1日、日本サッカー協会はW杯アジア3次予選のタジキスタン戦(11日、ドゥシャンベ)と北朝鮮戦(15日、平壌)に臨む日本代表メンバー23名を発表した。海外組からはMF香川真司(ドルトムント)、DF吉田麻也(VVVフェンロ)など11名が順当に招集された。右太もも肉離れで10月の2試合を欠場したDF内田篤人(シャルケ)も選出されている。国内組ではFW前田遼一(磐田)が6月のキリン杯以来、GK山本海人(清水)は09年10月以来の代表復帰を果たした。
「この2試合で3次予選突破を決めたい。我々の調子は良い。(10月の)タジキスタン戦ではいい内容で大勝できた。しかし、今回は2試合とも難しいゲームになる」
 会見の冒頭、アルベルト・ザッケローニ監督は今回の2試合についてこう語った。日本は11日のタジキスタン戦で勝利し、同日に北朝鮮がウズベキスタンに敗れれば、その時点で3次予選突破が決定する。仮にそうならなくても、今回の2戦を連勝すれば自動的に最終予選進出だ。

 まず11日に対戦するタジキスタンは10月にホームで8−0と大勝した相手。だからこそ指揮官は気を引き締める。
「タジキスタン戦は精神面をいかにコントロールできるか。(ホームで大勝した)前回とは全く異なる試合になる。選手たちにも気持ちを緩ませないようにと言うつもりだ。ピッチ状態も前回の長居のようにはいかないだろう」

 指揮官がそう語るように、選手たちの油断以外にも懸念材料はある。それが試合会場のピッチコンディションだ。ボールが止まってしまったり、イレギュラーバウンドしたりしてしまうことは、パスサッカーを身上とする日本にとって死活問題になりかねない。
 タジキスタン戦が行われるドゥシャンベセントラルスタジアムについてザッケローニ監督は「(現地に派遣したスタッフから)ピッチコンディションがあまり良くなかったと聞いている」と語っている。それだけに、いかに短時間で悪状況のピッチに適応するかがカギになる。

 続いて15日には北朝鮮戦が待ち受けている。平壌で日本代表が試合をするのは、実に22年ぶりだ。過去、北朝鮮のホームで行われた試合において、日本は3分1敗と勝利がない。9月にさいたまスタジアムで行われた今回の予選の初戦では勝利したものの、吉田のロスタイム弾による辛勝だった。
「(前回は)我々がチャンスを作りながらもなかなかゴールが決まらなかった。アウェーでもあるし、大変な試合になるだろう。忘れてはならないのは、北朝鮮は前回のW杯に出場しているということだ。アジアの中でも強い国だと認識している」
 指揮官は難敵について、こう語気を強めた。

 北朝鮮戦でもピッチコンディションが懸念されている。当日の会場である金日成競技場は人工芝。日本代表が人工芝で試合をするのも、26年ぶりだ。だが、ザッケローニ監督は努めて前を向いた。
「北朝鮮戦の人工芝は、良い状態だと聞いている。人工芝は、私が日本代表監督になってから1試合も経験していないが、個人的には慣れの問題だと思っている。前日練習で感触を確認すれば問題はないだろう」
 
 厳しい戦いが待ち構えているアウェー&アウェーだが、ザッケローニ監督は決してネガティブには考えていない。
「私にとって、長距離移動を伴うアウェーの連戦は初めての経験であり楽しみだ。(トレーニング地の)中東、中央アジア、極東に戻ってくるようなハードスケジュールの中でのアウェー戦は、どのようなものなのか。好奇心に満ち溢れている」

 まさに“勝負どころ”の2連戦。ザックジャパンは一切気を緩めることなく、敵地へと乗り込む。

<日本代表メンバー23人>

GK
川島永嗣(リールセSK)
山本海人(清水エスパルス)
西川周作(サンフレッチェ広島)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(FC東京)
栗原勇蔵(横浜F・マリノス)
伊野波雅彦(ハイデュク・スプリト)
長友佑都(インテル・ミラノ)
槙野智章(1.FCケルン)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(VVVフェンロ)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
阿部勇樹(レスター・シティ)
長谷部誠(VfLヴォルフスブルク)
細貝萌(FCアウグスブルク)
FW
前田遼一(ジュビロ磐田)
李忠成(サンフレッチェ広島)
岡崎慎司(VfBシュツットガルト)
ハーフナー・マイク(ヴァンフォーレ甲府)
香川真司(ボルシア・ドルトムント)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
原口元気(浦和レッズ)