本命は穴井も混戦の予感 〜全日本柔道選手権〜

 体重無差別で柔道日本一を決める全日本柔道選手権が29日、日本武道館で行われる。今大会は8月にパリで開催される世界選手権の100キロ超級代表を決める最終選考会を兼ねており、例年以上に激戦が予想される。特に若手や、このところ結果の出ていないベテランにとっては、是が非でも好成績をおさめ、世界選手権への切符をつかみたいところだ。
 本命は一昨年の覇者、穴井隆将(天理大職)だろう。昨年の世界選手権では100キロ級で優勝。2日に行われた全日本選抜体重別選手権も制し、同階級では日本と世界のトップ選手であることは言うまでもない。ただ、昨年は精彩を欠き、優勝した高橋和彦(新日鉄)に準決勝で敗れた。今年に入っても1月のマスターズ、2月のグランドスラム・パリでいずれもメダルを逃すなど、好不調の波がある。選抜体重別のように、キレのある足技を見せられれば、王座奪回の可能性は高い。

 連覇を目指す高橋だが、この1年は平坦な道のりではなかった。100キロ超級の代表に選ばれた昨年の世界選手権ではメダルを逃し、大きな国際舞台では頂点に立てなかった。2日の選抜体重別でも鈴木桂治(国士大教)に一本負けを喫している。この大会で改めて日本最強を示し、もう1度、世界選手権で戦う権利を得たい。

 昨年の世界選手権で無差別級を制し、急成長をみせているのが、21歳の上川大樹(明大)だ。昨年の全日本選手権で予選敗退した男が、世界選手権では第一人者のテディ・リネール(フランス)を破り、自信をつけた。先の選抜体重別でも鈴木を一本で下し、初優勝を飾っている。今、最ものっている新鋭が、一気に王者の称号を得ても不思議ではない。

 一方、ベテランの鈴木は背水の陣で臨む大会だ。過去、全日本選手権を3度制したアテネ五輪の金メダリストも30歳。昨年の大会は準々決勝で敗れ、世界選手権でも100キロ超級で1回戦敗退の屈辱を味わった。限界説もささやかれるなか、3大会連続の五輪出場を果たすには、今年の世界選手権での活躍が必要不可欠。その代表権を得るには上川、高橋との争いに勝たなくてはいけない。順当に勝ち進めば、準決勝で高橋と激突する。世界大会よりも勝つことが難しいと言われる全日本選手権で、復活ののろしをあげられるか。 

 バルサとマンU、2季前の決勝カード再現なるか?! 〜10-11欧州チャンピオンズリーグ〜

 欧州クラブのナンバーワンを決めるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)がいよいよ佳境を迎える。4月26日、27日に行われた準決勝1stレグは、マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)がシャルケ04を、バルセロナ(スペイン)がレアル・マドリッド(スペイン)を、それぞれ敵地で2−0と快勝している。GW中に準決勝の2ndレグが開催され、28日にロンドンで行なわれる決勝への切符を手にするクラブが決定する。

 5月3日には、今季5度目の“エル・クラシコ”最終戦がバルセロナの本拠地カンプノウで行なわれる。初戦をとったバルセロナは魅惑的なポゼッションサッカーを武器に、宿敵R・マドリッドを迎撃する。

 攻撃的なサッカーを標榜するバルセロナの中で際立つのが、リオネル・メッシの存在だ。1stレグで2ゴールを奪い、今季のCLでは11得点をマーク。得点王の座は、ほぼ手中に収めている。R・マドリッドにとっては彼を止めない限り、逆転での決勝進出は見えてこない。

 だが、現状は極めて厳しい。1stレグの警告、退場によりスペイン代表のDFセルヒオ・ラモスとポルトガル代表のDFペペを出場停止で欠くこととなった。加えて、ペペの退場に猛抗議したジョゼ・モウリーニョ監督も退席処分となり、守備のキーマンと指揮官抜きで、敵地での2ndレグを迎えなくてはならない。

