23日、陸上世界選手権最終日で男子やり投げ決勝が行われ、村上幸史(スズキ)が82m97で3位となり銅メダルを獲得した。投擲種目で日本人がメダルを獲得したのは03年パリ大会の室伏広治(ミズノ)の銅メダル以来2人目。男子やり投げでは史上初の快挙となった。
 大会前には誰も予想しなかった結末が待っていた。21日に行われた予選で自己ベストの83m10を記録した村上だが、この記録でも今季の世界10傑にも入れず、決勝では苦戦が予想されていた。

 決勝では実力者たちが記録を伸ばせず苦戦するのを尻目に、村上は予選からの好調をこの日も持続させていた。2投目に82m97のビッグスローを披露。大会前に82mの壁を超えられなかった男が、ベルリンの大一番で2度も大きな放物線を描くことに成功した。緊迫した雰囲気で行われた決勝の舞台、並み居るライバルたちは最後まで距離を出すことが出来ず、自身の最終試技である6投目を待たずに村上の3位以上が確定し、銅メダルを獲得した。

 男子やり投げでは、1987年ローマ大会、溝口和洋の6位入賞したのが世界陸上では日本人最高の記録だった。大舞台で自己記録を更新しメダリストにまで駆け上った村上。北京オリンピックでは予選を突破することができなかった男が、最終日に日本勢2つのメダルを獲得するというビッグサプライズを起こし、大会最終日を締めくくった。

<男子やり投げ>
決勝
1位 アンドレアス・トルキルドセン(ノルウェー) 89m59
2位 ギジェルモ・マルティネス(キューバ) 86m41
3位 村上幸史 82m97

▼銅メダル獲得を記念し、村上幸史選手を特集した『FORZA SHIKOKU(2007年9月)』を再掲載
>>第1回「ビッグスローへの期待」はこちら
>>第2回「自国開催の世界陸上」はこちら
>>第3回「雰囲気に圧倒されたアテネ五輪」はこちら
>>最終回「やりと自分だけの空間」はこちら