7〜9日に行なわれたバレーボール女子のワールドグランプリ1次リーグ第2週(大阪)で日本が3連勝を飾った。これで通算成績を3勝3敗とし、ロシアと並んだ。14日からの1次リーグ最終週(韓国)ではブラジル、韓国、ドイツと対戦し、19日からの決勝リーグ(東京)に臨む。
 第1週(ポーランド)でオランダ、タイ、ポーランドに全敗を喫した日本。しかもオランダ、ポーランドにはストレート負けの完敗だった。それだけに地元・大阪で開催された第2週にかける思いは強く、3連勝は新生日本には大きな自信となったはずだ。

 3連勝達成にはさまざまな要因が挙げられるが、何よりも成長の跡がうかがえたのがサーブだった。それは数字を見れば一目瞭然だ。サーブによるエースの1試合平均数を、ちょうど1年前、北京五輪直前に行なわれた前回大会と比較してみたい。今大会と同様、4チーム3試合ずつ行なわれた予選リーグでは、第1週(神戸)4.3本、第2週(香港)4本、第3週1.4本。予選リーグ全9試合の平均は3本に過ぎず、続いて行なわれた決勝リーグでは2.8本だった。ちなみに昨年5月に行なわれた北京五輪最終予選(7試合)でも1試合平均は3.3本だった。

 ところが、今回の第2週(大阪)の平均は10.7本。WS栗原恵が8本ものエースを決めた8日の韓国戦では、最多の13本にまでのぼった。全敗した第1週のポーランド大会を含めても7.5本と高い数字を残している。サーブに攻めの姿勢が出てきていることは容易に想像できる。

 これまで日本はどちらかというと、“守り”の姿勢にあった。もちろん、サーブも常に強化ポイントにはあがっていたが、勝つために最優先されたのは何よりもサーブレシーブだった。それは世界では女子でもジャンプサーブが多くを占め、角度ある強烈なサーブが主流となってきているからである。そこで、サーブで崩されないよう、レセプションつまりはサーブレシーブをしっかりと返すことに焦点を当ててきたのだ。それは決して間違いではなかったが、やはりそれだけでは勝つことはできない。世界ランキング上位者にもなると、サーブ権を奪ってもすぐに強烈なスパイクで返され、連続ポイントを奪うことができないからだ。アテネ五輪、北京五輪での5位という結果はそれを物語っている。

 今大会、特に大阪ラウンドでの日本は、それまでの守りの姿勢ではなく、サーブから攻めることによって、これまでにないアグレッシブなバレーを展開することができていた。サーブはエースでポイントを奪うほかにも、レシーブを崩すことによって、相手の攻撃の範囲を狭める効果もある。レシーブをきれいにセッターに返すことができない場合、セッターはボールが落ちる場所まで走って取りにいかなければならない。それがネットから離れれた所であれば、攻撃の選択肢はほぼサイド攻撃のみとなり、しかも速いトスではなく、ゆったりとしたトスをあげることになる。そうとなれば、ブロッカーはつきやすくなるというわけだ。

 今大会、最も日本の“攻め”を象徴していたのが9日のロシア戦だった。日本がセットカウント2−1で迎えた第4セット、22−21と1点差に詰め寄ったロシアはこの大事な場面でサーブを失敗。逆に日本は栗原のサービスエースでマッチポイントを迎えた。そして再び栗原のサーブでレシーブを崩すと、最後は3枚ブロックでロシアの高いスパイクをきれいに止めてみせたのだ。

 こうした攻めの展開にまでステップアップした背景には、サーブレシーブへの不安が解消されつつあるという状況がある。レセプションが崩れれば、相手のサーブへの警戒心が強くなる。となれば、サーブで攻めるところにまで気持ちはまわらなくなってしまう。つまり、サービスエース増加はレセプションの確実性の高さを物語っているのだ。

 北京五輪以降、サーブ以外にもあらゆる面で進化をし続けている日本。韓国での第3週では、世界ランキング1位のブラジルと対戦する。果たしてどんな戦いを繰り広げてくれるのか。決勝リーグの前に、まずは14日のブラジル戦に注目したい。