最近まで日本列島は春の陽気を感じたと思ったら、翌日には真冬のような寒さが戻り、さらに今度は真夏日を観測したりと、寒暖の差が激しい日々が続いていましたね。

 こんな時、特に困るのは服装です。「そろそろ冬のコートをしまおうかな」と思った矢先に寒くなったり、そうかと思えば、今度は春や夏の服を出さなければいけなかったり……。クローゼットやタンスの中が整理できずに困っている人も多いのではないでしょうか。毎朝、服を選ぶのにも、一苦労ですよね。

 そんなコロコロ変わる気候に、かく乱させられたと思われるのが、編集長です。ある日の対談でのことです。前日まで2、3日、ぽかぽか陽気だったのが一転、その日は雪でも降るのではないかと思われるほどの寒さに戻っていました。

 朝9時半。対談場所に直接向かうと、まだ編集長は来ていませんでした。ビルの中とはいえ、朝ということもあって冷え切ったエントランス。行き交う人たちは皆、冬のコートに、しっかりとマフラーを首に巻いていました。人一倍寒さに弱い私などは、手袋まではめていたのです。

 すると、遠くの方から足早に歩いてくる人が見えました。見ると、コートもマフラーも装着せず、羽織っているのはジャケットのみ。
「うわぁ、寒そう。あの人、絶対に今日の服装、失敗したと後悔しているだろうな」
 そんなふうに他人事のように思いながら、顔をよく見ると……なんと編集長だったのです!

「いやぁ、寒い、寒い。今日も暖かいと思って、コート着てこなかったよ」
「編集長、今日の最高気温は一桁ですよ……」
「えぇぇぇ! それを早く言ってくれよ~」
「えっ、あ、はい、そうですね。メールでお知らせすればよかったですね……」

 そんな会話を交わした約1週間後のこと。今度は、春を通り過ぎて夏になってしまったのかと思うほど、気温がグンと上がりました。その日は事務所から編集長と対談場所に向かうことになっていました。

「編集長、もうそろそろ事務所を出る時間ですが……」
 そう言って書斎を開けると、私は思わず「えっ!?」と驚嘆の声をあげてしまいました。なんとそこには、タートルネックの分厚いセーターに、冬のジャケットを着た編集長が立っていたのです。

「どうした?」
「あの、今日は最高気温が25度以上という予報ですが……」
「えっ!? そうなの? もっと早く言ってくれよ~」
「えっ、あ、はい。すみません……」

 結局着替える時間はなく、編集長は分厚いセーターに身を包んだまま、対談に行かざるを得ませんでした。すると対談相手の選手は練習後ということもあり、ノースリーブのシャツ姿で登場してきたのです。2人のコントラストは実に見事なものでございました……。

(スタッフS)
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