注目の左腕・菊池雄星(花巻東高)で沸いたドラフトが終了し、今シーズンのプロ野球もいよいよ大詰めを迎えている。明日31日には日本シリーズが開幕。今年はともにリーグ優勝し、クライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がった北海道日本ハムと巨人が対戦する。日本ハムは3年ぶり3度目、巨人は7年ぶり21度目の日本一を目指す。
 リーグチャンピオン同士の戦いとなる今回の日本シリーズは、日本ハムの本拠地・札幌ドームで開幕する。今シーズン、2チームの交流戦での対戦成績は2勝2敗。チームの防御率、打率はともにリーグトップと投打のバランスがいい2チームだ。

 日本ハムはダルビッシュ有の復帰の見通しが立たず、エース不在の戦いを強いられる。だが、CSではその不安をほとんど感じさせない内容で、勢いに勝る東北楽天を4勝1敗と下した。確かに先発のコマ不足は否めないが、豊富なリリーフ陣に加え、12球団一の鉄壁を誇る守備力で大黒柱の穴を十分に埋められそうだ。

 打線も今年は“貧打”とは言わせない強さを誇る。シーズンの本塁打数は日本ハム112本、巨人182本とパワーでは及ばないが、打者全員に浸透している“つなぎのバッティング”が脅威の集中打を生み出している。その結果、ペナントレースでは巨人をも凌ぐ689得点を挙げている。

 さらにCS第1戦で逆転満塁サヨナラホームランを放ったスレッジをはじめ、稲葉篤紀、高橋信二と中軸にはチャンスに強い強打者が並ぶ。CSでは不調だった小谷野栄一、糸井嘉男ら下位打線に当たりが戻ってくれば、シーズンで見せた切れ目のない攻撃が見られそう。勝負どころでの代打要員として起用されるだろう二岡智宏、坪井智哉、稲田直人らにも注目したい。

 一方、下馬評で圧倒的に高評価を得ているのが巨人だ。その最大の要因は破壊力満点の打線にあることは間違いない。チーム打率2割7分5厘、182本塁打は12球団一を誇る。ラミレスをはじめ、小笠原道大、阿部慎之助、谷佳知とベテラン強打者がズラリと並び、さらには若手の亀井義行にも勝負強さが備わった。

 日本ハムの先発はCS同様、武田勝、八木智哉、藤井秀悟の左3枚が柱となる可能性が高い。これに対して巨人打線は坂本勇人、小笠原、ラミレス、阿部など主力には左に強い打者が少なくない。なかでもリードオフマンの坂本はキーマンとなる。シリーズ初出場の昨年は全7試合に出場したが、18打数3安打、打率1割6分7厘に終わり、悔しさを味わった。その経験を踏まえ、今年はどんなバッティングを見せてくれるのか。坂本、松本哲也の若手1、2番コンビが機能すれば、後ろにはベテランの強打者が顔を揃えるだけに、さらに打線に厚みが増す。

 磐石な打線の一方で、やや懸念されているのが投手陣だ。チーム一の稼ぎ頭、ゴンザレスはCS初戦で初回に5失点し、結局6失点で5回KOと大誤算。さらに中日との相性が悪い内海哲也に代えて大一番の第4戦を任せられた東野峻も5回を持たずして降板するなど、先発陣にはやや不安が残る。そこで勝敗のカギを握るのが越智大祐と山口鉄也の若い左右の中継ぎ陣だ。CS第4戦でも1死満塁の場面でマウンドに上がった越智が中日が誇る強打者、森野将彦、ブランコを連続三振に仕留める好投でピンチを切り抜け、嫌な流れを一掃した。波に乗った日本ハム打線を止めるのはこの2人しかいない。

 日本シリーズで日本ハムと巨人が対戦するのは28年ぶり2度目。28年前は4勝2敗で巨人が日本ハムを下している。果たして、日本ハムが当時の雪辱を果たすのか。それとも巨人が下馬評通りの強さを見せつけるのか。明日、熱戦の火蓋が切って落とされる。