21日、第82回選抜高校野球大会が開幕し、改装工事が終了した阪神甲子園球場で12日間にわたる熱戦の火蓋が切って落とされる。出場は全国から選抜された32校。昨夏全国制覇を成し遂げ、同校2度目の夏春連覇を狙う中京大中京(愛知)は出場校最多の30回目となる。一方、初出場は東海大望洋(千葉)、嘉手納(沖縄)、宮崎工、自由ヶ丘(福岡)、山形中央、川島の6校だ。21世紀枠には山形中央、向陽(和歌山)、川島(徳島)の3校が選ばれた。また、沖縄からは初めて2校が出場する。開会式では北翔(北海道)の西田明央主将が選手宣誓を行ない、天理(奈良)と敦賀気比(福井)の試合で幕を開ける。
 今大会は好投手がそろっている。最も注目されているのがプロ注目の最速149キロの豪腕、東海大相模の一二三慎太(3年)。変化球も多彩でカーブ、フォーク、スライダーに昨秋習得したばかりチェンジアップを織り交ぜ、的を絞らせない。スピード以上に高い評価を得ているのが抜群の制球力だ。昨秋は公式戦14試合(97回)に登板し、四死球はわずか26。さらに関東大会では4試合連続で一人で投げきり、完投能力の高さも見せた。

 一二三に劣らない制球力の持ち主が興南(沖縄)の島袋洋奨(3年)だ。昨秋は公式戦7試合(50回1/3)に登板し、自責点0(失点1)で防御率は0.00。5試合で完投し、スタミナも十分。加えて63奪三振、7四死球と内容も申し分ない。昨年は2年生エースとして春夏連続で甲子園に出場。初戦突破は果たせなかったが、素質の高さをうかがわせるピッチングでその名を全国にとどろかせた。内角を攻める強気のピッチングで同校春初勝利を狙う。

 また、帝京の3本柱、伊藤拓郎(2年)、鈴木昇太(3年)、山崎康晃(3年)はいずれも最速140キロ台を誇る。特に伊藤は185センチ、82キロと体格にも恵まれ、最速148キロのストレートを中心に、スライダー、カットボール、フォークと多彩な変化球を投げ分ける。昨秋は公式戦6試合(41試合2/3)に登板し、防御率は1点台を誇った。さらに鈴木も5試合(32回)に登板し、防御率は伊藤を凌ぐ0.99をマーク。打撃でも控えメンバーにはレギュラーと遜色ない好打者がズラリと並んでおり、投打ともに層が厚いの同校の魅力だ。

 そのほか、本格派右腕・広陵の有原航平(3年)、2年生左腕・関西の堅田裕太(3年)宮崎工の左腕・浜田智博(3年)などにも注目したい。
 また、智弁和歌山の高嶋仁監督はあと1勝で甲子園通算勝利数が59となり、歴代単独トップとなる。その記録がかかっている初戦は高嶋監督の日体大の後輩、宮袋誠監督率いる高岡商(富山)との対戦だ。