25日、東アジアカップ2013の第2戦が韓国・華城競技場で行われ、日本代表がオーストラリア代表を3−2で下した。序盤からボールを支配した日本は前半26分、MF齋藤学のゴールで先制。リードして試合を折り返すと、後半11分にはFW大迫勇也が追加点を決めた。その後、31分に1点を返され、34分にはFWトミ・ユリッチに同点弾を奪われた。しかし、直後に大迫が勝ち越しゴールを決めた。大会初勝利を挙げた日本は、28日の韓国戦を引き分け以上で終えれば優勝が決まる。

 齋藤、得意のドリブルから先制弾(華城競技場)
日本代表 3−2 オーストラリア代表
【得点】
[日] 齋藤学(26分)、大迫勇也(56分、79分)
[オ] ミッチェル・デューク(76分)、トミ・ユリッチ(79分)
 フレッシュな力がチームを勝利に導いた。アルベルト・ザッケローニ監督はドローに終わった中国戦から先発11人を総入れ替え。5選手がA代表デビューを果たした。その中で輝きを放ったのは齋藤と大迫。いわゆるロンドン世代の2人だ。

 最初に持ち味を発揮したのは齋藤だった。前半8分、右サイドでボールを受けると、一気にスピードを上げてPA内右にまで侵入して中央へ折り返した。MF山田大記のシュートはゴール右へ外れたものの、齋藤が“ハマのメッシ”と呼ばれる所以を見せつけた。

 26分の先制ゴールも、齋藤らしさが詰まっていた。左サイドでボールを持つと中央に向かってドリブルを開始。PA内で2人のDFを細かいステップとキックフェイントを織り交ぜてかわし、右足でゴール左に決めた。自分のかたちから奪った代表初ゴールに「中国戦では何もできなかったので、その反省を生かして点をとれたのはうれしい」と喜びを口にした。

 前半は齋藤のゴールのみに終わった日本だが、後半立ち上がりに2点目を奪った。11分、大迫が決めた。FW豊田陽平がPA手前で落としたボールを齋藤がスルー。これを右足アウトサイドで前方へコントロールし、右足でゴール左へ突き刺した。DF2人からプレスをかけられ、GKも前に出てきていた場面で、大迫の冷静さが光った。

 日本はいい流れで試合を進めていたと思われたが、小さなミスからオーストラリアに反撃を許す。31分、DF徳永悠平がPA手前で相手のロングパスを頭でクリアしたボールがFWミッチ・ニコルズに渡ってしまう。ニコルズから裏へパスを通され、デュークに右足でゴール左下に流し込まれた。
 34分には、ゴール前に出された縦パスをユリッチにキープされ、左足で直前の失点と同じコースに決められた。あっという間に試合を振り出しに戻され、オーストラリアに流れが傾きかけた。

 だが、追いつかれた直後だった。途中出場の工藤がPA手前の豊田へパス。その落としを受けた大迫が右足を振り抜き、ゴール左下へねじ込んだ。「流れが悪い中で得点を決められて良かった」と本人も納得の一撃だった。

 その後、前に出るオーストラリアに押し込まれたものの、体を張った守りでシュートを打たせず。大会初勝利を挙げるとともに、首位に浮上した。

「いい試合だった。選手たちはいい仕事をしてくれた」
 ザッケローニ監督は接戦をモノにした選手たちを称えた。指揮官にとって収穫だったのは、勝利よりも新戦力が結果を残したことだろう。齋藤は持ち前の個の力、大迫は前線で起点になりながら決定力の高さを示した。ただ、代表定着のためには継続して好パフォーマンスを披露する必要がある。齋藤は「もっとチャンスに絡んでいきたい」と意欲を見せた。

 最終戦を引き分け以上の結果で終われば初優勝となる。優勝のプレッシャーがかかる中で、代表経験の浅い選手たちが本来の実力を発揮できるか。指揮官もファンも、さらなる新星出現を望んでいる。

<日本代表出場メンバー>

GK
権田修一
DF
森脇良太
鈴木大輔
千葉和彦
→栗原勇蔵(83分)
徳永悠平
MF
高橋秀人
扇原貴宏
→山口螢(62分)
齋藤学
→工藤壮人(73分)
大迫勇也
山田大記
FW
豊田陽平