7日、キリンチャレンジカップが大阪・長居スタジアムで行なわれ、日本代表はグアテマラ代表と対戦した。日本は前半立ち上がりから主導権を握り、12分、19分と立て続けに森本貴幸(カターニャ)がゴールを決め、幸先のいいスタートを切る。しかし、22分に中盤でのミスからボールを奪われマリオ・ロドリゲス(ムニシパル)のゴールで1点を返される。後半に入ると追加点を狙うべく岡崎慎司(清水)ら4名の交替選手を送りこむも、ゴールを重ねることはできず2対1のままタイムアップの時間を迎えた。格下相手に2ゴールとやや消化不良の内容で、新生日本代表の2連戦を終えた。

 11カ月ぶりの代表戦ゴールで勝利に貢献(長居)
日本代表 2−1 グアテマラ代表
【得点】
[日] 森本貴幸(12分、19分)
[グ] マリオ・ロドリゲス(22分)
 世界ランク15位のパラグアイに1対0で勝利した日本は中2日で同119位のグアテマラと対戦した。この日のフォーメーションは前戦同様の4−2−3−1。ワントップには森本が入り、トップ下に本田圭佑(CSKAモスクワ)、中盤の両サイドにはW杯前までセレッソ大阪でコンビを組んでいた香川真司(ドルトムント)と乾貴士(C大阪)が起用された。

 キックオフと同時にホームの大歓声に押され日本がペースを握る。左サイドを中心に攻撃を組み立て、グアテマラゴールへと迫っていく。迎えた12分、オーバーラップした長友佑都(チェゼーナ)がライン際にドリブルを仕掛けDFを振り切ると、ゴール前に絶好のクロスボールを上げる。そこへ走りこんだ森本が高い打点からファーサイドへヘディングシュートを叩きこみ先制点を挙げる。南アフリカW杯では出場機会のなかった森本が昨年10月以来の代表通算2ゴール目を記録した。

 その後も動きの質で相手を圧倒した日本は19分に追加点を決める。PA手前でボールをキープした本田がDFラインの裏を狙った香川へスルーパスを出す。抜け出した香川がGKを避けるような浮かせ気味のシュートを放つが、ボールは力なくゴール前へ。そのスペースに詰めていたのは再び森本だ。冷静に左足でゴールへと流し込みスコアを2対0とした。森本にとって代表戦で2ゴールは初めての経験。核となるFWが不在のチームにあって存在感を示し、スタンドで観戦したアルベルト・ザッケローニ新監督へ大きなアピールになった。

 楽勝ムード漂うスタジアムの空気が一変したのは22分だ。自陣で本田がヘッドで落としたボールを橋本英郎(G大阪)がラファエル・カスティージョに奪われると、左サイドから中へ切り込んできたマリオ・ロドリゲスにラストパスが出る。最終ラインに入った岩政大樹(鹿島)と槙野智章(広島)が間合いをつめるものの、ロドリゲスの放った強烈なシュートは日本ゴールへと突き刺さった。シュートが素晴らしかったとはいえ、連係ミスの感は否めず、田中マルクス闘莉王(名古屋)と中澤佑二(横浜FM)が故障で欠場した試合で、守備陣は大きな不安点を残した。

 悪い流れは攻撃にも影響し、1点を返された後、日本はなかなか攻撃の形が見えてこなかった。序盤には頻繁に行われていた前線でのポジションチェンジも影を潜め、攻めは単調なものとなった。

 後半に入り、日本は代表デビューとなる永田充(新潟)らを投入する。原博実代行監督の意図として、ザッケローニ新監督に少しでも選手の特徴を掴んでもらうという采配となった。

 後半の最終ラインはセンターに岩政と永田、右に駒野、左に槙野という布陣。ほとんどぶっつけ本番に近いメンバー構成では安定感のある守備はできない。後半に入ってもグアテマラは手数をかけない出足のいい攻撃で日本ゴールへと迫った。13分、35分にはあわやのシーンも作られた。どうにか失点は免れたものの、DFラインの仕事は及第点とは言い難かった。

 不安が残ったのは攻撃陣も同じだ。後半開始から森本や本田にゴールへの意識は見えたものの、何人かの選手が連動して相手守備陣を崩すシーンは前半に比べ格段に少なかった。38分に森本に代わって中村が投入されてから縦へのパスが通り出したものの、ゴールが生まれることはなく2対1のままタイムアップの笛が吹かれた。

 1点目のシーンでは長友のクロス、森本のヘッドと素晴らしいを見せた。2点目の本田のラストパス、香川の飛び出しにも見るものはあった。しかし、緊張感のある90分を過ごしたパラグアイ戦に比べ、この日の日本は全体で見れば低調なパフォーマンスだった。中2日の過密日程で選手に疲労があったことを考慮しても、物足りない印象は拭えない。相手は南アW杯北中米カリブ海予選の3次予選で敗退したチームだ。日本よりも力の劣るアジアの中堅レベルと大差ないレベルといえる。ホームで1点差では満足のいく内容ではない。

 10月8日のアルゼンチン戦、12日の韓国戦の新生“ザックジャパン”はどのようなメンバーになるのか。9月の2連戦は新監督にとって大きな判断材料になったはずだ。日本がもう一段高いレベルに進むための戦いは、間もなく本格的に始まる。パラグアイ戦がザックジャパンのスタンダードになるよう、新監督には日本に足りないエッセンスを注入してもらいたい。

(大山暁生)

<日本代表出場メンバー>

GK
楢崎正剛
DF
岩政大樹
槙野智章
長友佑都
→永田充(46分)
駒野友一
MF
橋本英郎
細貝萌
香川真司
→岡崎慎司(65分)
乾貴士
→藤本淳吾(46分)
本田圭佑
FW
森本貴幸
→中村憲剛(83分)