28日、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第2戦が行われ、敵地で大敗を喫した名古屋グランパスがホームでアルイテハド(サウジアラビア)と対戦した。前半から猛攻をしかけた名古屋だが、前半40分にカウンターで失点し、厳しい状況になる。その後は両者が点を取り合い、2戦合計3−8でアルイテハドが準決勝突破を決め、名古屋はクラブ創設以来初のACL決勝進出はならなかった。アルイテハドは11月7日(土)に浦項スティーラーズ(韓国)−ウム・サハル(カタール)の勝者と東京・国立競技場で決勝を戦う。

 Jリーグ勢の3年連続優勝ならず(瑞穂陸)
名古屋グランパス 1−2 アルイテハド
【得点】
[名古屋] 杉本恵太(66分)
[ア] アル・サクリ(41分)、アミン・シェルミティ(59分)
(※トータルスコア3−8でアルイテハドが決勝進出)
 23日、アウェーで行なわれた第1戦を2−6の大敗で終えていた名古屋には4点差以上の勝利が必要だった。名古屋に与えられたミッションは、相手にゴールを与えず4ゴールを奪うこと。これが決勝に残るための最低条件だ。前戦の大敗を受け、ドラガン・ストイコビッチ監督は前線に玉田圭司、ジョシュア・ケネディ、巻佑樹を起用し、さらには中盤にはイゴル・ブルザノビッチ、マギヌンと超攻撃的布陣で試合に臨んだ。

 立ち上がりから試合のペースを握ったのは名古屋だ。前がかりの布陣で相手ゴールに迫る。MFは三都主アレサンドロのワンボランチで、残りの3名は攻めに比重の置いた布陣で攻撃を組み立てる。対するアルイテハドはトゥカル・ファルラタのワントップでカウンターを狙う形に徹する。ホームで4点差をつけて勝利を収めているアルイテハドは、無理に攻撃を仕掛けることなく、ゴール前でケネディの高さを十分にケアすることに徹していた。

 名古屋に決定機が訪れたのは前半33分。左サイドを突破した阿部翔平からクロスが入り、ゴール前に走りこんだケネディが絶好のタイミングで頭であわせる。強烈なシュートがゴールに向かうが、惜しくもバーに当たりゴールならず。続く37分にも玉田が左足でゴール正面からシュートを狙うが、相手DFに阻まれる。攻めながらもなかなか先制点の入らない展開に、徐々に空気が重くなっていく。

 そして、名古屋にとって最悪の瞬間が訪れたのは41分。カウンターから右サイドを突破され、ヌール・ハウサウィの放ったシュートを一旦はGK長谷川徹がセーブするが、跳ね返りのボールを左サイドバックのアル・サクリに押し込まれ、絶対に与えてはいけない先制点を献上した。これで名古屋が決勝に進むには5つのゴールが必要になった。絶好機を作りながらも決めきれなかった中で、相手に隙を突かれての失点。重すぎる1点が名古屋に押しかかった。

 後半もケネディの高さを活かす攻撃を展開するものの、ゴールを奪うことはできない。アルイテハドの老獪な時間稼ぎもあり、時間が経過するほど焦りが募る。単純なパスミスやクリアミスが目立ち、集中力も切れていった。

 そして後半9分、アルイテハド右サイド、ハウサウィからのクロスに飛び込んだアミン・シェルミティがヘディングシュートを決め0−2。この時点で名古屋の決勝進出は絶望的になった。

 後半21分に途中出場の杉本恵太のオーバーヘッドキックで1点を返したものの、まさに焼け石に水。試合はこのまま1−2で終了し、2戦合計3−8でアルイテハドが決勝進出を決めた。3年連続の決勝進出を目指したJリーグ勢だったが、残念ながらここで全てのクラブが姿を消した。

 ベスト16ラウンドでガンバ大阪と川崎フロンターレが、準々決勝で川崎Fと名古屋が直接対決となり潰しあいをしてしまったことがJリーグ勢にとっては痛かった。今年の決勝から一発勝負に変更されたACL。記念すべき最初の決勝の地は、東京・国立競技場だったが、Jリーグ勢が決勝の舞台に立つことは叶わなかった。

 一方のアルイテハドは4年ぶりの決勝進出。05年には見事優勝を果たし、クラブ世界選手権に駒を進めている。名古屋で試合をした経験は決勝に向けアドバンテージとなるだろう。11月7日の決勝でも破壊力抜群の攻撃陣が大暴れしそうだ。