二宮: 今シーズンもお疲れ様でした。今回は久々に日本に戻ってきた上原さんにそば焼酎「雲海」をご用意しました。聞くところによると、そば焼酎を飲むのは初めてとか?
上原: 焼酎は大好きなのですが、そばは記憶がないですね。いつもは芋が多いです。だから楽しみにしてきました。


 焼酎はロックに限る

二宮: 普段の飲み方は、水割り? それともロック?
上原: ロックです。焼酎をつくってくれた方の気持ちを考えるとロックでしか飲めないですよ。だって、水とかで割ったら失礼じゃないですか。

二宮: それはお酒好きの名言ですね(笑)。アメリカではさすがに焼酎は少ないでしょう?
上原: 基本的にはないですね。韓国系のスーパーに行けば販売はしているかもしれませんが、アメリカ人は飲まない。日本酒のほうが人気です。豆腐や寿司とか日本食がヘルシーだと言われてきているので、その流れで日本酒も飲まれているようです。

二宮: では、アメリカで飲むのはビールとか?
上原: そうですね。それも軽いもの。基本的にシーズン中はあまり飲まないですね。特に今シーズンは2月にアメリカへ出発してからワールドシリーズまで1滴もお酒を口にしませんでした。これはプロ入りしてから初めてのことです。

二宮: 今季の上原さんはセットアッパーとしてオリオールズ、レンジャーズの2球団で自己最多の65試合に登板。2勝3敗22ホールド、防御率2.35の好成績でした。1イニングあたりに何人の走者を出したかを表すWHIPは0.72とア・リーグのリリーフ投手ではナンバーワンだったとか。
上原: 今シーズン、一番良かったのは、自主トレから練習量を落としたことだと感じています。もう36歳になりましたから、若手と同じメニューをしても潰れてしまう。年相応の調整法を身に付けたことが大きかったのではないでしょうか。

 トレードは“転校生”気分

二宮: シーズン途中には移籍も経験しました。トレードは急な話だったとか。
上原: ウワサは聞いていましたけど、トレードを通告されたのはダブルヘッダーの最中でした。1試合目が終わって昼寝から目覚めると監督室に呼ばれて「テキサスへ行ってくれ」と(苦笑)。だから2試合目はゲーム中にクラブハウスの荷物整理。翌日にはテキサスへ渡ってチームに合流し、その次の日にはもう試合で登板しました。

二宮: 日本だとこんなことはまずあり得ませんが、トレードが日常茶飯事のメジャーリーグでは決して珍しい話ではないんですよね。
上原: えぇ。ロッカールームに立ち寄ってきちんと挨拶する時間もなかった。ロッカーの荷物はクラブハウスの職員がまとめて送ってくれました。

二宮: 上原さんにとってシーズン途中の移籍は初めての経験です。通告された時の心境は?
上原: 寂しい思いは大きかったですね。ボルチモアの街も気に入っていたし、オリオールズの選手たちとも仲良くやれていたので。でも、割りきらないとしゃあない。野球選手である以上、「イヤです」とは言えませんから。

二宮: そして移籍先のレンジャーズには高校時代の同級生・建山義紀投手がいました。
上原: 一緒のチームでやるのは、18年ぶりでしたよ。トレードされる前にオリオールズとレンジャーズの試合があってグラウンドでは彼と再会していたのですが、まさか同じユニホームを着るとはこれっぽっちも考えていなかった。不思議なもんですよ。

二宮: 急な移籍にもかかわらず、レンジャーズでは22試合に投げ、地区優勝に貢献しました。テキサスは投げやすい環境でしたか?
上原: 夏のトレードだったので、最初はテキサスが暑くてしんどかったです。ナイトゲームなのに気温が40度を超えていたこともあります。暑いからクラブハウスではクーラーががんがんにかかっていて室内は逆に寒い(苦笑)。その温度差で体調を崩しました。
 しかも僕は“転校生”ですからね。急にやってきてチームになかなか溶け込めないし、何をしていいのかもわからなかった。言葉が通じるところでのトレードならまだしも、名前を覚えながら慣れない英語でコミュニケーションをとらないといけないので精神的にかなり疲れました。

二宮: そういう意味では建山投手の存在は大きかったですね。
上原: はい。広島にいたコルビー・ルイスも声をかけてくれました。あとオリオールズ時代に対戦しているバッターもいたので、そこからチームの輪に入れるようになりましたね。

 プレーオフは気持ちが切れた?

