19日、都内で会見が行なわれ、10月に東京・有明コロシアムおよび有明テニスの森公園コートで開催される「楽天・ジャパン・オープン・テニス・チャンピオンシップス2009(通称:楽天オープン)」の概要が発表された。大会には世界ランク2位のロジャー・フェデラー(スイス)や名実ともに日本男子テニス界屈指の錦織圭が出場する。日本のテニスファンにとっては、世界のトップアスリートの華麗なプレーが間近で見られるまたとないチャンスだ。
(写真:世界トップ選手が集まる「楽天オープン」)
 ジャパン・オープンは今回から楽天株式会社が冠スポンサーとなり「楽天オープン」として開催されることが決定した。実は、楽天の代表取締役会長兼社長を務める三木谷浩史氏は中学時代からテニスに慣れ親しみ、一橋大学時代にはテニス部の主将を務めている。
「今の自分があるのはテニスというスポーツのおかげ。少しでも恩返しができたらと思っている」と三木谷氏。現在、楽天の会員は5000万人を突破し、全国に巨大なマーケットをしいている。これを活用し、日本テニスの普及拡大を狙う。

 今大会の賞金総額は昨年より357,500ドル増の1,226,500ドルで、男子は従来よりもレベルが高く、世界でわずか11大会というATP500のカテゴリーの大会となった。そのため、フェデラーや錦織のほか、世界のトッププレーヤーが集うことになりそうだ。一方、女子は楽天オープン直前に東レパンパシフィック・オープンが開催されるため、それとは趣向を変えて将来有望な若手や日本人選手がより多く参加できる大会とした。
「男子は世界のトップ選手が集まり、壮絶なる戦いとなる。女子は将来、マリア・シャラポワ(ロシア)やアナ・イワノビッチ(セルビア)のような選手になるであろうフレッシュな選手と日本人選手が戦うことになる」と盛田正明日本テニス協会会長は大会のみどころを説明した。

(写真:「自分をうまく活用してほしい」と松岡修造氏)
 また、トーナメントアドバイザー・松岡修造氏は今大会への期待を次のように語った。
「この伝統あるジャパン・オープンをより進化した楽天オープンに携われることに今、ワクワクした気持ちでいる。ATP500という大会は想像している以上に素晴しい大会となることを確信している。一番の要素としては48ドローから32ドローとなり、本当にトップ選手しか出ることができないことだ。
 特に注目したいのは、やはりフェデラー。彼は日本のお客さんも文化も大好き。絶対にいいプレーをしてくれると思う。そしてもう一人は錦織。この大会は彼が出場できる唯一の国際大会。現在の状況では彼は本戦にストレートインできない。ワイルドカード推薦で出ることになるだろう。だからこそ、彼はグランドスラムと同じ思いでプレーするはず。去年のジャパン・オープンは1回戦から数百人のお客さんが入ることができなかった。僕の頃の1回戦はセンターコートの1/5くらいだった。まさに今、テニスブームが近づいているからこそ、彼には頑張ってもらいたいと思っている」

 世界的な不況の中、日本のスポーツ界にもその波は押し寄せており、テニスも例外ではない。ミキプルーンや荏原製作所といった強豪チームが会社の経営悪化に伴い、テニス部を休部するなど、日本テニス界も決して楽観視できない状況だ。そんな中、世界トップ選手が集う大会が日本で開催される意義は大きい。錦織の活躍はもちろん、女子も新たなスター選手の登場に期待したい。