転職総合サイト「DODA」では、スポーツを通してビジネスを語る連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論」を好評連載中。スポーツの観点から取り上げられたエピソードをもとに、ビジネスマンとしての心得や転職活動の方法について、二宮清純が語ります。激しい競争世界で生き抜いてきたアスリートたちから学ぶことは多いはず。二宮清純がこれまでの取材で得た彼らの思考法、成功例をビジネスにあてはめて紹介します!
CHAPTER1.歌舞伎から学んだ送球術

 プロとアマの違いはどこなのか。近年、その境界線が、ますますボヤけてきた。そこで今回は、プロ野球界における二人の伝説的プレーヤーについて書いてみたい。彼らこそは、まさしく「ザ・プロフェッショナル」であった。果たして、その理由とは?

 最初に紹介する人物は「ミスタープロ野球」の異名をとった長嶋茂雄である。70年を超える歴史を誇るプロ野球の世界で、長嶋ほど観客を意識したプレーヤーはいなかった。

 たとえばサードからファーストへの送球。長嶋は掌を、まるで空を舞うチョウのようにヒラヒラさせながらボールを投げた。

 真面目に野球を論じれば、これは無駄な動きである。早く処理するのが優秀な三塁手だ。しかし、それだけでは「プロではない」と長嶋は考えた。

 そこで取り入れたのが歌舞伎の市川団十郎が花道で見得を切るときの所作である。これを野球流にアレンジし、“ヒラヒラ送球”を生み出したのだ。

<ベース際のゴロを捕って間に合うかどうかのきわどいタイミングで遠投したときに、特にその動きが目立った>。長嶋は自著の『野球は人生そのものだ』(日本経済新聞出版社)でこう述べている。

 すなわち消費者が何を望んでいるかを常に考え、そのための工夫を怠らない。自らの結果だけを追い求めるプレーヤーが多い中、長嶋は市場を意識した初めてのプレーヤーだったということもできる。そして、それはバッティングにおいても、遺憾なく発揮された……。


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