二宮: 今回のトレードは優勝争いをしていたレンジャーズがリリーフ陣を補強しようと画策したものです。それだけ上原さんの安定した投球が高く買われていたということでしょう。
上原: 期待されてのトレードだっただけに、最後の最後で貢献できなかったのは悔いが残ります……。

二宮: ポストシーズンでは3試合連続でホームランを浴びてしまいました。原因は?
上原: まず、自分の目標設定が甘かったですね。シーズン初めには、まさかトレードされてプレーオフに行けるとは思いもしなかったので、無意識のうちにレギュラーシーズンが終わったところで気持ちが切れた面があったのかもしれません。気持ちが切れたので、体も“もう今年は終わり”という感じになってしまった。

二宮: チームはプレーオフを勝ち抜き、2年連続のリーグ優勝を収めましたが、残念ながらワールドシリーズは建山選手とともにロースター(登録選手)から外れてしまいました。
上原: ワールドシリーズで何とか投げたかったですね。僕の代わりにメンバー入りした投手もあまり出来は良くなかったので……。それもこれも自分がビシッと抑えていればよかった話です。結果がすべてなので仕方ありません。

 リリーフでは満足しない

二宮: これでメジャーリーグでの生活は3シーズンが終わったわけですが、アメリカで投げている上原さんはテレビで見ていても楽しそうです。
上原: 日本にいた時より楽しいですよ。何がと尋ねられてもひとつに答えは絞れませんね。まず自然との戦いがおもしろい。テキサスのように暑いところもあれば、寒いところもあるし、雨でずっと待たされることもあります。日本では、こんな経験はできない。トレードもそうでしたけど、初めての経験ってしんどいけど楽しいんです。

二宮: しかも移動も多くてハードです。旅をしながら野球をしている感じでしょう。
上原: 中止になると次の日にダブルヘッダーで試合を消化してしまう。これが当たり前です。精神的にも肉体的にもタフなヤツ、本当にすごいヤツしか生き残れない。これがメジャーリーグだと感じます。

二宮: メジャーリーグに挑戦した当初はスターターでしたが、ケガなどもあって今はリリーフに落ち着いたかたちです。巨人でも抑えを務めた時期もありましたし、上原さんにはリリーフの適性もあるのでは?
上原: うーん。正直、僕の中ではセットアッパーやリリーフは、先発がダメになった人間がやっているという感覚を持っています。適性のあるなしではなく、先発としてダメだった。そういう認識です。

二宮: なるほど。先発がベストだけど、現状だと目指すのはクローザー?
上原:そうですね。オリオールズでチャンスはあったんですが、クローザーにはなり切れませんでした。移籍したレンジャーズにはネフタリ・フェリスがいましたし。メジャーの場合、抑えになると「抑えでしか投げない」といった契約を結ぶケースも多いのでなかなか壁は厚いですよ。

二宮: レンジャーズはワールドシリーズでは惜しくもカージナルスに敗れました。お酒を解禁したのは、シーズンが完全に終わってから?
上原: いや、ワールドシリーズ中です。もう投げるチャンスがないと分かったので。久々に飲んだビールは、ほろ苦かったです。

二宮: 焼酎を飲むのは本当に久しぶりだと思いますが、そば焼酎「雲海」はいかがですか?
上原: おいしいですよ。最初に話したように焼酎は大好きですから。そばは飲んだことがないと思っていたんですけど、この味はどこかで飲んだ気がします。ただ単にすっきりという感じだけでなく、独特な口当たりで味がありますね。

(後編につづく)

<上原浩治(うえはら・こうじ)プロフィール>
1975年4月3日、大阪府生まれ。東海大仰星高時代は外野手兼投手。1浪して大阪体育大に入学後、投手として頭角を現す。97年のインターコンチネンタルカップでは日本代表に選ばれ、決勝では当時国際大会151連勝中だったキューバ相手に先発で勝利投手となる。99年、ドラフト1位で巨人に入団。1年目に20勝4敗の好成績で新人としては史上3人目の投手4冠(最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率)を達成。新人王と沢村賞を受賞する。04年にアテネオリンピック日本代表に選ばれ、銅メダル。06年のWBCにも出場し、優勝に貢献する。07年には抑えに転向し、球団新記録となる32セーブをマーク。08年オフにFA宣言し、ボルチモアオリオールズへ。移籍2年目の10年にはクローザーも務めた。11年も安定した投球を続け、シーズン途中にテキサスレンジャーズへトレード。チームはリーグ優勝を果たした。今季終了時までの通算成績はNPB276試合、112勝62敗33セーブ、防御率3.01。MLB120試合、5勝9敗13セーブ、防御率3.13。
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 今回、上原浩治選手と楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)
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