“土俵の鬼”の異名をとった元横綱の初代・若乃花、花田勝治氏が1日、腎細胞がんのため東京都内の病院で死去した。82歳だった。花田氏は青森県出身。戦後間もない1946年に初土俵を踏み、50年に入幕。軽量ながら強靭な足腰で大型力士を次々と倒し、番付を上げていった。56年に大関に昇進すると、同年の5月場所で初優勝。58年の1月場所で2度目の優勝を飾り、第45代横綱に昇進した。先輩横綱・栃錦と実力、人気ともに二分し、「栃若時代」を形成。60年3月場所では初の横綱同士による千秋楽全勝決戦を行うなど、相撲人気を高めた。横綱在位は26場所、優勝10回。
 引退後は二子山親方として、行進の指導にあたり、弟の元大関・貴ノ花、元横綱の2代目・若乃花(現・間垣親方)、隆の里(現・鳴戸親方)らを育成。88年に日本相撲協会の理事長に就任すると、「待った」に罰金を設けるなど立ち合いの正常化に努めた。元横綱の3代目・若乃花、貴乃花(現親方)は甥にあたり、理事長退任直前の92年初場所には、貴花田(当時)が平幕で初優勝をおさめ、最後の仕事として天皇賜杯を手渡し、話題となった。