14日、女子バレーボール世界選手権3位決定戦が行われ、日本は32年ぶりとなるメダルをかけて米国と対戦した。前日のブラジル戦同様、フルセットにまでもつれこんだこの試合、勝利への執念を見せた日本が逆転勝ち。世界のトップクラスが集結した今大会で銅メダルを獲得した。 また、前回と同じカードとなった、ともに全勝同士のロシアとブラジルとの決勝戦は、フルセットの末にロシアが接戦を制し、連覇を果たした。
(写真:攻撃の柱としてメダル獲得に貢献した木村<左>と江畑)

日本 3−2 米国
(18−25、25−23、21−25、25−19、15−8)
 第1セット、3−3から米国に3連続ポイントを奪われてリードを許すと、中盤にはWS木村沙織、WS山口舞、WS江畑幸子のサイド陣がたてつづけに米国のブロックにシャットアウトされた。日本はなんとか流れを変えようと、MB荒木絵里香やWS栗原恵を投入するも、米国の多彩な攻撃に対応できず、徐々に点差を引き離されていった。結局、7点差をつけられて、このセットを落とした。

 第2セットは序盤、日本の攻撃に精細さが欠けた。MB井上香織が速攻を外すと、木村のレフトからのスパイクは米国のブロックにつかまる。さらに井上はブロードをネットにかけ、木村のスパイクもラインを割った。その後も木村のバックアタックがブロック、江畑もレフトからのスパイクを外すなど、米国に連続ポイントを許した。この悪い流れを断ち切ったのは前日、今大会初めてベンチ入りしたWS石田瑞穂だった。ピンチサーバーとして投入されると、スパイク、レシーブと攻守にわたって活躍。これで息を吹き返した日本はそれまで米国の壁に苦しんでいた木村のスパイクも決まり始め、15−14とついに逆転に成功した。勢いづいた日本は最大4点差をつける。終盤には米国が追い上げを図るも、最後は救世主となった石田のスパイクが決まり、セットカウント1−1と試合を振り出しに戻した。

 第3セット、試合の主導権を握ったのは日本だった。井上、木村のスパイクが決まり、4−1とリードを奪った。しかし、米国もすぐに追いつき、中盤以降は1点を争う激しい攻防戦が繰り広げられた。終盤になると、米国のサイド陣が本領を発揮。特にチーム一のスコアをマークしているWSデスティニー・フッカーが前後から強力なスパイクを放ち、次々と得点を積み重ねていった。日本はこのフッカーを止めることができず、このセットを落とす。

 後がなくなった日本は、第4セットはスタートからキャプテンの荒木を起用した。その荒木のブロードで先取点を奪った日本は、その後も荒木、石田のサービスエースや、MB山本愛、山口がブロックを決めるなど、第2セットの勢いを取り戻した。米国のミスなどもあり、日本は23−14と大量リードを奪う。しかし、米国も世界ランキング2位の意地を見せ、終盤には5連続ポイントを奪い、猛追する。だが、木村のスパイクで日本がセットポイントを迎えると、最後は米国のトスがコートの外に流れ、日本がこのセットを奪い返した。

 最終セット、3−3から木村のサーブでリードを奪った日本は、石田、山本などの攻撃も決まり、徐々に米国を引き離していった。そして、最後を決めたのはやはりエースの木村。4連続ポイントで14−8とマッチポイントを迎えると、竹下は迷わず木村へトスを上げた。これを木村がきっちりと決め、日本の銅メダル獲得が決定した。

(写真:2年後のロンドン五輪での活躍が期待される“火の鳥NIPPON”
「最大の目標だったメダルをとれたことで、非常に満足している。長丁場だったが、選手は最後まで集中していたし、1試合1試合、チームのレベルが上がっていた」と真鍋政義監督は、32年ぶりのメダル獲得という結果に納得の表情を浮かべた。しかし「我々の最終目標は2012年のロンドン五輪」と語った真鍋監督。世界のめまぐるしい変化に対応できるように、これからも研究していきたい」と指揮官は早くも次を見据えていた。果たして“火の鳥NIPPON”はどこまで成長するのか。世界の強豪国とも十分に戦えることを証明した日本の今後に注目したい。

(写真:斎藤寿子)