いよいよ本格的な冬の到来となりました。今週末も全国的に大寒波が襲ってくるとか。日本海側だけでなく、太平洋側の地域でも降雪が記録されるかもしれないそうです。車でお出かけになる予定の方は、スタッドレスタイヤへの交換や、チェーンのご用意をお忘れなく!

 さて、この季節と言えば、(毎年のように言っていると思いますが……)、私にとってはやはり“熱燗”です。今回は熱燗にまつわる話をしたいと思います。

 今年1月、父親と“浅草デート”をした際、小さな古い瀬戸物屋さんを見つけました。昭和のにおいが感じられる、とても雰囲気のあるお店でした。中に入った父と私が真っ先に向かったのは、お茶碗でも湯呑でもありません。熱燗好きには欠かせない徳利とおちょこのコーナーです。

 最近、売られている徳利とおちょこは大きめで厚みのあるものが多いのですが、私たちが好んでいるのは、昔ながらの小さくて薄いもの。特におちょこにはうるさく、それこそ口に“ちょこっと”含むくらいの少量しか入らないものを好んでいます。しかし、これがなかなか見つからないのです。

 でも、さすがは古いだけあって、浅草で見つけた瀬戸物やさんには、私たちが好むものがありました。(2人しかいませんが)満場一致で決まった徳利とおちょこを2つずつ購入し、父は「次の年末年始にはこれで飲もう」と言って、新潟へと帰っていきました。

 早いもので、父の背中を見送ってから、はや1年が過ぎようとしています。約2週間後には雪の降りしきる新潟で、下町の浅草で購入した徳利とおちょこで熱燗を飲む――そんな粋な情景を思い浮かべながら、仕事に精を出している今日この頃です。

 実はその浅草デートで見つけたのは、徳利とおちょこだけではありませんでした。「寒くなる前に帰ろうか」と駅に向かっている途中で、父があるお寿司屋さんの前で足を止めました。父が真剣に見ていたのは、ショーウィンドウに飾ってあった日本酒。よく見ると「淡麗辛口」ではなく、「燗麗辛口」と書いているではありませんか! つまり、熱燗のための日本酒だったのです。「大山」という山形県のお酒でした。

 さっきお昼を食べたばかりだというのに、私たちは何の迷いもなく、そのお寿司屋さんに入りました。早速、オーダーした熱燗をグビッと一口飲むと……私たちの頬は、一気に緩みました。さすがは「燗麗」と名付けるだけあって、最高の味わいだったのです。

 これまで私たちの熱燗第1位は、我が地元・新潟の日本酒だったのですが、この瞬間に「大山」がダントツ1位となりました。熱燗の「キング」と言っても過言ではなく、山形には恐れ入りました。

 こんな話を書いているうちに、熱燗が恋しくなってきてしまいました。というわけで、編集長、今年の忘年会はぜひ熱燗の美味しいお店でお願いします!

(スタッフS)
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