17日、「FIVB(国際バレーボール連盟)バレーボールワールドカップ(W杯)2011」の第10戦、日本は世界ランキング9位ながら今大会はここまで日本と同じ6勝3敗で5位につけているドイツと対戦。最終セットの末に日本が競り勝ち、対戦成績を7勝3敗とし、勝ち点21で4位をキープ。最終戦の米国戦へと望みをつなげた。

日本 3− 2 ドイツ
(25−20、23−25、25−27、25−17、15−12)
 お互いにとって絶対に負けられないこの試合、第1セット、先に抜け出したのは日本だった。1−3からWS山口舞のライトからのスパイクポイントを皮切りに、WS江畑幸子、WS木村沙織、さらにMB荒木絵里香と次々とスパイクを決め、5−3と逆転した。ドイツもライト攻撃を中心に追い上げ、12−11と1点差にまで詰め寄った。しかし、ここから日本は5連続ポイントを奪って再びリードを広げる。終盤も木村、江畑のサイド陣の活躍で着実にポイントを積み重ねていった。何度かドイツのサーブにサーブレシーブが乱れる場面もあったが、日本はドイツに逆転を許すことなく、第1セットを先取した。

 第2セットは序盤、ドイツが試合の主導権を握った。3−3からサーブで日本の守備を崩し、5−9とリードを奪う。しかし、日本も荒木のブロード、江畑のバックアタックなどで連続ポイントを奪い、10−10と同点に追いついた。ここからは1点を争う激しい攻防戦が繰り広げられる。日本はキャプテンの荒木がブロック、クイックと攻守にわたって活躍。それに続くように、木村、江畑もスパイクを決めるも、あと一歩及ばず。23−25でこのセットを失う。

 続く第3セット、日本はサーブで狙われていた山口を下げ、レシーブのいいWS新鍋理沙を投入した。その新鍋が先取点を奪い、日本は幸先いいスタートを切ったかに思われた。しかし、その新鍋がサーブをミスすると、逆に相手にサービスエースを決められる。さらに荒木のブロードもアウトとなり、試合の流れは徐々にドイツへと傾いていった。中盤、日本はMB岩坂名奈、木村の連続ブロックなどで4連続ポイントを奪い、14−14と試合を振り出しに戻した。そこからお互いに一歩も譲らず、サイドアウトの奪い合いとなる。日本は中盤、新鍋、岩坂と21歳コンビにブロックポイントを奪うと、それに負けじと22歳の江畑もレフトから連続ポイントを奪う。一方のドイツもWSアンゲナ・グリューンが次々と日本のコートに強烈なスパイクをたたきつけた。23−24から日本は2度、セットポイントを凌ぐも、最後はグリューンに連続ポイントを奪われ、連取された。

 第4セットはドイツがミスを連発し、日本が12−7とリードする。ドイツもセンター陣の攻撃で追い上げを図るも、日本は多彩な攻撃を見せ、その差を広げていった。このセットもスタートから起用された新鍋のフェイントでセットポイントを迎えた日本は、岩坂のサーブが決まり、このセットを8点の大差をつけて奪った。これでセットカウント2−2となり、勝負の行方は最終セットへともつれこんだ。

 迎えた最終セットは、江畑がライト、レフトと連続でスパイクをブロックされ、いきなりピンチを迎えた。しかし、新鍋がライトからのクロススパイクを決め、サイドアウトを取る。これが“新鍋劇場”の幕開けだった。新鍋はブロック、ライトからのストレートスパイクを決めると、さらに岩坂のサーブで乱れ、ネット際に上がったボールをダイレクトで押し込み、一人で4連続ポイントを奪った。しかし中盤、日本は江畑、木村のスパイクがまたもドイツの高い壁に阻まれ、7−9と再びリードを奪われた。しかし、エース木村の連続ポイントで9−9と並ぶと、終盤には新鍋がライトから連続でストレートスパイクを見事に決め、チームを勢いづけた。新鍋はこのセット、一人で7点を奪う活躍を見せた。木村のサービスポイントでマッチポイントを迎えた日本は江畑がレフトからストレートコースを狙った。ラインぎりぎりの際どい当たりだったが、判定は日本へのポイントとなり、ゲームセット。ロンドンへの切符獲得の望みを最終戦につないだ。

 前日のイタリアに続いて、この日、イタリアに勝利した米国がロンドン五輪の出場権を獲得した。残る切符は1枚。明日の最終日、3位の中国がドイツに破れ、日本が米国に勝てば、日本が3位となり、最後の1枚を獲得することができる。ただし、中国が負け、日本が勝った場合でも、両試合ともにフルセットの場合は、中国勝ち点で1点上回り、ロンドンへの出場権は中国が獲得する。いずれにせよ、日本が米国に勝つことが絶対条件。果たして明日、“火の鳥NIPPON”に奇跡は起こるのか。