24日、南アフリカワールドカップグループリーグF最終節がポロクワネで行われ、パラグアイ(FIFAランキング31位)とニュージーランド(同78位)が対戦した。守備的な両国の対決ということもあり、互いに静かな立ち上がりとなった。時間が進むにつれパラグアイが押し気味に試合を展開し、前半を0対0で折り返す。その後も実力に勝るパラグアイが攻勢を仕掛けるが、ニュージーランド守備陣からゴールを奪えず、そのままスコアレスドローで試合は終了。パラグアイが勝ち点1を積み上げ、F組トップで決勝トーナメント進出を決めた。

 ニュージーランド、3戦無敗の大健闘(ポロクワネ)
パラグアイ 0−0 ニュージーランド

全64試合詳細レポートと豪華執筆陣によるコラムはこちら

 F組の最終節パラグアイ対ニュージーランドの試合は両者慎重な立ち上がりとなった。これは守備的なチーム同士の戦いという点以外にも、順位で上に立つパラグアイが引き分けでもグループリーグ通過が決まるため、リスクを冒さなかったことが起因した。

 時計の針が進むにつれ、徐々にペースを掴んだのはパラグアイだった。18分、FWロケ・サンタクルス(マンチェスター・シティ)のポストプレーからDFデニス・カニサ(レオン)がミドルシュートを放つ。29分にもカニサがMFエンリケ・ベラ(LDUキト)とのワンツーから再びミドルシュートを打つ。ともに枠を逸れ得点に至らなかった。

 その後もパラグアイが押し気味に試合を進めるが、シュートはミドルレンジからのものが多かった。攻撃のパターンはFWオスカル・カルドーソ(ベンフィカ)とサンタクルスにボールを預けると、両サイドのFWネルソン・バルデス(ドルトムント)とカニサが絡むほどで、無理に人数をかけない攻めで前半を0対0のスコアで終えた。

 対するニュージーランドは長身選手を揃える利点を生かし、ロングボールを中心とした高さで勝負をする。しかしクロスや長いボールの精度を欠き、FWロリー・ファロン(プリマス)など前線の選手に合わないシーンが目立った。

 後半に入っても、試合巧者パラグアイのペース。17分、右からのコーナーキックを短くつないでカニサがクロスを入れると、ニアサイドでMFクリスティアン・リベロス(クルス・アスール)がヘディングで合わせる。シュートは枠内に飛び込むが、GKマーク・パストン(ウェリントン・フェニックス)に阻まれる。31分には、交代で入ったエドガル・ベニテス(パチューカ)がサンタクルスの横パスをPA内で受け、右足でシュートを放つ。これもパストンに止められゴールは奪えない。

 一方のニュージーランドは攻められる展開が続くも、守護神パストンが好セーブを連発し劣勢のチームを救った。33分、パスを受けたサンタクルスがPA内に侵入し抜け出ようとしたところを鋭い飛び出しで防ぐと、36分にはゴール正面やや右からのサンタクルスが放った強烈なフリーキックを弾き返してゴールを死守した。

 試合は終盤に両チームが惜しいシーンを作るが得点にはならない。パラグアイの攻撃は37分、左サイドからのセンタリングに合わせた途中出場のルーカス・バリオス(ドルトムント)のヘディングはゴール右に外れた。対するニュージーランドは直後に、右サイドからクロスを入れたボールにFWシェーン・スメルツ(ゴールドコースト・ユナイテッド)が頭で合わせたが、枠の左に逸れていく。

 そのまま互いに無得点でロスタイムを迎える。3分の残り時間を、引き分けでよいパラグアイは、ニュージーランドの反撃を許さず、試合終了の笛が鳴る。スコアレスドローで両者勝ち点1を分け合った。

 パラグアイは終始試合をコントロールし、隙のない戦いを見せた。勝ち点を5としF組の首位を守り、02年日韓大会以来のベスト16入りを果たした。ここまで失点1と守備が安定しているだけに、攻撃陣が得点を奪えるかが今後のカギとなる。

 対するニュージーランドは3試合すべてに引き分け、3位でグループリーグ敗退となった。しかし28年ぶり2回目の出場でW杯初の勝ち点を奪い、無敗で大会を終えたことは大方の予想を覆す大健闘と言える。この自信を胸に4年後も成長を続ければ、オールホワイツと呼ばれるオセアニアの小国が初勝利をあげる日もそう遠くないかもしれない。

(杉浦泰介)


【パラグアイ】
GK
ビジャール
DF
ダ・シルバ
J・カセレス
カニサ
モレル
MF
V・カセレス
リベロス
ベラ
FW
バルデス
→ベニテス(67分)
カルドーソ
→バリオス(66分)
サンタクルス

【ニュージーランド】
GK
パストン
DF
ネルセン
リード
スミス
MF
ロックヘッド
バートス
ヴィセリッチ
エリオット
FW
スメルツ
キレン
→ブロッキー(79分)
ファロン
→ウッド(69分)