現在発売中の週刊現代にて編集長が千葉ロッテの伊東勤監督に取材をしました(「小心者だから、勝負に勝てるのです」とのタイトルで5ページに渡って特集記事を執筆しています)。

 今季のロッテは戦力的に大きな補強もなく、戦前の予想はBクラスが大半でした。そんななか、新指揮官はショートに鈴木大地、キャッチャーに江村直也や田村龍弘らを次々と抜擢。投げては育成出身の西野が8勝をあげ、 優勝争いを演じています。

 伊東監督は西武で指揮を執っていた時も、中島裕之や中村剛也をブレイクさせました。若手を花開かせる秘訣はどこにあるのか。編集長のインタビューも、その話題がひとつのテーマとなりました。

「若手に経験を積ませるといっても、負けている時に使ってもあまりプラスにならない。勝っている時に使ってこそ意味があると思います」

 伊東監督の発言に、その答えはありました。「人間は経験を重ねて成長する」とはスポーツ界のみならず、一般社会でもよく用いられる表現です。しかし、単に場数を踏んだら、うまくいくほど物事は単純ではありません。経験と一口で言っても内容と質が問われます。

 負けている時、大差がついた展開で試合に出ても、本物の勝負は体験できないでしょう。勝っている場面、しびれるような状況で体験したことが血となり、肉となる。

 そういえば、名将・野村克也さんも「日本シリーズを経験するとキャッチャーは成長する」と語っていました。伊東監督自身も現役時代、常勝ライオンズの扇の要として14度のリーグ優勝と8度の日本一を経験しています。その成功体験の蓄積が、このような人材育成の哲学をつくりあげたのだと感じました。

 編集長は常々、マネジメントの要締は「適材、適所、適時」と語っています。有望な素材を、成長につながる場所で、タイミングよく役割を与え、経験を積ませる。昨年も失速した正念場の夏、1シーズンを戦った実績のない選手が多いチームを伊東監督は、どうマネージするのか。編集長とともに注目したいと思っています。

(スタッフI)
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