ラグビーの全国大学選手権は10日、東京・国立競技場で決勝戦が行われ、帝京大が東海大を14−13で破り、創部40年目で初優勝をおさめた。関東大学対抗戦では4位に沈んだ帝京大だったが、選手権では2回戦でV3を狙った早稲田大を撃破。互いに初優勝をかけて争った決勝を制し、史上9校目の大学日本一を達成した。東海大は初めて決勝にコマを進めたが栄冠を逃した。
 先制したのは帝京大だった。前半4分、密集からパスを受けたSO森田佳寿がタックルをかわし、左隅へトライ。FB船津光が角度のない位置からキックを決めて7−0とリードする。しかし、東海大も17分、相手のファウルに乗じてチャンスをつかむと、SH鶴田諒が飛びこんでトライ。キックも成功し、7−7の同点に追いついた。その後は東海大が押し気味の展開も、両校とも得点なく試合を折り返した。

 後半に入っても東海大は引き続き攻勢をみせる。相手の圧力にたまらず自陣で反則を犯した帝京に対し、11分にFB豊島翔平がPGを決めて勝ち越しに成功。さらに20分にも同様にPGで加点し、13−7と点差を広げた。だが、1回戦(対関東学院大)はロスタイムに追いつき、トライ数差で勝利するなど、全試合を逆転で勝ちあがってきた帝京は、ここから本領を発揮する。26分、相手陣内ラインアウトからのモールで一気に東海大のDF陣を押し込み、FL吉田光治郎が抜けだしてトライ。船津のキックも鮮やかに決まって14−13と試合をひっくり返した。

 残りは14分。再逆転を目指して攻め入る東海大に対し、帝京大は必死の防戦。トライはおろか、PGでもひっくり返る点差だけに、残り時間が少なくなるにつれて、試合は一層白熱する。そして終了間際、東海大はモールで押し込み、ゴールまであと一歩と迫る。ラストワンプレーでの逆転劇へ期待が高まったものの、ここで東海大は痛恨の反則。帝京フィフティーンが歓喜の雄たけびをあげる中、ノーサイドを迎えた。

 就任14年目で悲願を達成した岩出雅之監督は「観客の方と同じ気持ちでしびれた。感謝と喜びでいっぱい」と目をうるませた。「これからが本当のスタート。帝京がより強いチームに上がっていくためのエネルギーをもらったと思っている。謙虚に挑戦心を忘れず、進化していきたい」。伝統校ひしめく大学ラグビー界で新時代の扉を開き、指揮官は決意を新たにしていた。また野口真寛キャプテンは「とにかくうれしい。今日を迎えることができて感謝している」と笑顔。「昨年、決勝で敗れた悔しさを心に込めて1年間練習してきた。昨年勝てなかった先輩、130人の部員の気持ちがひとつになった」と昨季の雪辱を果たした喜びをかみしめていた。