27日からプロ野球ペナントレースが再開する。現在、首位はセ・リーグが巨人、パ・リーグが埼玉西武だ。これを2位の阪神、福岡ソフトバンクがそれぞれ0.5ゲーム差で猛追している状態だ。2007年から始まったクライマックスシリーズ(CS)進出には3位までに入らなければならいないが、東京ヤクルトと北海道日本ハムが前半戦の終盤に巻き返し、4位にまで浮上している。特に日本ハムは3位・千葉ロッテとは4ゲーム差とAクラス入りの可能性は十分にある。果たして、巨人と西武は2位以下の追い上げをしのぎ切り、このまま頂点をつかむことができるのか。
 セ・リーグでは3連覇を狙う巨人が、4月10日に首位の座を奪取して以降、一度も陥落することなくトップを走り続けている。しかし、ここにきて開幕前から不安視されていた投手陣の不安定さが露呈してきた。前半の終盤にはリーグワーストタイとなる12試合連続2ケタ被安打を浴び、思うように貯金を伸ばすことができなかった。現在、チーム防御率は4.02で上位4チームではワーストの記録だ。

 この状況下、後半戦のキーマンとなるのが復帰間近といわれているグライシンガーだ。3月に右ヒジを手術したグライシンガーだが、リハビリが順調に進み、いよいよ満を持しての登場となりそうだ。既に17日にはファームで実戦のマウンドに上がり、6回3失点とまずまずの結果を残した。25日には1軍のシート打撃にも登板し、仕上がり具合のよさを見せている。スタミナが不安視されるものの、それでもエース復活はチームにとっては優勝への起爆剤となるはずだ。打線は周知の通り、12球団随一。投打がかみ合えば、優勝経験豊富なチームだけに3連覇の可能性が高まりそうだ。

 一方、2年ぶりのリーグ優勝を狙う西武だが、投打ともに相次ぐ主力の故障に苦しんでいる。右肩痛でリハビリ中の岸孝之は、8月中の復帰を目指していたものの、未だ軽いキャッチボール程度と本調子には程遠い様子だ。逆に予定よりも復帰が早そうなのが、6月に右足首を手術した石井一久だ。ブルペンでの投球練習では既にキャッチャーを座らせており、早ければ8月早々には台所事情の苦しいチームの救世主となりそうだ。後ろには藤田太陽、リーグトップの24セーブをあげているシコースキーとリリーバーは安定しているだけに、先発陣の再建が勝敗のカギとなる。

 また、野手では6月に右ヒジ遊離軟骨除去手術を受けた主砲・中村剛也の早期復帰も待たれる。その中村不在の穴を埋めているのが、緊急補強として5年ぶりに古巣に復帰したフェルナンデスだ。現在、わずか8試合ながら打率3割4分4厘、2本塁打、7打点をマークしている。ここに中村が加われば、さらに打線の厚みが増し、相手チームにとってはまさに脅威となる。

 今季は全体的に主力の故障が多く、どのチームも選手起用に苦しんだ。その中で松本哲也(巨人)、金本知憲(阪神)、林昌勇(東京ヤクルト)、藤田太陽、小久保裕紀(福岡ソフトバンク)、バルディリス(オリックス)などのように、早めの復帰がチームに大きな影響を及ぼしているのだ。
 今年は例年以上に暑い日が続いている。気象庁によれば残暑も厳しくなる見込みだ。スタミナが消耗し、ケガ人が多くなるこの時期、いかに故障者を出さず、そして早期復帰できるか。後半戦、勝負の分かれ目はここにあるのかもしれない。