転職総合サイト「DODA」では、スポーツを通してビジネスを語る連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論」を好評連載中。スポーツの観点から取り上げられたエピソードをもとに、ビジネスマンとしての心得や転職活動の方法について、二宮清純が語ります。激しい競争世界で生き抜いてきたアスリートたちから学ぶことは多いはず。二宮清純がこれまでの取材で得た彼らの思考法、成功例をビジネスにあてはめて紹介します!
CHAPTER1.しなやかなたくましさ 〜澤穂希〜

 サッカー女子W杯で初優勝した「なでしこジャパン」が大震災後のこの国に希望と勇気を与えたことが評価され、国民栄誉賞を受賞したのは周知のとおりだ。
 同賞の受賞規定は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった者」であり、これまでは個人に与えられていた。

 そのため、今回も前例に従い、「国民栄誉賞はキャプテンの澤穂希に与え、あとの選手と監督、コーチには内閣総理大臣顕彰ではどうか」との声もあったという。
 もし澤ひとりが受賞していたら、チームがギクシャクしていたかもしれず、結果的に全員での受賞に落ち着いたのはよかったのではないかと私は考える。サッカーはひとりではできないのだから……。

 とはいえ、澤がチームの精神的支柱だったことは、説明の必要もない。「苦しい時は私の背中を見なさい」。澤は若手にこう語っていたという。こんなセリフを口にできるリーダーが、いったいこの国にどれだけいるだろう。

 澤は自著『ほまれ』(河出書房新社)でこう述べている。
<何をやるにしても楽なことは絶対にない。>
 本格的にサッカーを始めて24年、日本代表のユニホームを18年も着続けている彼女だからこそ、言葉に重みがある。
<どんな仕事についても、一生懸命がんばらなくちゃいけないし、とことんやり通さないと結果は出ない。思うようにことが運ばなかったり、結果が出せなくても、一生懸命やっていれば、そこに意味はある。そして、努力すれば必ずその先につながるものだと信じている。>(同前)

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