22日、ロンドン五輪アジア最終予選第2戦がバーレーンのマナマで行われ、U-22日本代表はU-22バーレーン代表と対戦した。日本は前半44分、MF扇原貴宏(C大阪)のCKにMF大津祐樹(ボルシアMG)が右足で合わして先制点を決める。後半22分には、MF東慶悟(大宮)が相手GKの弾いたところを押し込み、追加点をあげた。守備では危険な場面があったものの、無失点に抑えて2連勝を飾った。日本は27日、東京・国立競技場でシリアと対戦する。

 東、2試合連続ゴール(マナマ)
U-22バーレーン代表 0−2 U-22日本代表
【得点】
[日] 大津祐樹(44分)、東慶悟(67分)
 原口元気(浦和)、清武弘嗣(C大阪)、山村和也(流経大)と主力を欠いた。しかも中東でのアウェー戦。苦戦も予想された中、しっかりと勝ち点3をもぎ取った。貴重な勝利を呼び込んだのは、海外組で唯一召集された大津だった。

 戦前から指揮官の期待は高かった。関塚隆監督はメンバー発表会見で大津に対し、「サイドでのタメ、仕掛けの部分をしっかりやってもらえると信じている」と語っていた。そして、それに見事に応えた。

 まずは「サイドでのタメ」で、攻撃に流れをつくった。
 前半10分、左サイドで東からパスを受けてキープ。オーバーラップしてきた左SBの比嘉祐介(流経大)にボールを渡す。比嘉のクロスはDFにカットされたものの、それまで相手の激しいプレスに攻撃がつながらなかった日本が大津のタメで突破口を開く。 6月の合宿と親善試合に参加していたこともあり、周囲との連係も悪くなく、特に2列目の東、MF山田直輝(浦和)とは、流動的にポジションをチェンジしてバーレーンの守備陣を揺さぶった。

 しかし、日本はボールを支配するものの、バーレーンの人数をかけた守備になかなかシュートまで持ち込めない。前半も40分を過ぎ、スコアレスで折り返す空気も漂い始めた。だが、これに待ったをかけたのは大津だった。

 先制点を生んだのは指揮官が期待していたもうひとつのポイント、大津の「仕掛け」だ。前半44分、右サイドで一度味方にボールを預けるとスピードを上げて縦へと抜け出す。再びボールをもらって折り返し、右からのCKを得た。そして、扇原がファーサイドへ蹴ったボールをGKがファンブルしたスキを見逃さない。滑り込みながら右足アウトサイドで蹴りこんだ。

 いい時間帯に先制した日本は、後半に入ってもボールを支配する。しかし、中盤でのパスミスが目立ち、流動的な攻撃ができない。日本は風上に立ったこともあり、細かいパスワークからロングボール中心の攻めにシフトチェンジする。

 この判断が追加点を生み出した。後半22分、左サイドから扇原が入れたハイボールがスルスルとゴール前へ。山田がDFのクリアミスを拾って左足でシュートを放つ。GKが弾いたところを東が押し込んだ。前半同様、攻め切れない苦しい状況で奪った追加点。東は「この点でチームが楽になった」と振り返った。

一方、守備陣も2試合連続の無失点と安定していた。「風もけっこう強かったんで、難しい試合になった」とGK権田修一(FC東京)が話したように、前半は風下だった影響で、相手のロングボール主体の攻めに苦しんだ。それでも最後のところで体を張り、後半も前がかりになった相手を冷静にいなした。

 対するバーレーンは2点目を奪われた頃から、集中力が切れ、ラフプレーが目立つようになる。5日後にシリア戦を控え、負傷者を出したくない日本だったが、35分、山田が背後から倒され、顔面を踏みつけられる。当然、相手選手はレッドカード。流血した山田は一度ピッチに戻るがすぐに交代となった。数的優位にも立った日本はダメ押し点を狙いに行ったが、さらなるゴールは奪えず、試合を終えた。

 この試合の一番の収穫は何といっても大津だろう。「結果を出すことにこだわってプレーしたので、点を取れてよかった」と本人も語るとおり、原口、清武不在の2列目で攻撃のリズムをつくり、確かな存在感を示した。海外組で、今後の召集には所属クラブの理解が必要になるが、最終予選突破へ彼が必要な駒であることは間違いない。

「選手全員が今日の試合の重要性を理解して、一体感を持ってやってくれた」
 試合後の指揮官は選手たちへ賛辞を惜しまなかった。次戦は27日のシリア戦。アウェーの地でひとつになった関塚ジャパンがホーム・国立競技場での一戦に臨む。

<日本代表出場メンバー>

GK
権田修一
DF
比嘉祐介
鈴木大輔
濱田水輝
酒井宏樹
MF
山本康裕
→山口螢(52分)
扇原貴宏
大津祐樹
→永井謙佑(71分)
山田直輝
→酒井高徳(85分)
東慶悟
FW
大迫勇也