11月2日、「FIVB(国際バレーボール連盟)バレーボールワールドカップ(W杯)2007」が開幕した。日本は開会式後に行なわれた初戦、ドミニカ共和国を相手に3−0のストレート勝ちを収めた。だが、緊張からかプレーに精細さを欠き、第1セットの序盤はミスが目立った。また、今年取り組んできたセンター線はほとんど機能せず、ブロックも荒木絵里香の1本のみ。試合後、柳本晶一監督をはじめ、竹下佳江ら選手たちの顔に笑顔はなかった。
(写真:選手に気合いを入れる柳本監督)

日本 3−0 ドミニカ共和国
(25−23、25−18、25−20)
 第1セット、流れは完全にドミニカにあった。木村沙織のライト攻撃が2連続で相手の高いブロックに止められると、リベロの佐野優子が珍しくサーブレシーブをミス……。明らかに選手たちにはかたさが見られた。
 重く角度のあるスパイクを次々と決めていくドミニカに対して、日本はライト攻撃が完全に相手に読まれ、機能しない。特に庄司夕起はライト攻撃、速攻がことごとく相手ブロックに止められ、なす術がない状態だった。
 このままドミニカにいいようにやられてしまうのか――。しかし、ドミニカはサーブのミスが相次ぎ、自らリズムを崩していく。
 ようやく21ポイント目にしてリードを奪った日本は、その後は逆転を許さず一気に決め、25−23で第1セットを先取した。

 第2セットも25−18と連取した日本。だが、庄司はこのセットに入っても調子が上がらなかった。柳本監督は第3セット、その庄司を外し、アジア選手権でいい動きを見せていた杉山祥子を入れる。
 一方、ドミニカは試合が進むにつれ、集中力を欠いたプレーが目立つようになる。サーブミス、タイムアウト明けのアウトオブポジション……挙句の果てにはトスを上げた所に誰もいないといった考えられないミスの連続。両手を挙げて怒りを露にしたキャプテンのコシリ・ロドリゲスをはじめ、選手たちは徐々に苛立ちを見せ始める。
 そんなドミニカを見てか、逆に日本は冷静さを取り戻していった。多彩な攻撃で自分たちのペースをつかんだ日本は、23−15と大差をつける。
(写真:エースとして成長した栗原恵)

 ところが、ドミニカが最後に脅威の粘りを見せた。強烈なジャンプサーブで日本のレシーブをかき乱し、4連続ポイントなどで追いすがった。
 それでも最後は5ポイント差をつけて日本が逃げ切り、3−0でストレート勝ちした。
 センター線はほとんど機能せず、課題点のほうが目立った試合だったが、それでもベテランの高橋みゆきやエースの栗原恵には調子のよさがうかがえたことは明るい材料となった。

(写真:開会式で選手宣誓するキャプテン・竹下佳江)
 若手が多く、司令塔であるセッターも固まっていないドミニカ。試合後の会見で「W杯は五輪の出場権利を獲得する前のステップ。固定した目標はない」とキャプテンのロドリゲスが述べたように、ドミニカは結果を求める段階にはない。
 だが、日本は違う。「3−0で勝ててよかった」――会見で柳本監督がもらしたこの言葉は、今のチームの気持ちをストレートに表している。そして、日本が何を目指しているかが明確にわかる言葉だ。このW杯で3位以内に入り、いち早く北京五輪出場権を獲得する。それが日本の最大の目標であり、使命でもある。

 内容はともあれ、とにかく1勝した。気持ちを切り替え、明日の韓国戦ではスピード感あふれる日本のバレーを思う存分発揮してもらいたい。柳本監督が「一番の勝負どころ」と言う第3戦のセルビア戦を前に勢いをつけたいところだ。