この6月、ついに開幕の時を迎えた世界最大級のスポーツイベント「2010FIFAワールドカップ」。世界が熱狂と興奮に包まれる中、アジア地区代表として参戦したサッカー日本代表は、グループリーグ第1節において、難敵カメルーンを見事撃破。この1つの勝利で、日本国内においても大きな盛り上がりを見せ始め、日本は決勝トーナメント進出を果たした。 
 サッカー競技に対し、国民の注目が集まる4年に1度のワールドカップ・イヤー。このチャンスを逃すことなく、Jリーグなどの国内サッカーイベントの活性化にもつなげていきたいところである。
 6月19日(土)、松山市道後町にある「ひめぎんホール」にて、グループリーグ第2節となる日本対オランダ戦のパブリックビューイングが開催された。
 約1000人収容可能なコンサートホールを借りて、舞台上に320インチのモニターを設置。日本対オランダの生中継を、その大画面に映し出し、皆で日本代表を応援しようというイベントである。

 このイベントは、(財)愛媛県文化振興財団や(財)愛媛県体育協会、NHK松山放送局が主催したもので、愛媛FCも協力参加している。
 今回、私たち「愛媛FCサポーターズクラブ・ラランジャ トルシーダ」も応援のレクチャーやコールリーダーとして、このイベントに参加し、会場の盛り上げをお手伝いすることになった。
 
 日本代表が第1戦を勝利した影響だろうか、当初、800人限定ということで参加者の募集を行ったイベントであったが、あまりにも入場希望者が多かったため、急遽、ホール2階奥の座席も開放し、1000人近くが参加するという大イベントとなったのである。
 愛媛FCのサポーターを始めて以来、4年毎にワールドカップの予選や本戦のパブリックビューイング会場などで応援コールリーダーを行ってきたが、今回のようにコンサートホールを貸し切っての大規模なワールドカップ・イベントへの参加は初めてである。
 
 この日、会場ではパブリックビューイングだけではなく、愛媛FC選手との握手・サイン会やキックターゲット、また、バルバリッチ監督による日本対オランダの見どころ解説なども行われ、大変な賑わいぶりであった。
 
 試合直前に応援のレクチャーを行わせていただいたのだが、観客の方々は皆、乗りも良く、各チャント(応援歌)を手拍子を打ちながら大きな声で歌って下さった。
 残念なのは同時刻、隣接した別のホールにてクラシックバレーのリハーサルが行われており、それを阻害するような大きな音を出すことが禁じられ、会場管理者から「前半戦終了までは、太鼓等の鳴り物は禁止」とされてしまったことである。

 そんな状況下でも、いざ試合が始まれば皆、大熱狂! 応援コールの合唱と手拍子で大いに盛り上がる。
 後半戦からは思う存分、太鼓を打ち鳴らし、応援コールをリードすると場内は、更にヒートアップ! まるで南アフリカの試合会場にいるかのような熱狂と興奮に包まれていた。
 
 試合は、残念ながら0−1で惜敗を喫してしまったが、強敵を相手に善戦した日本代表に向けて、観客の方々からは「ニッポン! ニッポン!」のコールが最後まで送られていた。
 
 試合の前後で、会場に来られている方々とお話しをする機会があったのだが、「愛媛FCのサポーターだ」という方が多かった半面、「サッカーの応援イベントは生まれて始めて」「普段、Jリーグ(愛媛FC)などのサッカーを会場に足を運んで観戦することはない」などと語られていた方々も少なくはなかった。
 
「日本代表のサッカーにだけ興味がある」
 確かにそんな人も国内には、多いのかもしれない。でも、今日この会場に足を運んでくれた方々はサッカーイベントを通じ、皆で熱く応援し、多くの人々と気持ちを共有する楽しさや感動を味わってもらえたのではないかと思うのだ。
 この楽しさを少しでも感じてもらえたならば、きっと私たちが待っているスタジアムにも足を運んでくれる日も遠くはないと、そう信じている。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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