6日、サッカー東アジア選手権決勝大会が東京・味の素スタジアムで行なわれ、日本代表は中国代表と対戦した。日本は序盤からサイドで起点を作ろうと試みるも、シュートは決定力を欠き得点を奪えない。後半16分から平山相太(F東京)を投入するもののリズムを変えるには至らず。後半35分にはペナルティエリア内でハンドを犯しPKを与える。ここで楢崎正剛(名古屋)が好セーブを見せ大ピンチを切り抜けたが、スコアはこのまま動かず、大会初戦をスコアレスドローで終えた。試合後、ホームゲーム2試合連続無得点の日本に対し、スタジアムに詰め掛けたサポーターからはブーイングが起きた。

 相手のPK失敗に救われる(味スタ)
日本代表 0−0 中国代表
 4カ月後に控えた南アW杯に向け、これまでのチーム強化の成果を見せたかった日本代表。そしてその成果が披露されることを望んだサポーターたち。しかしながら90分間で両者の心は通じ合うことはなかった。試合後のスタジアムを包んだのは“落胆”の空気。ワールドカップイヤーのホームゲームとは思えないほど、スタジアムは静まり返っていた。

 前半からボールを持つものの攻撃の形ができない岡田JAPAN。サイドを起点にしようとする意図は見えたが、ターゲットとなる選手がペナルティエリア内に入ってこない。クロスが入っても無理な体勢からシュートを放ち、枠から外れるのが関の山だった。前半は6本のシュートを放つも、決定的なものはなかった。

 対する中国はカウンター攻撃で幾度か日本ゴールに迫った。32分、ユー・ハイが放ったミドルシュートはゴールネットを揺らしても不思議でなかった。186センチと上背のあるFWガオ・リンにボールを預ける形が徹底されており、日本の攻撃よりも得点の可能性を感じさせた。

 後半に入っても日本の選手交代はなく、前半同様にサイドからの組み立てを試みる。岡崎慎司(清水)が中央に入り、左に大久保嘉人(神戸)、右に玉田圭司(名古屋)と3トップの布陣で局面打開を図ったが、ゴール前での迫力不足は否定できない。16分に玉田に代え平山を投入し、岡崎とのツートップに布陣を変更したが、ボールの収まる場面は少なかった。

 後半8分、右SB内田篤人(鹿島)がミドルシュートを放ったもののポストに嫌われ、さらに38分には内田のクロスを平山が落とし大久保がつめたが、シュートはGK正面を突いた。90分間でゴールの可能性が感じられたのはこの2回。ここでゴールを決めきれないのが、日本の現在の実力といえよう。

 守備面では後半9分、相手左サイドからのクロスに対しDFがクリアしきれず、あわやオウンゴールのシーンもあった。さらに35分には長友佑都(F東京)がハンドを犯しペナルティキックを与えてしまう。ここは楢崎のスーパーセーブで失点を免れたものの、チーム全体がよい流れを掴むことなく90分間を終えた。

 この日、味の素スタジアムに来場したサポーターの数は25964人。首都圏での週末開催ながらスタンドには空席が目立った。この日のサッカーはスタンド同様、お寒い内容だった。

 岡田武史監督は「2つのピンチこそあったものの、コンディションが上がってきてよかったのではないか。この試合の延長線上で香港に勝って、韓国とやりたい」と語った。しかし、前半と後半終了後に、チームはサポーターからブーイングを浴びている。彼らが日本代表のプレーと結果に不満を持っていることは明らかだ。

 会見の席で記者から「ワールドカップに出場しない相手に、本大会4カ月前に0対0という結果を受けてのブーイングを聞いて、どのように思うか」と問われた指揮官は、「内容に満足はしていないが、シーズン初めのこの時期にこのような試合ができ、それほど大きな問題とは思っていない」「ブーイングは真摯に受け止めるが、それ(批判を受けること)も私の仕事」と答えた。

 サポーターは中国相手のスコアレスドローという結果に誰一人として満足していない。それでも岡田監督はひたすら前向きな発言を繰り返している。その姿は試合の内容以上に虚しく見えてくる。東アジア選手権の残り2戦で魅力的なサッカーを披露しなければ、サポーターの心は離れるばかりだ。指揮官だけでなく選手全員が危機感を持ち、香港、韓国相手の2連戦で必勝を期さなければならない。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
中澤佑二
田中マルクス闘莉王
長友佑都
内田篤人
MF
遠藤保仁
稲本潤一
中村憲剛
→佐藤寿人(85分)
大久保嘉人
→金崎夢生(85分)
FW
岡崎慎司
玉田圭司
→平山相太(61分)