女子バレーボール世界選手権が29日から日本で開催される。前回大会に続く地元開催となった日本代表は、北京五輪後から指揮を執る眞鍋政義監督の下、32年ぶりのメダル獲得を目標に掲げている。バレーボールシーズンの到来に合わせ、このほど当HP編集長・二宮清純がMCを務めたニッポン放送ラジオの番組「ファンケルプレゼンツ 二宮清純のスポーツレジェンド」に元日本代表の高橋みゆきさんが登場。スパイク成功のコツや、コート上での知られざる戦い、お家芸復活に求められることなど、質問のサーブを次々とぶつけてみた。
(写真:現在は引退ではなく、今後を考えるための休養中という)
二宮: 高橋さんはお父さんが地元のスポーツ少年団でバレーボールの監督をされていて、弟さん(和人選手)もVリーグの選手。まさにバレーボール一家です。家族全員、背が高いのでは?
高橋: どうですかね? 小さい頃から当たり前だったんで意識したことはありませんが、父は185センチくらいで、母も170センチ近くあります。

二宮: それは普通の家庭に比べれば大きいほうですよ。高橋さんの身長は170センチで、こちらも一般女性の中では長身ですが、バレーボールの世界では、そうとも言えませんよね?
高橋: 海外だと2メートルを超える選手もいますからね。たぶんアタッカーとしては一番小さい部類だと思います。

二宮: それでも世界の強豪相手に、あれだけのスパイクをビシバシ決められたのは、何かコツがあったのでは?
高橋: 身長はどうあがいても勝てません。自分に必要なものはテクニックだと思って、その部分の練習は本当によくやりました。

二宮: ブロックアウトや時間差攻撃といった技術力で相手を上回ろうとしたと?
高橋: それしか自分の生きる道はなかったんです。ブロックアウトをとる時には、相手の小指を狙ってスパイクを打っていました。

二宮: 小指を!? そんなにピンポイントで狙えるものですか?
高橋: 一瞬ですから、あくまでも感覚ですけど、この辺に小指がくるとイメージして打っていました。相手の小指を違う方向に曲げて、脱臼させちゃえという気持ちで打ちましたね。

二宮: 脱臼!? それは恐ろしい。ニックネームは“キラーみゆき”になっちゃいますよ(笑)。
高橋: もちろんタイミングがずれて、そうならないことがほとんどですけど、試合中、イラッときた相手にスパイクを打って痛がっていたら、「ヨッシャー!」って感じでした(笑)。

二宮: それだけコート上では勝利への執念がぶつかり合っているということでしょう。ネットを挟んだ世界では、知られざる戦いが繰り広げられているわけですね。
高橋: そうですね。さすがにネットを越えて掴み合いのケンカは絶対にできないので、地味にやっています(笑)。やっぱりやられたら悔しいので、こちらも必死にやり返す。そこもバレーボールの楽しいところです。

二宮: 思わず相手の悪口とか、放送禁止用語が飛び交うこともあると?
高橋: ありますよ。特に外国の選手が言っている内容はすごい。男子よりも女子のほうがひどいですね。相手は言葉が分からないから、言ったもん勝ちみたいになっています。私はイタリアに行って、イタリア語も少しわかるので「わぁ、今すげぇこと言った」とか思っていました。

二宮: 今は競技を離れて休養しているわけですが、高橋さんはアテネ、北京と2大会連続で五輪を経験しています。ただ、いずれも準々決勝で敗退し、メダルには届きませんでした。さらにもうワンランク力をつけて、世界と互角に戦うには何が必要でしょう?
高橋: それがわかっていたら、私たちも頑張って取り組んでいたと思うんですけどね(笑)。ひとつ言えることは、やはり海外の選手とは体の大きさも違うし、パワーも違う。ということは他の国と同じことをしていても勝てない。個人の技術を高めつつ、日本にしかできないバレーをどこかで見つけられればいいなとは感じています。

<この原稿はニッポン放送「ファンケルプレゼンツ 二宮清純のスポーツレジェンド」9月13日、27日放送分を抜粋、再構成したものです>