巨人の7年ぶりの日本一で今シーズンのフィナーレを飾ったNPB。22日にはセ・パ誕生60周年記念として「U−26NPB選抜vs.大学日本代表」(東京ドーム)を開催する。NPBからは日本一に大きく貢献し、初のベストナインを受賞した坂本勇人(巨人)をはじめ、大隣憲司(福岡ソフトバンク)、金刃憲人(巨人)、小窪哲也(広島)ら大学からプロへの道を切り開いた選手や、中田翔(北海道日本ハム)、由規(東京ヤクルト)、唐川侑己(ロッテ)と甲子園を沸かせた若手らが出場する。大学側も斎藤佑樹(早稲田大)、東浜巨(亜細亜大)、野村祐輔(明治大)と、まさに現在の大学野球界の「顔」ともいえるメンバーがズラリとならぶ。同級生や元チームメイト同士の対決など、みどころ満載の一戦だ。
「自分のレベルが今、どのあたりにあるのか確かめてみたい」
 発表会見での斎藤の言葉にあるように、大学生としては自身の実力をはかるうえで、この試合は最良のバロメーターとなりそうだ。加えて来年以降のドラフト指名候補でもある彼らにとっては、NPBスカウト陣にアピールする大きなチャンスでもある。
 新チーム発足後、名門・早大の第100代目主将となった斎藤が、3年前、自らがひとしきり悩んだプロへの道に進んだ同世代のNPB選手らに対し、どんなピッチングを見せるのかに注目が集まりそうだ。

 また、同じ甲子園組では2年前の夏、準優勝投手に輝いた野村だ。明治大に進学した昨年は1年生ながらベンチ入りし、秋にはリーグ史上44年ぶりとなる防御率0.00を達成している。その野村と高校3年の選抜で対戦したのが唐川だ。延長12回までもつれ、白熱した投手戦となったこの試合、結果は野村擁する広陵に軍配が上がったものの、ともに12回を投げ切り、野村12安打3奪三振4四死球1失点、唐川13安打4奪三振5四死球2失点と、まさにがっぷり四つの投げ合いだった。1年後、別々の道を歩んだ二人。対戦相手としての2年ぶりの再会に、彼らはどんなピッチングを披露するのか。

 そして当時、野村の女房役だったのが小林誠司(同志社大)、広陵クリーンアップの一角を担っていたのが土生翔平(早大)だ。唐川との対戦成績は5打数無安打だった小林は同大の3番バッターとしての意地をみせられるか。そして5打数3安打、最後は自ら決勝点のホームを踏んだ土生は、1年目からプロのマウンドを経験し、今季はローテーションの一角を担った唐川から再び快音を響かせることができるのか。

 また、大阪桐蔭の4番対決も楽しみだ。1年秋から4番を担い、史上最多の高校通算本塁打87本をマークした中田翔。その後釜を担ったのが今や1年生ながら関西学院大の主砲を務める萩原圭悟だ。萩原は今夏の日米大学選手権に野手としては唯一の1年生として出場するなど、将来性のある大砲として期待されている。先輩中田の前で成長した姿を見せたいところだ。

 そのほか、東都リーグでは春夏連続でベストナインに輝き、投手では唯一1年生で日米大学選手権に出場した東浜、斎藤と早大の2枚看板を担い、今秋は初めてベストナインを獲得した大石達也、その女房役を担う1年生キャッチャーの杉山翔大(早大)、来年のドラフト上位候補の乾真大、林崎遼(ともに東洋大)、MAX150キロを誇り、サイド、アンダーと変則スタイルの中後悠平(近畿大)、明治神宮野球大会で初制覇を達成した立正大の5番を担う越前一樹なども楽しみだ。

 一方、NPB側は絶対に負けられない。26歳以下の若手以外にオーバーエイジ枠が採用されていることからも、その確固たる強い思いがうかがい知れる。そのオーバーエイジ枠には、今シーズン後半は5番に定着し、日本一に貢献した亀井義行(巨人)、堅守を誇る田中浩康(ヤクルト)、北京五輪では4番を務めた新井貴浩(阪神)らプロでも一線級の選手が顔をそろえた。ぜひ、「これぞプロ」というところを見せてもらいたい。

 将来、日本球界を背負うであろう若きホープたちが多く集うこの試合、果たしてどんな展開が繰り広げられるのか。日本の野球ファンとしては見逃せない一戦となりそうだ。