8日、FIFAクラブワールドカップ2011が開幕戦を迎え、開催国枠出場の柏レイソルがオセアニア代表のオークランドシティ(ニュージーランド)と対戦した。柏は開始からボールを支配し、前半37分、FW田中順也のゴールで先制。さらに3分後、FW工藤壮人が追加点を決める。後半は相手に攻め込まれる時間帯もあったが、そのまま逃げ切り、初出場の世界大会で初勝利をあげた。柏は11日に行われる準々決勝(豊田スタジアム)で、北中米カリブ海代表のモンテレイ(メキシコ)と対戦する。

 田中、得意の左足で決勝弾(豊田ス)
柏レイソル 2−0 オークランド・シティ
【得点】
[柏] 田中順也(37分)、工藤壮人(40分)
 開始直後からの猛攻で、柏が前半で試合を決めた。
 立ち上がりから、MFレアンドロ・ドミンゲス、DF酒井宏樹が右サイドを攻め上がり、攻撃のリズムをつくる。前半15分には、PA右前のレアンドロが、オーバーラップしてきた酒井にパス。これをダイレクトでセンタリングしたところに、工藤が頭で合わせたがゴール上へ外れた。柏は徐々に左サイドからの攻めも仕掛け、左右に起点をつくられたオークランドは防戦一方となった。

 迎えた37分、先制ゴールが生まれる。PA内左でパスを受けた田中が、寄せてきた相手DFにぶつかりながらうまく体を入れ替え、左足を一閃。角度のない難しいコースながらもボールはゴール右下に突き刺さった。

 勢いは止まらない。40分、右サイドで得たFKから、酒井が体格で勝るオークランドの選手に競り勝ってヘディングシュート。これがゴール右のポストに当たって混戦になったところを、工藤が押し込んだ。あっという間の2得点。Jリーグを制した攻撃的なサッカーで、リードして前半を終了した。

 後半に入っても柏の攻勢が続く。開始早々の3分には、右サイドから酒井がアーリークロス。ゴール前でワンバウンドしたボールに工藤が頭で反応するが、クロスバーをかすめて3点目とはならなかった。

 しかし、後半20分を過ぎると、柏は運動量が落ち、相手のボールホルダーへのチェックが甘くなり始める。ボールの出どころを抑えられなくなった結果、前線で張り続ける元バルセロナのエスポジトにロングボールを通される場面が増えた。前線に起点ができたオークランドは攻撃に人数をかけ始め、柏が自陣でプレーする時間が長くなる。  

 さらにアクシデントが起きた。酒井が右サイドを攻め上がり、中に折り返した後に左ヒザを抑えてその場に座り込む。ここでネルシーニョ監督はすかさず酒井に代えてMF水野晃樹を投入。守りの選手が思わぬ負傷交代を余儀なくされた柏は、苦しい時間帯に突入する。

 34分、PA右前で与えたFKが柏ゴール左上隅へ。これはGK菅野孝憲が左手で弾き出し、何とかCKに逃げた。しかし、続く左CKに対するクリアが小さくなり、拾われたボールを再びゴール前に入れられる。頭で合わせたのはイヴァン・ヴィセリッチ。これまた菅野がすんでのところでかきだした。立て続けに訪れたピンチを守護神が驚異的なセービングで防ぎ、相手に反撃を許さない。
 最大の危機を耐え凌いだ柏は、その後もオークランドの攻撃を守備陣が体を張ってシャットアウト。前半に奪った2点を守りきり、クラブ史上初の国際大会での勝利をあげた。

 前半こそ圧倒的に試合を支配できていた柏だったが後半途中より、攻め疲れからかガクンとパワーがなくなった。11日の準々決勝で対戦するモンテレイはパスサッカーをベースに、高い個の力を揃えたバランスのよいチームだ。最初に飛ばしすぎて、ファーストアプローチに行くスタミナまで失えば、今回のように相手の攻撃を防ぎきることは難しいだろう。加えて、不動の右SBである酒井の負傷も気になるところだ。勝てば南米代表のサントスへの挑戦権を得られる一戦は、いかに90分間のマネジメントを行えるかがカギになる。