前回、当コーナーで紹介したように、山本化学工業も協賛した第3回「大健康チャリティーウオークin中之島」が11月20日、開催され、秋晴れの中、1,123人が大阪の街を歩いた。スポーツイベントの支援にも力を入れている同社が来年、また新たな大会に協力しようとしている。それが各企業の経営者たちによるCEOトライアスロンだ。日本では例のない試みについて、引き続き山本富造社長に当HP編集長の二宮清純が訊いた。

 ビジネスエリートはトライアスロンも得意!?

二宮: トライアスロンは日本でも盛んになってきましたが、経営者に参加対象を限定するのはユニークな発想ですね。
山本: でも海外では経営者部門によるレースが結構あるんですよ。一般よりエントリー代は高めな分、宿泊や食事などは豪華で、参加費の一部を寄付する仕組みになっています。でも、日本はまだそういったレースがない。だから、トライアスロンの事業を手がけている京都のナチュラルエナジーさんとともにCEOによる大会が開催できないかと考えています。

二宮: 参加はCEO限定?
山本: CEOだけにすると限られてしまいますから、各企業の上級管理者、部長クラスにしようと考えています。意外と企業のトップでトライアスロンを楽しんでいる方は少なくない。やはりビジネスエリートは体もタフでないと務まりませんから。米国では就職や転職の際に、「好きなスポーツはトライアスロン」と答えるとアピールになるそうです。

二宮: ハードな仕事にも耐えられる体力があるとみなされるんでしょうね。
山本: そうですね。しかも3つの競技をやりますから、練習においてもマネジメント能力やインテリジェンスも求められる。心身の健全さ、頭の良さを示すには最適な競技というわけです。
 実際、仕事ができる人は忙しい中、トライアスロンのトレーニングもうまくこなしています。私が知っているだけでも「朝から3000m泳いできました」という製薬会社の専務がいる。土日には170キロ、バイクで走っている銀行の部長さんもいます。日本にそういう方が増えてきましたから、CEOレースへのニーズはあるのではないかと感じています。

二宮: 企業の幹部が大会で交流をはかることで、新たなビジネスチャンスにつながるメリットもありますね。
山本: そうです。前日には懇親会を開催して、お互いの仕事にもプラスになる機会を設けたいと思っています。そして、我々はこの大会でトライアスロン用のスーツを提供するかたちで協力する予定です。以前、着圧機能のあるスポーツウェアについて紹介しましたが、そのトライアスロンバージョンを開発しています。着圧をかけることで、足の末端に流れた血液を速く心臓へ戻すようサポートするんです。企業のトップになると年齢を重ねた方も多いですから、心臓への負担が少しでも軽くなり、効率よく体を動かせるスーツをつくりたいと考えています。

“一石三鳥”のレースに

二宮: ちなみに候補地は?
山本: 山口県で2001年にきらら博が開催されたのですが、その跡地の記念公園で開催予定です。周防灘に面した土地で今年の国体でも公開競技でトライアスロンを実施しました。スイムができるプールもあるし、公園内でバイク、ランも可能だそうです。オリンピックディスタンス(スイム1.5キロ、バイク40キロ、ラン10キロ)なら充分やれる。アップダウンもないので、参加者にとっては楽しめるコースです。山口県は副知事もトライアスロンを愛好されているようで、CEO構想をお話したら、「ぜひ、うちの会場で」との言葉をいただきました。

二宮: 山口だと近くに湯田温泉もあります。疲れを癒すにはいい環境ですね。
山本: そうです。会場からも近いですし、新幹線の新山口駅や山口空港とも離れていないのでアクセスは良好です。土日を利用して、全国からトライアスロン好きなトップを集め、初日は湯田温泉で泊まっていただくことで地元の観光にも寄与する。そして交流会でビジネスチャンスを拡大してもらう。そして翌日はレースをして心身ともに健康になって帰ってもらう。そんな“一石三鳥”の大会になればと思っています。

二宮: 第1回はどのくらいの規模を考えていますか?
山本: 最初は100人単位で始めたいと考えています。それで1回目が成功したら、徐々に大きくしていくつもりです。その中でスポンサーが集まり、チャリティーにもつながれば、世間的にも注目していただける大会になるでしょう。米国では1万人ほど集まるものもあると聞いていますから。この試みをきっかけに、全国各地にCEOレースやトライアスロンが広がっていき、トライアスロンスーツの活躍の場が増えることを期待しています。

 山本化学工業株式会社