 それでもR・マドリッドがドラマを起こすには、国王杯で決勝ゴールを奪ったクリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、怪我から復帰をしてきたカリム・ベンゼマ、ゴンサロ・イグアイン、カカら攻撃陣の爆発に望みをかけるしかない。

 内田篤人が所属するシャルケは5月4日、マンチェスターUのホームに乗り込む。1stレグでは、今季CLで無敗を誇っていたヴェルティンス・アレーナで完敗。力の差をまざまざと見せつけられた形となった。一方的な敗戦の中で、孤軍奮闘していたのが、GKマヌエル・ノイアーだ。今季限りでチームを去る守護神はファインセーブを連発。彼のおかげで2点のビハインドで済んだと言えるだろう。

 攻撃陣では、やはり頼りになるのは、エースのラウール・ゴンザレスだ。CL歴代最多の71得点を奪い、ビッグイヤー獲得を3度経験したベテランの活躍が、奇跡を起こすカギとなる。日本人として初めてCL準決勝のピッチを経験した内田にも、2ndレグでは右サイドからのチャンスメイクを期待される。

 一方のマンチェスターUに、ここ4年間で3度目となる決勝進出に向けて、隙は見当たらない。11試合でわずか3失点の鉄壁の守備陣に加え、攻撃陣の好調だ。エースのウェイン・ルーニーは、1stレグでも1得点1アシストの活躍。2トップを組むハビエル・エルナンデスも出場した最近5試合で3ゴールと好調をキープしている。攻守においてバランスのとれたマンチェスターUが、油断せず2ndレグを迎えれば2季ぶりのファイナル進出は見えてくるはずだ。

・5月3日(火)
バルセロナ−レアル・マドリッド(20:45 バルセロナ、カンプノウ)

・5月4日(水)
マンチェスター・ユナイテッド−シャルケ04(20:45 マンチェスター、オールド・トラフォード)

※日付はすべて現地時間

 昨季覇者の中日が猛追 〜プロ野球セ・リーグ〜 

 東日本大震災の影響で約2週間遅れで開幕した今季のプロ野球。セ・リーグでは東京ヤクルトが28日現在、引き分けをはさんで9連勝と快走している。なかでも連勝が始まった17日の横浜戦から4番に座る畠山和洋が絶好調だ。現在、打率3割9分5厘、6本塁打と4月の月間MVP候補に挙がっている。東日本大震災で被害を受けた岩手県花巻市出身の畠山。GW期間中も自らのプレーで被災地にエールを送る。

 畠山以外の打者も、ベテランの宮本慎也が打率4割2分をマークし、目下首位打者だ。田中浩康、川端慎吾など、レギュラーの半数以上が打率3割台と上位から下位までどこからでも得点することができるのが今のヤクルトの強みだ。投げては由規、石川雅規、館山昌平の先発3本柱が安定しており、増渕竜義、山本斉が続く。村中恭兵が戻ってくれば、さらに層が厚くなる。後ろには守護神・林昌勇が控えており、投打のバランスは抜群だ。果たしてどこまで連勝記録を伸ばせるか。

 そのヤクルトを1.0差で追っているのが13年ぶりのAクラス入りを目指す広島だ。26日の阪神戦で連敗をストップさせると、28日にも阪神に連勝し、2009年9月以来となる月間勝ち越しを決めた。昨季、沢村賞に輝いた前田健太が本調子ではないが、4年目サウスポー篠田純平が快投を見せている。現在、防御率は吉見一起に次ぐ0.78を誇る。今季初登板となった13日の阪神戦は黒星を喫したものの7回を2失点。20日の横浜戦では今季チーム初完封を果たすと、雨でスライド登板となった28日の阪神戦も7回1失点の好投で2勝目を挙げた。さらに今村猛、福井優也の若手投手の台頭に加え、抑えの新外国人サファテがリーグ最多の6セーブをマークするなど、投手陣が整備されてきたことが躍進の要因となっている。青空を勢いよく舞う鯉のぼりのように、勢いを増したいところ。GWでどれだけ貯金を増やすことができるか。

