉篤紀も復調してきている。14日の東北楽天戦では5打数3安打で4打点を挙げた。チームではリーグ2位の31打点を挙げている小谷野栄一に次ぐ28打点をマークし、首位浮上の原動力となった。今季初の完封負けを喫した17日のオリックス戦でも稲葉は4打数2安打を放っており、交流戦での活躍も期待できそうだ。

 一方の巨人は3年目の坂本勇人が絶好調だ。昨季は全試合出場して8本だった本塁打が、現在では既に6本。5月に入ってからは4本マークしており、6日の横浜戦ではプロ入り初となるサヨナラアーチを放っている。打順こそ1番だが、長打率は金本知憲(阪神)に次ぐリーグ2位(.578)。相手投手は最も警戒しなければならない打者と最も多く対戦しなければならない。

 その坂本の後には小笠原道大との勝負が待っている。10本塁打はリーグトップ、34打点は金本に次ぐ数字だ。小笠原の魅力はここぞという時の勝負強さにある。10本の本塁打のうち一時的なものを含めれば先制弾4本、逆転弾4本、同点弾1本。そのうち決勝弾となったのは3本。チームが欲しいと思っている時に打てる、まさにリーグを代表とする強打者といえるだろう。

 交流戦ではこの2チームが開幕カードでいきなり激突する。金子と坂本の首位打者争い、そして稲葉と小笠原の古巣対決が勝敗のカギを握ることは間違いない。両チームの投手陣が彼らをどう抑えるのか。激しい打撃戦となる可能性もあり、交流戦開幕の最大のみどころといっていいだろう。

 また、甲子園でファンをわかせ、鳴り物入りで入った2人の若手投手の初対決にも注目が集まっている。開幕から無傷の5連勝をマークしている田中将大(東北楽天)と、17日に1軍に合流したばかりの由規(東京ヤクルト)だ。

 田中将は4月の月間MVPにも選ばれ、楽天の躍進に大きく貢献していることは周知の通りだ。5勝のうち完投は4つ、完封は2つ。そして防御率は1.05と他を圧倒し、今最も注目されている投手といっても過言ではない。一方、由規は開幕から先発ローテ入りを果たし、4月で2勝を挙げたものの、4月26日の横浜戦で1回に3失点し、わずか48球で降板。その直後、2軍降格を言い渡された。しかし、その原因となった右手人差し指のマメも完治し、ようやく1軍に復帰。交流戦で再スタートを切る。

 その由規にとって1つ先輩の田中将は高校時代から憧れの存在。ともに剛速球とスライダーを武器としており、力強いピッチングが身上だ。楽天、ヤクルトファンのみならず、高校野球ファンにとっても楽しみな対決であり、これぞまさに交流戦の醍醐味。ローテ通りにいけば、20日(水)に実現しそうだ。