2011年のJリーグで活躍した選手や監督などを表彰するJリーグアウォーズが5日、横浜アリーナで開催され、最優秀選手、ベストイレブンを含めた各種表彰が行われた。最優秀選手賞(MVP)には初のリーグ制覇を果たした柏レイソルのレアンドロ・ドミンゲスが選出された。外国人選手のMVP受賞は08年のマルキーニョス(当時鹿島)以来3年ぶり。最優秀監督には同じく柏のネルシーニョ監督が選ばれ、さらにベストヤングプレーヤー賞(21歳以下でリーグ戦に17試合以上出場した若手を対象)にも柏の酒井宏樹選手が輝いた。
(写真:プレゼンターの別所哲也氏(右)よりMVPのトロフィーを授与されるレアンドロ)
 ベストイレブンではG大阪の遠藤保仁が自身の持つ最多記録を更新する9度目の受賞。今季、A代表に初選出されるなど、大きな飛躍を遂げたセレッソ大阪の清武弘嗣が初のベストイレブンを受賞した。優勝した柏からはMVPを獲得したレアンドロ、酒井のほか、近藤直也、ジョルジ・ワグネルと4選手がベストイレブンに入った。

 「(監督に就任して)選手にはまず“ビトーリア(勝利)”という強い意識を植え付けた。選手たちが強い気持ちを持ち続けたことが優勝へつながった」
 最優秀監督賞受賞のスピーチでネルシーニョ監督は優勝の要因をこう語った。09年7月、当時J1で不振にあえいでいた柏の監督に就任したが、そこからチームを立て直すことができず、J2降格の憂き目に遭った。しかし、続く10年も指揮を執ることが決定すると、同年、圧倒的な強さでJ2を制覇。見事に1年でのJ1復帰を果たした。

 J2優勝監督として昨年のアウォーズに訪れた際、偶然、J1を制した名古屋のバスが到着したところに遭遇した。この時、監督は通訳に「見ろ、あれがチャンピオンだ。来年は我々がこういう登場の仕方をしよう」と誓ったエピソードを披露した。迎えた今季、柏は序盤から首位争いを繰り広げる。そして、一度も連敗することなく、常に攻撃的なサッカーでクラブ初のタイトルへと駆け抜けた。J1昇格初年度およびJ2、J1連続での優勝はJリーグ史上初の快挙となった。
「(みなさんも)夢を持つことが大事。それを強く信じれば、夢は叶う」
 名将は最後にこうメッセージを贈り、スピーチを締めくくった。
(写真:「プロとして本当に素晴らしい夜を迎えている」と喜びを語ったネルシーニョ監督)

 その柏で、最も“ビトーリア”を体現したといえるレアンドロが、MVPの栄誉に輝いた。リーグ3位タイの15得点、7アシスト(同8位タイ)。優勝を決めた最終節においても、力強いドリブル、機転の利いたパス、そして積極的に放つシュートでゴールへ向かう強い姿勢でチームを牽引した。
「リーグタイトルを獲ったことでしあわせを感じていたが、このような個人的な賞もいただけて喜びが倍になった」
 式後の会見では、笑顔を見せながらこう語った。8日に開幕するクラブW杯では、勝ち進めば母国・ブラジルのサントスFCと対戦する。
「(我々は)サントスだけを見ていない。初戦の相手(オークランド・シティ)も油断できない。1戦1戦勝ち進み、決勝に行くのが目標だ」と3日後に控えた大舞台を見据えていた。

 華やかな会場が笑いに包まれたのは得点王が発表された時だった。今季は終盤5試合で4得点を量産したジョシュア・ケネディ(名古屋グランパス)が史上2人目、外国人選手としては初の2年連続得点王を獲得した。しかし、本人は最終節で負傷したため、表彰式を欠席。代役として、同僚の楢崎正剛がケネディのメッセージを読み上げた。
 まず、「あくまで“代理”の楢崎です」との前置きし、ひと笑い。そしてケネディのメッセージの中身も「昨年に続いてゴールデンシューズ(得点王)を受賞したので、これで両足分が揃った。来年はこれで試合に出たいと思います(笑)」。ユーモア溢れる文言で爆笑を誘っていた。

 今季のJリーグは、清武や原口元気(浦和)など、若い選手の台頭が目立った。その若手たちの中で、最も高い評価を得たのは酒井だ。プロ2年間で9試合の出場しかなかったが、今季は一気に27試合と出番をつかんだ。7アシストと結果も残し、U-22代表でも主力として活躍し、さらに10月にはA代表にも選出された。「(今季は)最高のかたちで終われた。本当にいろんなことが経験できた1年」とクラブの優勝にも貢献した21歳は充実感を語り、「受賞はしたが、もう切り替えて五輪に向けて頑張りたい」と来年2月に再開する五輪最終予選へ気持ちを切り替えていた。
(写真:表彰式後、「今季はプレーに波があった。来季はもっと安定感のあるプレーをしたい」と抱負を語った酒井)
 
 来季はJ1にFC東京、コンサドーレ札幌が復帰し、サガン鳥栖は初の1部の舞台に臨む。一方、J2にはヴァンフォーレ甲府、アビスパ福岡、モンテディオ山形が降格する。


<2011 Jリーグアウォーズ受賞者一覧>

○最優秀選手賞 
レアンドロ・ドミンゲス(柏レイソル)

○ベストイレブン
GK 楢崎正剛(名古屋グランパス)
DF 近藤直也(柏レイソル)、酒井宏樹(柏レイソル)、田中マルクス闘莉王(名古屋グランパス)
MF ジョルジ・ワグネル(柏レイソル)、レアンドロ・ドミンゲス(柏レイソル)、藤本淳吾(名古屋グランパス)、遠藤保仁(ガンバ大阪)、清武弘嗣(セレッソ大阪)
FW ハーフナー・マイク(ヴァンフォーレ甲府)、ケネディ(名古屋グランパス)

○得点王 
ケネディ(名古屋グランパス) 19得点

○最優秀監督賞
ネルシーニョ(柏レイソル)

○ベストヤングプレーヤー賞 
酒井宏樹(柏レイソル)

○J2 Most Exciting Player
今野泰幸(FC東京)

○最優秀主審賞
西村雄一

○最優秀副審賞
相樂亨 

○フェアプレー個人賞
梁勇基(ベガルタ仙台)
太田宏介(清水エスパルス)
(写真:フェアプレー個人賞を受賞した太田(左)と梁(右))

○フェアプレー賞 J2
FC東京

○フェアプレー賞 J1
モンテディオ山形

○フェアプレー賞 高円宮杯
ガンバ大阪

○最優秀育成クラブ賞
東京ヴェルディ

○功労審判賞
岡田正義

○功労選手賞
松田直樹
三浦淳宏

○年間優勝チーム表彰
柏レイソル

○J2優勝表彰
FC東京

○Jリーグベストピッチ賞
NACK5スタジアム
等々力陸上競技場
日産スタジアム
アウトソーシングスタジアム日本平