キリンカップ2011が1日、新潟・東北電力スタジアムで行われ、日本代表はペルー代表と対戦した。日本はこの試合で3−4−3の新布陣を採用。後半からは欧州帰りのMF本田圭佑、DF長友佑都らを投入し、従来のシステムに戻して局面の打開を図ったが最後までゴールは奪えず、0−0のスコアレスドローに終わった。

 代表の無敗記録、最長の13試合に(東北電ス)
日本代表 0−0 ペルー代表
 W杯アジア3次予選まで、あと3カ月。さらなるレベルアップを狙って新システムを採用したザックジャパンだが、“追試”が必要な内容に終わった。今回、採用した3−4−3のフォーメーションは指揮官のアルベルト・ザッケローニの代名詞とも言える布陣だ。カギとなる中盤のサイドには、初招集の西大伍(鹿島アントラーズ)、2年4カ月振りの招集となった安田理大(フィテッセ)が入り、帰国して間もない、本田圭佑(CSKAモスクワ)、長友佑都(インテル・ミラノ)らはベンチスタートとなった。

 立ち上がりから日本はボールこそ回せるものの、決定的なチャンスをつくるにはいたらない。Jリーグ選抜相手のチャリティーマッチとはいえ、3月に大阪で見せた縦に速い攻撃はその影もなかった。目立ったのは長谷部誠(ヴォルフスブルク)が23分、29分に放ったミドルシュートぐらい。しかも、どちらも枠をとらえられず前半を0−0で終えた。

 本来なら、日本の両翼を担うのは内田篤人(シャルケ04)と長友だが、ザッケローニ監督は新戦力の見極めも兼ねて、西と安田を起用した。2人は何度かサイドを攻め上がったが、効果的なクロスや相手守備陣を脅かすような突破は見られずじまい。特に初出場の西は、周囲と合わない場面もあり、プレーに迷いが見えた。

 後半開始と同時に、ザッケローニ監督は精彩を欠いた西に代えて、本田を投入する。アジアカップMVPをトップ下に配置し、フォーメーションを本来の4−2−3−1にシフト。攻撃のリズムをつくろうとした。本田は持ち味のキープ力を生かし、ボールに積極的に絡む。11分にはフリーキック、39分にはミドルシュートを放ったものの、ともに枠を外し、決定的な仕事はできなかった。

 好転しない状況にザッケローニ監督は、22分に李忠成(サンフレッチェ広島)と長友の2枚をピッチへ。アジアカップ決勝で、優勝を決めるゴールを生んだコンビに期待が集まったが、その再現はならなかった。

 消化不良に終わった攻撃に対して、無失点に抑えた守備はある程度、新システムが機能した。前半の3バックも今野泰幸(FC東京)を中心とした守りで、危ない場面は少なかった。この点は、及第点を与えられるだろう。ただ、4バックにした後半は、終了間際に集中が切れ、高い位置でボールを奪われる場面が目立った。41分、44分とミドルシュートを浴びるピンチもあり、これはGKの川島永嗣(リールセ)がなんとかボールを外に弾き出した。

 そして最大のピンチは、ロスタイムに訪れた。ペルーが左からのコーナーキックを頭でつなぎ、ファーサイドにフリーで待っていたルイス・ラミレス(コリンチャンス)がヘディングシュート。これも日本の守護神が弾き、ボールはポストに当たって、ラインの外へ流れた。

 ザッケローニ監督が「大事に戦わないといけない」と語っていたテストマッチ第1戦は、不満の残る出来となった。ザックジャパンの不敗記録が9に伸びたとはいえ、特に攻撃面では、チャンスらしいチャンスも少なく、低調なパフォーマンスに終始した。1月のアジアカップ以来、久々のAマッチということを差し引いても、スタジアムにつめかけたサポーターを納得させるものではなかっただろう。次々とカードを切った選手交代も、目立った変化は見られず、采配は功を奏さなかった。次戦は横浜でチェコと対戦する。パスサッカーを得意とする東欧の強豪相手に、サイドを生かした縦に速い攻撃で、梅雨の湿った空気を晴らすような戦いが求められる。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
今野泰幸
栗原勇蔵
伊野波雅彦
→森脇良太(75分)
MF
遠藤保仁
長谷部誠
→細貝萌(90+2分)
西大伍
→本田圭佑(46分)
安田理大
→興梠慎三(71分)
FW
関口訓充
→長友佑都(67分)
岡崎慎司
前田遼一
→李忠成(67分)