Jリーグ2011年シーズンが3日、最終節を迎える。注目のJ1の優勝争いは、首位に立つ柏レイソル(勝ち点69)を勝ち点差1で名古屋グランパス(同68)、同2でガンバ大阪(同67)が追う三つ巴の状況。長きシーズンのフィナーレを歓喜で締めくくるのはどのクラブか――。
 今季、J2から昇格した柏が優勝すれば、18年目を迎えたJリーグで史上初の快挙だ。しかし、柏は最終節に苦い記憶がある。00年、この時はリーグが2ステージ制で、柏は2ndステージ終盤まで首位争いを続ける。そして、勝ち点1差の2位で迎えた首位・鹿島アントラーズとの最終節。勝利すれば優勝という状況だったが、痛恨の引き分け。あと一歩のところでリーグタイトルを逃した。

 今回は初めて首位の立場で最終節に臨む。立ちふさがるのは前節で1部残留を確定的にした浦和レッズだ。今季は降格争いに身を置いたものの、ナビスコ杯では決勝に進出するなど、地力があることを証明済み。加えてさいたまスタジアムには、5万人を超えるサポーターが集結しそう。優勝への重圧に5万人の大ブーイングとなれば、柏の選手たちも少なからずプレーに影響するところがあるだろう。

 しかし、柏は優位な状況であることは間違いない。勝利すればその時点で優勝であり、引き分けや敗れた場合でも、名古屋とG大阪の結果によってはタイトル獲得となる。カギを握るのはレアンドロ・ドミンゲスだろう。ここまで15ゴール、7アシストはともにチームトップ。直近の3試合でも4得点と好調を維持している。彼がピッチ上を躍動すれば優勝に大きく近づく。

 勝ち点1差で柏を追う2位・名古屋は、自力優勝の可能性はない。連覇を達成するためには柏の取りこぼしに期待するしかない。
 ただ、名古屋はここにきて5連勝と勢いに乗っている。その中心にいるのが現在、19ゴールをあげて得点ランクトップに立つケネディ。4試合連続ゴール中で、その全てが決勝点という抜群の勝負強さを発揮している。最終節に顔を合わせるアルビレックス新潟相手には、6月の対戦で2ゴールをあげて4−0の圧勝に貢献した。対する新潟はここ3試合勝ちがなく、会場が1分6敗と未だ勝利がない“鬼門”の東北電力スタジアムといえども順当にいけば名古屋が勝ち点3を積み上げるだろう。

 3位のG大阪はアウェーで清水エスパルスと対戦する。優勝すれば6年ぶりだが、こちらも自力優勝の可能性がなく、柏には勝ち点差2をつけられている。勝利が絶対条件であり、かつ柏、名古屋ともに引き分け以下に終わることを願うしかない。

 クラブの状態はチームトップの13得点をあげているイ・グノは健在だが、途中加入ながら11得点をあげて攻撃陣を支えてきたラフィーニャが出場停止で欠場する。6月の清水との対戦は2−2のドロー。それだけに、点の奪い合いとなった時の点取り屋の不在は大きい。今季限りでの退任が決定している西野朗監督の花道を飾るためにも、チーム一丸となって勝ち点3をもぎ取ることが求められる。

 偶然にも、最終節はすべてアウェーでの戦いだが、3クラブとも今季のアウェー戦績は白星が先行している。あとは優勝への重圧をどうはねのけながら、自分たちのサッカーを展開するか。柏の快挙か、名古屋の連覇達成か。それとも、G大阪の大逆転が起こるのか――。注目の最終節は、3日(土)、J2が12:30、J1は15:30にキックオフを迎える。

 そして、例年は最終節にJ2降格、J1への昇格争いも熾烈を極めていた。
 しかし、すでにアビスパ福岡、モンテディオ山形の降格が決定。あと1つの降格するクラブも15位の浦和と16位・ヴァンフォーレ甲府に絞られている。といっても、浦和が勝ち点差3、得失点差でも14点上回っており、甲府の残留は絶望的な状況だ。

 一方、J1への昇格を巡る戦いは、FC東京が昇格を決定し、2位・サガン鳥栖も確定的。しかし、残り1枠の争いが熱い。3位・コンサドーレ札幌と4位の徳島ヴォルティス。ともに勝ち点65であり、札幌が得失点差でわずか2点上回っているだけである。

 2ゴール分の優位に立つ札幌だが、最終節はホームにJ2王者のFC東京を迎える。その守備陣は日本代表CB今野泰幸やU-22代表の正GK権田修一を擁し、現在、J2最小の20失点と鉄壁。徳島との得失点差を考え、できるだけ多く得点を奪いたい札幌にはかなり厳しい相手だ。さらにFC東京は得点でも66ゴールとJ2で2位タイの攻撃力を誇るだけに、守りでもいつも以上の集中力が求められる。攻守のバランスを重視するのか、鉄壁を崩すための攻撃的なサッカーを展開するのか。06年に柏をJ1へ昇格させた札幌・石崎信弘監督のゲームプランが注目される。

 4位の徳島はというと、四国勢初のJ1昇格をかけて、敵地でファジアーノ岡山と対戦する。岡山は現在14位。順位だけを見れば対戦相手に恵まれたかたちと言えるだろう。しかし、岡山とは過去、3勝1分2敗とほぼ互角の成績で、6月の対戦では2−2のドローに終わっている。勝ち点3を奪い、さらに札幌より2点下回る得失点差をクリアするために、90分の中で攻撃的な戦いをする時間帯が必要だ。ただ、あまり攻撃に意識を置きすぎれば守備のバランスが崩れ、痛恨の失点を許す危険性がある。前節で鳥栖相手に3失点を喫した守備をどこまで修正できているのかが気になるところだ。

【J1第34節】
浦和 × 柏(埼玉)
新潟 × 名古屋(柏)
清水 × G大阪(アウスタ)
他6試合 15:30キックオフ

【J2第38節】
札幌 × FC東京(札幌ド)
岡山 × 徳島(カンスタ)
他8試合 12:30キックオフ