日本相撲協会の理事選挙が1日、投開票され、二所ノ関一門から離脱して立候補した貴乃花親方(元横綱)が10票を集め、当選を果たした。今回の理事選では定数10に対し、11名が立候補し、8年ぶりの選挙戦になっていた。事前に貴乃花親方支持を明言していたのは間垣親方(元横綱・2代目若乃花)、部屋付きの音羽山親方(元大関・貴ノ浪)ら6名。当選ラインとされた10票には届かず苦戦が伝えられていたが、改革を期待する他の親方らが“造反”して貴乃花親方に票を託した形だ。現職の大島親方(元大関・旭国)は8票にとどまり落選した。

 

 今回の選挙は107人の親方、魁皇、琴光喜の両大関に、2人の立行司を合わせた計111人が単記無記名方式で投票した。その結果、武蔵川親方(元横綱・三重ノ海)ら3人が11票、貴乃花親方ら7人が10票で当選した。各一門が持っていた票数と比較すると、落選した大島親方の所属する立浪一門から2票、貴乃花親方派が離れた二所ノ関一門から、さらに1票が流れたことになる。8年前の選挙では不正防止を名目に、各一門の立ち合い人が投票箱の目の前で用紙をチェックしていたが、今回は所管の文部科学省が厳正な投票を求めたため、記入台や投票箱が立会人から離された。このことも隠れ貴乃花支持派が投票行動を起こしやすい要因となった。

 各一門は自らの推す親方を当選させるため、きっちりと票割りを行い、内部で締め付けを実施していた。そんな包囲網をかいくぐっての貴乃花親方の当選は、旧態依然とした角界に風穴を開けたことは間違いない。選挙後の理事会では、互選により武蔵川親方が理事長に再任されたものの、改革を求める親方衆の声は無視できないものとなりそうだ。