30日、日本サッカー協会(JFA)は日本代表新監督にロベルト・ザッケローニが就任することを発表した。これまで原博実技術担当技術委員長を中心に複数の候補者と交渉にあたってきたものの、話し合いが難航し監督選出が大幅に遅れる事態となっていた。就労ビザ発給の関係で新チームのスタートとなる9月4日のパラグアイ戦、7日のグアテマラ戦のベンチ入りは叶わず、原委員長が代行監督として指揮を執ることになる。ザッケローニ氏はすでにイタリアから日本へ入っており、明日31日に協会幹部とともに記者会見に臨む予定。そのまま日本に滞在し、4、7日の親善試合をスタンドから視察する。
 ザッケローニ氏は1953年生まれの57歳のイタリア人。95年から98年までセリエAの弱小クラブだったウディネーゼを率い、攻撃的な戦術で97−98シーズンにはクラブを3位へと躍進させた。その功績を認められ、翌98−99シーズンからACミランの監督へ就任。1年目でスクデットを獲得するなど、イタリア国内で実績を残してきた。その後もラツィオ、インテル、などイタリアを代表するビッグクラブの指揮した経験がある。09−10シーズン途中から低迷していたユベントスの監督に就任。しかし、クラブは再び浮上することなく7位でシーズンを終え、契約満了のため同クラブから離れた。今季はどのクラブにも契約せず、フリーとなっていた。

 日本協会はこれまで原委員長を中心としたスタッフ数名で、欧州で活躍する指導者を監督候補としてリストアップしてきた。これまで具体的に名前のあがった候補はマヌエル・ペジェグリーニ、エルネスト・バルベルデとスペインを中心に活躍してきた監督人物だっただけに、ザッケローニは意外な人選といえる。さらに、イタリア国内で采配を揮った経験しかない上、最後にスクデットを獲得したのは10年以上前だ。いくつかの不安な要素を持った人物ともいえそうだ。

 原委員長は「日本をひとつ上のランクに持っていける監督を」と言い続けてきた。攻撃的布陣である3−4−3信奉者であるザッケローニが、その役に適しているのか。ザッケローニ監督の初陣は10月8日のアルゼンチン代表(ホーム)、12日の韓国代表(アウェー)。1カ月後、新監督のコンセプトは明らかになる。