ゴールデンウィーク中、いかがお過ごしでしょうか。アベノミクスで景気は良くなりつつあると言われていますが、円安で海外に出かける方は例年より少ない見込みだとか。スポーツの試合やイベントも各地で多数開催されていますから、それらを楽しんでいらっしゃる方も多いかもしれませんね。
アベノミクスに対する評価はともかくとして、このフレーズは2013年の流行語大賞の有力候補でしょう。某予備校講師の「いつやるか? 今でしょ!」や、某朝ドラでヒロインがたびたび口にする「じぇじぇじぇ!」(驚いた時に飛び出す)もブレイクしていますが、アベノミクスほどの広がりはないように感じます。
その証拠に各メディアや街中でも、「アベノミクス」をもじった表現が頻繁に見られるようになってきました。たとえば、野球の「アベノミクス」。巨人・阿部慎之助選手の一打でチームの勝率も株価並みに上昇、といった記事がスポーツ紙に出ていました。
スポーツ関連では「カガワノミクス」なる言葉も見つけました。マンチェスター・ユナイテッドのリーグ制覇に貢献したMF香川真司選手の株が現地で再び上がっているのだとか。若干、こじつけっぽい感じもありますが、こういったシャレっ気のある記事もおもしろいものです。
個人的に一番、ツボにハマったのは近所の行きつけの食堂が始めた新メニューです。題して「アゲモノミクス」。内容は海老フライにトンカツ、クリームコロッケと、いわゆる揚げ物(アゲモノ)がお皿にてんこ盛りで出てきます。
「これ、ネーミングがおもしろいですよ」
注文しながら店長シェフにそう伝えると、「そうでしょう? おかげさまで結構売れているんです」と顔をほころばせています。
ただ、ひとつ気になったのは価格です。比較的、良心的な値段のメニューが並ぶ中、この「アゲモノミクス」だけが1000円台と若干高い。会計の際、店長に「新メニューなのはわかるけど、もうちょっと安くしてくれるとうれしいなぁ」と伝えると、笑顔でこう返されました。
「うちもデフレで結構、ギリギリでやってきたから、リフレしようと思ってね!」
店長に座布団1枚! これには返す刀がありません。僕は財布の中から1000円札を出しながら、残りの野口英世の枚数(福澤諭吉ではありません……)を、こっそり数えるしかありませんでした。
末端の市民にとってはアベノミクスの恩恵は実感がなく、何かいいことはないものか……。「そうだ!」と思い立ったが吉日、過日、編集長にこんな提案をしてみました。
「アベノミクスにならって、ウチもやりましょうよ。ニノミヤノミクスなんてどうでしょう?」
「ニノミヤノミクス?」
原稿を執筆中の編集長は「何だ、そりゃ?」という表情です。
「ほら、アベノミクスは3本の矢だというじゃないですか」
「金融緩和、財政出動、成長戦略だろ? 成長戦略をどう描くかがこれからの課題だからな」
「だから、ニノミヤノミクスも金融緩和から始めましょうよ。やはりお金が外へ出回らないと、明るい気分になりませんからね」
「金融緩和? オレは日銀じゃないぞ」
「そうですよ。ニノミヤノミクスですから、編集長が日銀の代わりにスタッフへ資金を供給するとか……」
「……」
編集長は急に黙って原稿用紙に向かって何かを大きく書き始めました。
「よし、分かった。ニノミヤノミクスを発表しよう」
「本当ですか? やった!」
「これが3本の矢だ。読んでみろ」
手渡された原稿用紙に書かれていた文字は……。
「好企画立案、総力取材、締切厳守」
「何ですか。これは?」
「アベノミクスがどうなろうと、この3つを目標に掲げれば仕事は殺到する。そうすれば、ウチに必ずお金が巡ってくる。これがニノミヤノミクスだ!」
確かに、おっしゃる通りです。何かのおこぼれに預かろうとしても、ロクなことはありません。ニノミヤノミクスの3本の矢。これらを肝に銘じ、今後も仕事に精進致します……。
(スタッフI)
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