6日、ブラジルW杯アジア3次予選第2戦が行なわれ、グループCの日本代表はウズベキスタン・タシケントでウズベキスタン代表と対戦した。日本は前半8分、ウズベキスタンの中心選手ジェパロフに先制点を決められる。早く追いつきたい日本はチャンスをつくるものの、シュートがポストに当たる不運もあって、リードされて折り返した。後半に入ってリズムをつかんだ日本は20分、内田篤人(シャルケ)からのクロスを岡崎慎司(シュツットガルト)が頭で押し込み、ようやく同点に追いつく。その後も日本には決定的な場面が訪れたが、逆転はならず、勝ち点1を獲得するにとどまった。

 岡崎、執念のダイビングヘッド(タシケント)
ウズベキスタン代表 1−1 日本代表
【得点】
[ウ] ジェパロフ(8分)
[日] 岡崎慎司(65分)
 苦しみぬいての勝ち点1だった。そして本田圭佑(CSKA)が抜けた穴の大きさを感じた試合でもあった。

 北朝鮮戦に続いてこの試合で注目されたのは、本田不在のトップ下に誰が起用されるかだ。アルベルト・ザッケローニ監督が出した答えは、キャプテン・長谷部誠(ヴォルフスブルク)だった。そして、本来長谷部が入っていたボランチの一角には阿部勇樹(レスター)が起用された。

 しかし、試合は予想外の展開となった。8分、CKからウズベキスタンのキャプテン、ジェパロフにこぼれ球を押し込まれ、先制ゴールを許した。日本にとっては6試合ぶり、かつ早い時間帯での失点。大歓声のスタジアムの中で日本には嫌な空気が流れ始める。

 反撃したい日本だが、長谷部をトップ下に置いた新しい布陣ではゴールが遠かった。慣れないピッチの影響か、ボールを支配するも、選手間の距離が間延びし、複数の選手が流動的に絡む攻撃が見られない。45分の李忠成(広島)のシュートがゴール右のポストに弾かれるなど、フィニッシュの精度の低さと不運も重なり、リードを許したまま後半に臨むことになった。

 局面を打開したい日本ベンチは後半開始とともに動く。阿部に代えて清武弘嗣(C大阪)を右サイドハーフに入れ、香川真司(ドルトムント)をトップ下にポジションチェンジ。左サイドハーフに岡崎を回して、ボランチに長谷部を戻した。そしてこの配置変更が試合の流れを変える。

 まず中央に移った香川がトップ下でボールを収め、岡崎や清武が動き出す時間とスペースをつくりだす。また、香川と清武が速いボール回しをみせて、相手選手に体を寄せる機会を与えず、流動的な攻めを見せる。

 13分には、前半に見られなかったシンプルかつ連動的な攻撃がみえた。後方からのロングボールを李が頭で競ったところへ清武が抜け出す。ボールを収めた清武は、PA前中央へ走る香川へパス。香川は右足ダイレクトで狙うが、これはゴール上に大きく外れた。

 そして、何度も攻撃を繰り返す中から、ようやく同点ゴールが生まれる。起点となったのは本来のボランチに戻った長谷部だ。20分、遠藤保仁(G大阪)からのパスを受けたキャプテンはボールをキープしながら前進し、右サイドを上がっていた内田へとつなぐ。内田がクロスを上げるとファーに飛び込んだのが岡崎だ。ダイビングヘッドで押し込むと、ボールは相手GKの手を弾き、ゴールの中に転がった。岡崎にとってウズベキスタンは2年前のW杯最終予選でゴールをあげ、南アフリカ行きを決めた思い出の地。あの時と同じダイビングヘッドが日本を救う貴重な同点弾となった。

 試合を振り出しに戻した日本はその後、ハーフナー・マイク(甲府)を投入し、逆転を試みるが、前掛かりになったところをウズベキスタンのカウンター攻撃に遭い、肝を冷やす。しかし、川島永嗣(リールセ)を中心とした守備陣が体を張って得点を許さない。特に川島は、後半に2度訪れた相手との1対1の場面を防ぎきり、守護神の存在感を示した。結局、最後まで決勝点は生まれず、試合は1−1のドローに終わった。

 「(前半は)自分のポジションが高過ぎたりして良くなかった。個人的にはチームに迷惑をかけたと思う」
 長谷部は試合後、こう反省の言葉を口にした。今の日本には不可欠な本田の代役を模索した2試合は勝ち点4という結果になった。日本は10月7日のベトナムとの親善試合を挟み、同11日に対戦経験のないタジキスタンをホームで迎え撃つ。


<日本代表出場メンバー>
GK
川島永嗣
DF
駒野友一
→槙野智章(82分)
吉田麻也
今野泰幸
内田篤人
MF
遠藤保仁
阿部勇樹
→清武弘嗣(45分)
香川真司
長谷部誠
岡崎慎司
FW
李忠成
→ハーフナー・マイク(65分)