日本陸上競技連盟は10日、8月に行われる北京五輪の男女マラソンの日本代表各3選手を決定した。
 日本勢の五輪3連覇を狙う女子は、前回大会金メダリストの野口みずき(シスメックス)をはじめ、昨夏の世界選手権大阪大会3位の土佐礼子(三井住友海上)、前日の名古屋国際を初マラソンで制した中村友梨香(天満屋)が選ばれた。野口、土佐は前回大会に続く選出。中村は初。
(写真:2大会連続の五輪代表に正式に決定した土佐選手)
 男子は世界選手権大阪大会5位の尾方剛、選考レースとなった福岡国際3位の佐藤敦之(ともに中国電力)、同じくびわ湖毎日で3位に入った大崎悟史(NTT西日本)に決定した。いずれも五輪代表は初となる。
 なお補欠は女子が大阪国際2位の森本友(天満屋)、男子は東京マラソン2位の藤原新(JR東日本)に決定した。

 男子は、まず福岡国際3位の佐藤とびわ湖毎日3位の大崎が決まり、3人目については、世界選手権5位の尾方と東京マラソン2位の藤原のどちらかを選ぶかの討議となったという。日本陸連の木内敏夫強化副委員長によると、東京で日本人トップの2位になった藤原は、世界選手権7位諏訪利成(日清食品)を上回り、また新人ながら2時間8分40秒という記録を出したことを評価する声もあったが、「直近の大会の実績を配慮し、安定感を買った」結果、尾方が選出されたという。 女子についても、3人目は中村か森本で討議され、初マラソンながら後半(ハーフマラソン)を1時間11分07秒で走っていること、また「この顔ぶれの中で堂々と優勝したこと」が評価され、中村の選手に至ったという。
 木内強化副委員長は「現時点で戦える最高の選手を選んだ」と説明した。

 澤木啓祐専務理事は、「男子は堅実に走ってくれると思うが、メダルとなると厳しいのではないか。女子は、大変なプレッシャーがかかると思うが、プレッシャーを感じるのか感じないのかによってメダルの色も変わってくるのではないか。いわゆる新人の中村がどこまで通用できるのか、期待感も込めて選出した」と選考について語り、高野進強化委員長は選出された代表選手6名について「マラソンは、4年間のオリンピック周期でメダルを目指し強化をしてきている。選手、所属の監督、強化委員会が準備を進めてきた、そして期待をかけてきた選手が選ばれたのではないか。非常に信用のおける調整、トレーニングをしてくれている選手たち。当たるか外れるか、ではなく、これまでの準備の集大成をしっかりとしてくれるのではないかという期待がかかる」と評価した。
 
 昨夏の大阪世界選手権で銅メダルを獲得し、五輪2大会連続の代表に決定した土佐礼子(三井住友海上)が会見に出席し、「正式に決定ということで新たな気持ちで一日一日を大切に北京五輪まで過ごしていきたい。無事に故障なくスタートラインに立てることを目標に、しっかりやっていきたい」と、代表に正式に決まった心境を語った。
 ともに日の丸をつけて戦うメンバーが野口と中村に決まったことについて「野口さんは金メダリストなので胸を借りるつもりで走りたい。中村さんは年が一回り違うなァと(笑)。若いパワーに負けないように頑張りたい」と話し、さらに野口について「アテネの時は歯が立たなかった。最後までメダル争いについていって、最後は良いゴールをイメージしたい」と笑顔で意気込んだ。
 
 北京五輪のマラソンは、女子が8月17日、男子は大会最終日の同24日に行われる。

北京五輪マラソン日本代表選手
<男子>
■佐藤敦之(中国電力)
07年福岡国際3位、2時間7分13秒。 
1978年5月8日生まれ。170センチ、55キロ。自己ベスト2時間7分13秒。

■大崎悟史(NTT西日本)
08年びわ湖毎日3位、2時間8分36秒。
1976年6月4日生まれ。177センチ、58キロ。自己ベスト2時間8分36秒。

■尾方剛(中国電力)
07年世界選手権5位、2時間17分42秒。
1973年5月11日生まれ。165センチ、50キロ。自己ベスト2時間8分37秒。

<女子>
■土佐礼子(三井住友海上)
07年世界選手権3位、2時間30分55秒。
1976年6月11日生まれ。167センチ、46キロ。自己ベスト2時間22分46秒。

■野口みずき(シスメックス)
07年東京国際優勝。2時間21分37秒。
1978年7月3日生まれ。150センチ、41キロ。自己ベスト2時間19分12秒。

■中村友梨香(天満屋)
08年名古屋国際優勝、2時間25分51秒。
1986年4月1日生まれ。165センチ、50キロ。自己ベスト2時間25分51秒。