6日、南アフリカワールドカップ準決勝がケープタウンで行われ、ウルグアイ(FIFAランキング16位)とオランダ(同4位)が対戦した。立ち上がりからやや押し気味に試合を進めたオランダが前半18分、DFジャバンニ・ファン・ブロンクフォルスト(フェイエノールト)の強烈なミドルシュートで先制する。しかし41分、ウルグアイもFWディエゴ・フォルラン(アトレティコ・マドリッド)がミドルシュートを決め同点に追いつく。ハーフタイムを挟み、オランダはラファエル・ファン・デルファールト(レアル・マドリッド)を投入し攻撃的な布陣にシフトすると、25分にMFヴェズレイ・スナイデル(インテル・ミラノ)、28分にアリエン・ロッベン(バイエルン・ミュンヘン)が追加点をあげウルグアイを突き放す。その後、相手の反撃を1点で食い止めたオランダが3対2で勝利し、78年アルゼンチン大会以来32年ぶりに決勝進出を果たした。

 欧州予選を含め今大会14連勝で優勝に王手(ケープタウン)
ウルグアイ 2−3 オランダ
【得点】
[ウ] ディエゴ・フォルラン(41分)、マキシ・ペレイラ(90+2分)
[オ] ジオバンニ・ファン・ブロンクホルスト(18分)、ヴェズレイ・スナイデル(70分)、アリエン・ロッベン(73分)

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 準決勝第1戦は過去に2回ずつ決勝へ駒を進めた両国の対戦となった。ウルグアイが勝てば60年ぶり、オランダが勝てば32年ぶりの決勝進出となる。ウルグアイは準々決勝でPK戦までもつれこむ激戦を勝ち抜いてきた。延長後半終了間際に自陣ゴール前でハンドを犯し退場となったルイス・スアレス(アヤックス)、守備の要ディエゴ・ルガーノ(フェネルバフチェ)を欠いて準決勝に臨む。一方、オランダも右サイドバックのグレゴリー・ファン・デルビール(アヤックス)、中盤の底でチームを支えたナイジェル・デヨンク(マンチェスター・シティ)が累積警告で出場できない。お互いにこれまでとはやや違った布陣でセミファイナルの舞台に立った。

 立ち上がりからボールを持ったのはオランダだ。圧倒的なポゼッションでウルグアイを圧倒し主導権を掴んでいく。4分には右サイドからの崩しでスナイデルがクロスをあげる。GKネストル・ムスレラ(ラツィオ)が一旦弾くものの、そこへ反応したFWディルク・カイト(リバプール)がシュートを放つ。これはクロスバーの上を越えるが、総合力で上回るオランダがウルグアイ陣内でボールを回す時間が多くなった。

 対するウルグアイは前線からプレスをかけ、少ないパス交換でオランダゴールへと迫る。それでも、フォルランと攻撃の核となっていたスアレスがいないため、DFライン裏への飛び出しが少なくなかなか決定機を作るには至らなかった。

 オランダに先制点が入ったのは前半18分。右サイドからのスローインをゆっくりとパスをつないで、ゴールから30m付近で攻撃の機会をうかがう。ピッチ中央から左サイドバックのファン・ブロンクホルストにボールが渡ると、ファン・ブロンクホルストは鋭く左足を振りぬく。シュートは一直線にウルグアイゴール右隅に向かい、ムスレラが必死のセーブを見せるものの、ボールは右ポストに当たりゴールへと吸い込まれた。大一番で今大会屈指のファインゴールが決まり、オランダが1点をリードした。

 その後はウルグアイが幾度かチャンスを作る。スアレスに替わってフォルランとツートップを組んだエディソン・カバーニ(パレルモ)が体を張ったプレーでフリーキックのチャンスを得るなど、段々とオランダゴールへ近づく。そして迎えた41分、中盤からパスを受けたフォルランがPA外からドリブルでゴール方面へ体を向けると、左足で豪快なミドルシュートを放つ。ややカーブのかかったシュートは抑えが利いており、しっかりとゴールの枠をとらえていた。GKマールテン・ステケルンブルク(アヤックス)が少しだけボールに触れたものの、シュートの勢いは衰えずそのままオランダゴールへと入っていった。フォルランの今大会4ゴール目でウルグアイが試合を振り出しに戻した。

 そのまま前半を1対1で終了すると、オランダのベルト・ファン・マルバイク監督は積極的な選手起用に打って出た。前半終了間際に相手と激しい接触のあったMFデミー・デゼーウ(アヤックス)に替え、ファン・デルファールトを投入。今大会初めてスナイデル、ロッベン、FWロビン・ファン・ペルシー(アーセナル)にファン・デルファールトを加えた“ビッグ4”と呼ばれる豪華な攻撃陣がそろい踏みになる形となった。

 デゼーウのポジションにファン・デルファールトが入ったことで、後半のオランダのパス回しはさらにスムーズになった。ウルグアイが攻撃を作ることができないため、MFマルク・ファン・ボメル(バイエルン・ミュンヘン)のワンボランチで十分に対応でき、ファン・デルファールトは攻めの起点として存分に力を発揮できた。

 すると25分、左サイドからロッベンが突破をみせDFを引きつけると、ゴール前のファン・ペルシーへパス。さらに細かくスナイデルにボールを渡すと、DFでブラインドになったところからシュートを放つ。グラウンダーのボールはファン・ペルシーの足元を抜け、ゴール右隅へとコントロールされる。これが決まりオランダが2対1と勝ち越しに成功する。

 さらにその3分後、ピッチ中央でスナイデルがボールを持つと、左サイドに展開したカイトへパスを通す。ノーマークでゴール前にクロスを上げると、そこへ走りこんできたのはロッベンだった。一旦ゴールから遠ざかる動きでDFを外すと、ヘディングをたたきつけ左サイドネットを狙った。GKムスレラはこのヘディングに全く反応することができずたた見送るだけ。シュートはポストに当たりながらウルグアイゴールへと吸い込まれた。ダメ押しとなる3点目が入り、オランダが決勝進出を一気に引き寄せた。

 ウルグアイも反撃に出ようとするが、オランダの組織的な守備をなかなか崩すことができない。終了間際に早いリスタートからDFマキシ・ペレイラ(ベンフィカ)が左足でシュートを決めるが、残り時間が少なく同点に追いつくところまでは行かなかった。

 試合は3対2でオランダが勝利し、32年ぶりに決勝進出を果たした。オランダは過去2回の決勝でいずれも敗れており、今回こそは悲願の初優勝を飾りたい。攻撃陣の迫力はやはり今大会屈指のものがある。ビッグ4とカイトは、互いにポジションを入れ替えつつ得点ができる能力を持っているため、どんな組み合わせでもゴールへと向かうことができる。さらにDF陣も安定した守備を見せており、大きな心配はない。決勝の相手はドイツかスペイン。いずれが決勝へ駒を進めても、好勝負となることは間違いなさそうだ。

(大山暁生)

【ウルグアイ】
GK
ムスレラ
DF
ビクトリーノ
ゴディン
カセレス
M・ペレイラ
MF
ガルガーノ
アレバロ
ペレス
A・ペレイラ
→アブレウ(78分)
FW
カバーニ
フォルラン
→S・フェルナンデス(84分)

【オランダ】
GK
ステケルンブルク
DF
ハイティンガ
マタイセン
フンテラール
ファン・ブロンクホルスト
MF
ファン・ボメル
デゼーウ
→ファン・デルファールト(46分)
スナイデル
FW
カイト
ロッベン
→エリア(89分)
ファン・ペルシー