9日、日本サッカー協会はロンドン五輪アジア最終予選のU-22バーレーン代表戦(11月22日、バーレーン)とU-22シリア代表戦(11月27日、国立競技場)に臨むU-22日本代表21名を発表した。GK権田修一(FC東京)、MF東慶悟(大宮)など最終予選初戦のU-22マレーシア戦を戦ったメンバーが順当に選ばれたほか、海外組から唯一、FW大津祐樹(ボルシアMG)が招集された。一方で、主将を担ってきたMF山村和也(流経大)は左第5中足骨亀裂骨折の影響でメンバーから外れた。また、現在A代表のW杯3次予選に帯同しているMF清武弘嗣(C大阪)とFW原口元気(浦和)も選外となった。
「この選んだ選手たちと一体感を持って、ロンドンオリンピックの切符を獲得するために、1戦1戦、積み重ねていきたい」
 会見の冒頭でこう語った関塚隆監督は、11月の2試合のテーマに“一体感”を掲げた。今回は、現在A代表に招集されている清武、原口に加えて、関塚体制発足当初から不動のボランチを務めてきた山村もケガのため選ばれていない。それだけに、メンバー選考のポイントになったのは、清武、原口がいた2列目、そして、ボランチ・山村の代役に誰を起用するかだ。

 まず清武、原口の抜けた2列目の穴を埋めるのは、今回、海外組から唯一招集された大津だ。
「大津は(3月の)ウズベキスタン遠征、6月の豪州戦、練習試合でも呼んでいる。そういうところもすべて含めて考えた結果、海外組で唯一招集することになった」
 関塚監督は大津招集の理由をこう説明した。大津は今年7月、柏レイソルからドイツ・ブンデスリーガのボルシア・メンヘングランドバッハへと移籍し、10月22日のホッフェンハイム戦で後半途中から初出場を果たしている。今回選外となった清武は攻撃のリズムをつくることに長け、一方の原口はボールを持てば仕掛けるドリブラーだ。それだけに「彼の魅力はサイドでのタメ、そして仕掛けるプレー」と指揮官は両面での貢献を期待している。

 続いて、ボランチとして攻守に貢献してきた山村の代役には複数のプランを考えていることを明かした。そのひとつが同じポジションであるMF山本康裕(磐田)、MF山口螢(C大阪)らの起用だ。あるいは、本来2列目の東のポジションをひとつ下げることも考えているという。そして、最後のオプションとしては、10月の強化合宿で初招集した大学生、DF丸山祐市(明治大学)の名前をあげた。
「センターバック、左サイドバック、そしてボランチでもプレーできる。山村の代わりのオプションとしても、彼はやれると考えている」
 丸山は来季からFC東京に加入することが決定。1対1の強さに加え、カバーリングにも定評がある。さらには長短の正確なパスにより、最終ラインからゲームを組み立てることができ、山村の代役は十分にこなせそうだ。

 22日にアウェーで戦うバーレーンは、一部報道で反政府デモに参加した主力選手数人が逮捕され、ベストメンバーを組めない状況に陥っていると伝えられている。しかし、指揮官は「ガルフ杯で優勝したA代表の中に、U-22の選手が5、6人入っている」と気を緩めていない。バーレーンの特長については「非常に前からプレスをかけてきて、ボールを奪ってからトップ、サイドの選手を利用した攻撃を仕掛けてくる」と注意点をあげた。

 一方、27日にホームで対戦するシリアは最終予選初戦でバーレーンと対戦し、相手選手の退場があったとはいえ、3−1の勝利を収めている。A代表ではあるが、今年の1月のアジア杯では、日本と対戦し、1−2の接戦を演じた。
「トップに強い選手がいる。アジア杯でA代表が苦しめられたように、(U-22シリアも)守りをしっかり固めた中でのパワフルな攻撃を仕掛けてくる」と関塚監督は警戒を強める。そして、「チームとしても個人としても磨きをかけていきたい」と、組織力とともに個の力がカギになると語った。

「21名全員で2試合を戦い抜くという一体感が大事」
 会見終盤、指揮官は“一体感”の重要性を強調した。これまで関塚ジャパンを支えてきた主力を欠いて臨む今回の2連戦。今後の戦いでも、レギュラーメンバーが試合に出られないケースは十分にあり得る。その穴を控えの選手でカバーしきれなければ、ロンドンへの切符をつかむことは難しいだろう。関塚監督が語るように、試合に出ている11人のみならず、21選手全員の力が試されている。

<U−22日本代表メンバー21名>

GK
権田修一(FC東京)
増田卓也(流通経済大学)
安藤駿介(川崎フロンターレ)
DF
薗田淳(川崎フロンターレ)
比嘉祐介(流通経済大学)
丸山祐市(明治大学)
大岩一貴(中央大学)
鈴木大輔(アルビレックス新潟)
酒井宏樹(柏レイソル)
濱田水輝(浦和レッズ)
酒井高徳(アルビレックス新潟)
MF
山本康裕(ジュビロ磐田)
山田直輝(浦和レッズ)
東慶悟(大宮アルディージャ)
山口螢(セレッソ大阪)
登里享平(川崎フロンターレ)
扇原貴宏(セレッソ大阪)
FW
永井謙佑(名古屋グランパス)
山崎亮平(ジュビロ磐田)
大津祐樹(ボルシアMG)
大迫勇也(鹿島アントラーズ)