転職総合サイト「DODA」では、スポーツを通してビジネスを語る連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論」を好評連載中。スポーツの観点から取り上げられたエピソードをもとに、ビジネスマンとしての心得や転職活動の方法について、二宮清純が語ります。激しい競争世界で生き抜いてきたアスリートたちから学ぶことは多いはず。二宮清純がこれまでの取材で得た彼らの思考法、成功例をビジネスにあてはめて紹介します!
CHAPTER1.自分の言葉を持て

 借り物の言葉は、どれだけうまく話したつもりでも、所詮は借り物の言葉である。言葉に魂がこもっていなければ、聞く人の興味を引きつけることはできない。
 昨今、巷にあふれるビジネス書やハウツー書の影響からか、お決まりの言葉が空間をさ迷っている。自分で咀嚼して話すのならともかく、丸のみは危険だ。転職の採用面接の場で、あるいは社内の昇級、昇格の場で、こうした借り物の言葉がいかに自らを貶めているか。そこを今一度、検証してみる必要がある。

 東京ヤクルトスワローズの青木宣親といえば、日本球界を代表する好打者である。2010年はシーズン前半こそ出遅れたものの終わってみれば3割5分8厘のハイアベレージで自身、3度目の首位打者に輝いた。
 2004年、早大からドラフト4巡目で入団した。即戦力として期待されたが、1年目は2軍スタートとなった。当時の2軍監督で現1軍監督の小川淳司は、青木にこんな印象を持っていた。

「彼はプライドが高そうでした。不服な思いがあると、それがすぐに顔に表れる。ルーキーの年、オープン戦で結果が出ず、2軍に落ちてきた。(2軍の球場がある)戸田での最初のフリーバッティングはポコポコ、ポコポコ、内野フライばかり打ち上げていた」
 そして、こう続けた。

「だから彼に言ったんです。“いくら六大学で実績があっても、最初から我慢して使う気になれないと思うよ。まず自分の持ち味は何だよ?”って。そしたら“逆方向へライナーを打てることです”と返してきた。“だったら、練習でもそれを見せてくれないと使う側としては使えない。野球は個人競技じゃないんだ”と。そのことを伝えると黙って聞いていましたね」
 小川の本音を聞き、青木は心を開いた。次は青木がそれに応える番だ――。


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