プロ野球もいよいよ大詰めを迎えている。17日にはパ・リーグに続いてセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージが開幕。2年ぶりの日本一を目指す中日と、最後までもつれにもつれた3位争いを制し、初のCS進出を決めた東京ヤクルトが対戦する。両チームともに先発の左右2枚看板が磐石な安定感を誇っており、ロースコアでの接戦が予想されている。レギュラーシーズンでの対戦成績はヤクルト13勝11敗とほぼ互角。第3戦までもつれる可能性も高く、第3の先発投手に誰をたてるのかにも注目だ。
 中日の先発には左のチェン、右の吉見一起が有力視されている。特に初戦の先発が濃厚とされるチェンは今シーズン、リーグトップの防御率1.54と抜群の安定感を誇っている。吉見も16勝(7敗)と最多勝を獲得し、川上憲伸(ブレーブス)に代わる新エースとしてチームを牽引。キレ、制球力ともによく、防御率もチェンに次ぐ2位の2.00をマークした。リーグ優勝は逃したが、浅尾拓也、河原純一、高橋聡文、パヤノと中継ぎも豊富で投手王国は健在だ。

 懸念されるのは、抑えの岩瀬仁紀が実戦から離れていることだ。長年の勤続疲労から後半に調子を崩した岩瀬は、9月19日以来、約1カ月間登板がない。CS前の練習では復調の兆しを見せているが、果たして実戦ではどうか。22回1/3を投げて無失点を誇る短期決戦の強さを発揮したいところ。接戦になればなるほど絶対的な守護神の存在が必要となるだけに、岩瀬の出来が勝敗のカギを握りそうだ。

 打線はブランコ、森野、和田と長打力のあるクリーンアップは相手投手にはやはり脅威だ。特にブランコは先発が予想される館山、石川に相性がいい。館山には16打数5安打2打点、石川には8打数3安打と、どちらにも3割台の打率をマークしている。さらに代打の切り札には、今シーズン限りで引退する立浪和義、井上一樹と短期決戦を知り尽くしたベテラン2人がいる。彼らが登場すれば、ナゴヤドームが盛り上がることは必至で、一気に流れが傾く可能性もあるだけにキーマンとして注目したい。

 一方、ヤクルトは後半に続出した故障者も少しずつ復帰し、レギュラーシーズンを6連勝で終えた。特に試合終盤での逆転負けが多かった後半戦を考えると、抑えの林昌勇が間に合ったのは大きい。

 先発は16勝(6敗)とリーグ最多勝のタイトルを獲得した館山昌平、サウスポー石川雅規の2枚看板。今シーズン、館山は3勝1敗、防御率2.48、石川は負けなしの3勝、防御率3.05と中日キラーぶりを発揮。なかでも館山は荒木雅博には全19打数ノーヒットと抜群の相性を誇っている。クリーンアップの一発には十分警戒は必要だが、井端弘和との1、2番コンビが中日打線のカギを握るだけに、この相性の良さは大きなアドバンテージとなりそうだ。

 打線は5年連続打率3割をマークし、勝負強さを見せる青木宣親が中心。中日打線と比べればパワー不足は否めないが、2年連続盗塁王の福地寿樹らが得意の機動力でかき回し、チャンスを確実にモノにしたい。今シーズンの躍進の立役者である司令塔の相川亮二が故障でまだ完全な状態ではないのは痛いが、予想以上の働きを見せ、6連勝に大きく貢献した川本良平に期待したいところだ。

 高田繁監督はポストシーズン初采配。加えて宮本慎也以外の主力選手は日本シリーズを一度も経験していない。翻って監督就任以来、チームを日本シリーズに3度導き、CSも2度経験している落合博満監督率いる中日は、短期決戦の酸いも甘いも知り尽くしている。この経験値の差をいかして中日が力を見せつけるのか。それとも6連勝の勢いそのままにヤクルトが突き進むのか。初戦から激しい投手戦が繰り広げられそうだ。