女子サッカーW杯を制したなでしこジャパンの司令塔といえば、宮間あや(岡山湯郷)だ。正確なキックには定評があり、今大会もグループリーグのニュージーランド戦で勝ち越しのFKを決めたほか、幾度となく日本のチャンスを演出した。米国戦での延長後半の同点弾につながったCKも含め、4アシストは今大会最多だった。今や日本が誇るファンタジスタに3年前、二宮清純がニッポン放送の番組内で電話インタビューを行っていた。その一部を紹介したい。
(写真:インタビュー後の09年から2シーズン、本場・米国でプレー。さらにレベルアップをはかった)
二宮: 宮間さんは18歳の時から日本代表入りしています。試合では、どんなプレーをしたいと考えていますか?
宮間: 自分のたちのチーム(湯郷)でやる時と変わらず、常にチームのためになるプレーができたらと思っています。

二宮: 宮間さんといえば、FKの名手です。自分なりのコツがあるのでしょうか?
宮間: 相手のGKも上手なのでキックの仕方も1種類では通用しない。何種類か蹴られるように練習しています。FKやCKを蹴らせてもらう機会が多いので、なるべく精度を上げて、多くのチャンスをつくったり、得点を決めていきたいです。

二宮: その何種類もある蹴り方は具体的にはどのように変えるのですか?
宮間: 蹴る位置や角度をズラして、回転をかけたり、変化をつけたりします。

二宮: 中村俊輔選手からもキックにはさまざまなバリエーションがあると聞いたことがあります。憧れの選手はいますか?
宮間: これといった選手はいません。むしろ、それぞれの選手のいいところを少しずつ自分のものにできたらいいなと。

二宮: FKが決まった瞬間の気持ちは?
宮間: FKはチームでそこまでボールを運んできたから得られたものです。それを私は代表して蹴らせてもらうだけ。だから、みんなの気持ちを乗せて蹴らなければいけないと思っています。入った瞬間は、私個人ではなくみんなで喜べる感じですね。

二宮: 前回の中国でのW杯(2007年)で日本は1勝1敗1分とグループリーグ敗退に終わりました。世界で勝つためには何が必要でしょう。
宮間: 基本的にどこの国と対戦しても、パワーと身長、スピードは相手のほうが上回っています。そこに対して、どう対策をとって、自分たちのサッカーをするかが重要だと思います。

二宮: 日本の場合、フィジカルも強くて、背の高い女子がバレーボールやバスケットボールに流れてしまう。そういう子がひとりでもサッカーを始めるといいですね。
宮間: そうですね。でも、細かく速い動きで大きな相手を翻弄できるのもサッカーの魅力かなと感じています。それでファウルをもらえればチャンスになりますし。大きな相手に負けないように組織で戦うのが私たちのスタイルだと思っています。

<この原稿は2008年4月28日に放送されたニッポン放送「アコムスポーツスピリッツ」内でのインタビューを再構成したものです>