17日、UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦の組み合わせが決定した。ディフェンディングチャンピオンでクラブワールドカップを手にしたインテル・ミラノ(イタリア)は昨季の決勝で対戦したバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)と激突、南アフリカW杯で優勝したスペイン代表の主要メンバーやリオネル・メッシ擁するバルセロナ(スペイン)は同じくパスサッカーを身上とするアーセナル(イングランド)との対戦が組まれた。年明けが明けた2011年2月15、16、22、23日に1回戦1stレグが行なわれる。
 欧州各国リーグの上位32クラブが参加するチャンピオンズリーグ(CL)グループトーナメント。その激戦を勝ち抜いた16クラブが決勝トーナメント進出を果たした。

 先日行なわれたクラブW杯を制したインテルは、1回戦から決勝の再現となるバイエルン・ミュンヘンとの試合に臨む。今シーズンのインテルは調子がなかなか上がってこない。ケガ人が続出したこともあるが、最大の理由はクラブをイタリアサッカー史上初の3冠に導いたジョゼ・モウリーニョがレアル・マドリッドへ移り、後任のラファエル・ベニテスのサッカーが機能しないこと。リーグ戦では7位と苦戦が続く。一部ではベニテスの解任報道も流れているほどだ。国内での不調はCLにも影響した。グループAでは目下売り出し中のギャレス・ベイルを擁するトットナム(イングランド)の後塵を拝しグループ2位通過。決勝トーナメント1回戦では他グループ1位との顔合わせになってしまった。

 そのインテルとぶつかるバイエルンも国内リーグは8勝4敗5分けの5位と、インテル同様に調子が上がってこなかった。しかし、シーズン当初は負傷で離脱していたフランク・リベリが復帰し、アリエン・ロッベンも練習に参加するまで回復している。CL躍進の立役者となったイビチャ・オリッチの復帰は叶わないものの、グループEを5勝1敗で通過しており、リーグ戦とはうって変わってCLでは強さを見せている。南アフリカW杯で活躍を見せたトーマス・ミュラーやグループリーグ6ゴールのマリオ・ゴメスら攻撃陣が噛み合えば、インテルに楽々とリベンジを果たすのではないか。

 インテルとバイエルンの他にも、昨年の決勝トーナメントの再現カードが2つもある。そのうちの1つがアーセナル対バルセロナだ。昨年は準々決勝で対戦した両者。互いに得意のパスサッカーを披露し、2戦合計6対3の打ち合いをバルセロナが制した。

 この試合で注目される選手はセスク・ファブレガスだ。バルセロナの下部組織で育ち、スペイン代表にも名を連ねるセスクは、昨シーズンオフにバルセロナ復帰を熱望していた。同時期に行われた南アフリカW杯でスペインが優勝したこともあり、代表でチームメイトになったバルセロナの選手の多くも、セスクのバルサ復帰を歓迎するコメントを多く発表した。しかし、最終的にはアーセナルのアーセン・ベンゲル監督の慰留工作もあり、今季もセスクはロンドンに残りキャプテンマークを巻いている。10−11シーズンはセスクがアーセナルでプレーする最後のシーズンになるのは既定路線といってよい。

 それだけに、バルセロナを相手にCLの舞台で再戦できるのは願ってもないチャンスだ。昨季の対戦では1stレグで右足を骨折し、凱旋試合となるバルセロナのホームスタジアム・カンプノウでの試合は欠場した。クラブも敵地で1対4と完敗。最も悔しい想いをしたのはスタンドから観戦していたセスクに違いない。シャビ、アンドレス・イニエスタらスペイン代表でコンビを組む旧友との再戦を心待ちにしているはずだ。

 もう1試合の再戦カードはリヨン対レアル・マドリッド。昨季は決勝トーナメント1回戦で対戦し、リヨンが2戦合計2対1でレアルを退け、見事に“ジャイアントキリング”を果たした。しかし、今年のレアルは昨年までのレアルではない。先述のとおり、ミラノからモウリーニョがやってきて、クラブは完全に生まれ変わっている。国内リーグではバルセロナとのクラシコで0対5の大敗を喫した以外はほぼ完璧な内容。13勝1敗2分けで2位につけている。CLでもACミラン(イタリア)と同居したグループGで磐石の戦いをみせ5勝1分け。今季から新加入のメスト・エジル、サミ・ケディラのドイツ勢や恩師を慕ってやってきたリカルド・カルバーリョの活躍で、攻守ともにレベルアップしている。

 一方のリヨンは昨季、レアルを破った勢いそのままにクラブ史上初のベスト4に進出した。今年もリサンドロ・ロペスら攻撃陣が鉄壁を誇るレアル守備陣をどれだけ混乱させられるかに注目が集まる。CLではリヨンとレアルの対戦成績はリヨンの3勝3分けと欧州屈指の名門に負けたことがなく、相性は抜群にいい。このデータを味方にし、まずはホームで引き分け以上の結果にすることが再び“白い巨人”を倒すための最低条件となる。

 その他のカードでは、ベイル、アーロン・レノンの両サイドハーフが躍動するトットナムと4季ぶりの欧州王者奪還を目指すACミラン、CL最多得点記録更新中のラウール・ゴンザレス、内田篤人が所属するシャルケ(ドイツ)とバレンシア(スペイン)との対戦に注目だ。

(大山暁生)

【UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦】
ACミラン(イタリア) × トットナム(イングランド)
バレンシア(スペイン) × シャルケ(ドイツ)
マルセイユ(フランス) × マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
アーセナル(イングランド) × バルセロナ(スペイン)
インテル・ミラノ(イタリア) × バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
FCコペンハーゲン(デンマーク) × チェルシー(イングランド)
リヨン(フランス) × レアル・マドリッド(スペイン)
ローマ(イタリア) × シャフタール(ウクライナ)