 虎視眈々と首位の座を狙っているのが中日だ。開幕から3カード連続で勝ち越しなしと、最下位に陥っていたが、26日からの横浜3連戦で3連勝。27日に最下位から脱出すると、28日には不調の阪神を抜いて3位に浮上し、借金返済まであと一つに迫っている。今季も強固な投手力は健在で、チーム防御率はリーグトップの2.53。エース吉見が復帰したことで、さらに厚みが増した。逆に打線は不振が続いている。チーム打率はリーグワーストの2割8厘。4番・和田一浩も打率1割台に低迷している。28日の横浜戦でようやく出た今季初本塁打を復活のきっかけにしたいところだ。


 楽天、本拠地開幕! 〜プロ野球パ・リーグ〜

 パ・リーグでは29日、東北楽天が東日本大震災で被害を受けた本拠地・Kスタ宮城スタジアムでの今季開幕戦を迎える。現在、13試合を終えて7勝6敗の楽天。待ちに待った本拠地でのオリックス3連戦で一気に勢いに乗りたいところだ。その火付け役として期待されるのが、1戦目に先発を任された田中将大だ。15日の甲子園での楽天主催開幕戦では完投勝利を収め、見事に指揮官の期待に応えた。29日の本拠地開幕戦については「特別な試合」と意気込みは十分。躍動感あふれるピッチングで被災者を勇気づけたい。

 その田中を含め、無傷の3連勝中の岩隈久志、2試合を投げて防御率1.80と抜群の安定感を見せている永井怜と先発3本柱は下馬評通りの活躍を見せ、チームを牽引している。一方、打線はチーム打率2割2分9厘と低迷が続いている。なかでも鉄平、岩村明憲、ルイーズと主力打者が打率1割台とスランプに陥っており、打線がつながらないのが悩みだ。待ちに待った本拠地開幕で奮起したいところだ。

 高校時代、田中と歴史に残る熱戦を繰り広げた北海道日本ハムドラフト1位ルーキーの斎藤佑樹は、打線にも助けられ、現在2連勝中だ。次回先発は5月1日の埼玉西武戦が予定されている。勝利投手とはなったものの、先発した2試合ともに直球は全体の2割未満で、変化球に頼ったピッチング内容となった。2試合目の東北楽天戦ではフォークを多投し、試合後半には高めに甘く入るボールが目立った。果たして強打者が並ぶ西武打線を相手に斎藤はどんなピッチングを見せるのか。彼の実力を見極めるためにも、大事な一戦となりそうだ。


<セ・リーグ>
4月29日(金・祝)〜5月1日(日)
 横浜 − 巨人 (横浜)
 中日 − 広島 (ナゴヤドーム)
 阪神 − 東京ヤクルト (甲子園)
3日(火)〜5日(木)
 巨人 − 阪神 (東京ドーム)
 東京ヤクルト − 中日 (神宮)
 広島 − 横浜 (マツダスタジアム)
6日(金)
 横浜 − 阪神 (横浜)
 中日 − 巨人 (ナゴヤドーム)
7日(土)〜8日(日)
 東京ヤクルト − 広島 (松山)
 横浜 − 阪神 (横浜)
 中日 − 巨人 (ナゴヤドーム)


<パ・リーグ>
4月29日(金・祝)〜5月1日(日)
 北海道日本ハム − 埼玉西武 (札幌ドーム)
 東北楽天 − オリックス (Kスタ宮城)
 千葉ロッテ − 福岡ソフトバンク (QVCマリン)
3日(火)〜5日(木)
 埼玉西武 − 千葉ロッテ (西武ドーム)
 オリックス − 北海道日本ハム (京セラドーム大阪)
 福岡ソフトバンク − 東北楽天 (ヤフードーム)
6日(金)
 北海道日本ハム − 福岡ソフトバンク (札幌ドーム)
 東北楽天 − 埼玉西武 (Kスタ宮城)
7日(土)〜8日(日)
 北海道日本ハム − 福岡ソフトバンク (札幌ドーム)
 東北楽天 − 埼玉西武 (Kスタ宮城)
 オリックス − 千葉ロッテ (ほっと神戸)