20日、日本サッカー協会(JFA)は2012年の各日本代表の試合日程を発表した。A代表が2月24日のアイスランド戦(大阪・長居)との親善試合で1年をスタートし、同29日の3次予選(ウズベキスタン戦、埼玉)を経て6月からの最終予選に臨む。U-22代表は2月から五輪切符をかけ、最終予選の残り3試合に挑む。既に五輪出場を決めている女子日本代表「なでしこジャパン」は、2月29日〜3月7日にかけて、強豪国が参加するアルガルベカップ(ポルトガル)に参加する。会見にはA代表のアルベルト・ザッケローニ監督、U-22代表・関塚隆監督、なでしこジャパン佐々木則夫監督が揃って出席し、今年を振り返るとともに、来年の抱負を述べた。
(写真:左から佐々木監督、関塚監督、ひとり置いてザッケローニ監督)
 2011年の日本サッカー界を盛り上げたのは、何と言ってもなでしこジャパンだ。夏のドイツW杯では開催国・ドイツ、アメリカとの死闘を制し、世界女王の座に就いた。
「日本のみなさんに元気、勇気、希望を与えることができたと思う」
 国民栄誉賞にも輝いた快挙を佐々木監督は改めて、そう振り返った。

 さらに9月に行われた五輪最終予選は、11日間で5試合を戦うという厳しい日程。W杯の優勝後、国内では“なでしこフィーバー”が起こり、代表選手たちは多忙を極めるなかでの予選だった。「W杯とは違うチームとして戦うしかない」と指揮官が明かす状況ながら、選手たちは一丸となって勝ち点を積み上げ、4勝1分の1位で五輪出場権を獲得した。「苦しい展開ではあったが、来年のロンドンにつなげられた」と佐々木監督も安堵の表情をみせた。

「我々はW杯で優勝したが、ドイツ戦もアメリカ戦も主導権を握って勝ったわけではない。五輪では、主導権を握った上で、金メダルを獲る」
 金メダルを目標に掲げる佐々木監督率いるなでしこたちに、協会も最大限のバックアップ体制を敷いた。まず2月の後半からはポルトガルに渡って実戦を重ね、4月にはブラジル、米国と五輪でもライバルになる両国を招いてキリンチャレンジカップ2012を実施する。

「ブラジルとはあまり戦ったことがないし、ヨーロッパとは違うスタイル。ブラジル相手に何ができて、何ができないのかを確認したい。またアメリカ戦では、アメリカと試合したことがない選手たちに経験をさせたい。その上でガツンとやられても、(五輪前に)足下を見つめ直すいい機会になると思う」
 さらに五輪直前の6月には欧州遠征の実施も計画。世界女王が万全の準備を経て、本番に挑むことになる。

 なでしこに負けられないのが、同じく五輪出場を目指すU-22代表だ。現在、最終予選は3戦3勝。無条件で出場権を得られるグループ1位にはもっとも近い場所にいる。だが、来年2月にはシリア戦(同5日)、マレーシア戦(同21日)ともにアウェーでの試合を控えている。関塚隆監督も「アウェーをいかに戦うか」と油断はしていない。今後は12月にコンディションチェックのための短期合宿を実施し、1月にはグアムで合宿を行う。

 前回の北京大会に参加した長友佑都(インテル)や本田圭佑(CSKAモスクワ)らは、五輪をきっかけに成長を遂げ、世界へ大きくはばたいた。現在のU-22世代にも清武弘嗣(C大阪)や原口元気(浦和)など、すでにA代表にも選ばれるほど能力の高い選手がU-22世代にいる。「五輪に出て世界のレベルを知り、その上で堂々と戦いたい」と関塚監督。男子サッカーのレベルアップのためにも、五輪の出場権は絶対に落とせない。

 A代表にとっても2011年は収穫のある1年だった。
「アジア杯の準備期間が短くて、(1年の)最初から大変な年になった」とザッケローニ監督が振り返ったように、1月にはザックジャパン初の国際大会となるアジア杯に臨んだ。「アジア杯の1カ月間を一緒に過ごすことで、日本人スタッフとイタリア人スタッフの融合がはかどった。11年を戦い抜くにあたって、いい礎を築けたと思う」と指揮官は語る。アジア杯では一戦ごとに力をつけ、決勝では延長の末にオーストラリアを下して優勝。8月には韓国から37年ぶりに3ゴールを奪って快勝した。ブラジルW杯アジア3次予選も2試合を残して最終予選進出を決めた。

 来年6月からはW杯最終予選の戦いの火ぶたが切って落とされる。最終予選は13年6月まで続く長丁場だ。「(最終予選は)できるだけ勝ち点を稼ぎ、できるだけ短距離で目標に達するように最善を尽くす」とザッケローニ監督は意気込みをみせた。ひとつのヤマになるのが、6月にやってくる3連戦。この時期は国内組はシーズン中だが、海外組はオフとなり、調整が難しい。ザッケローニ監督は「3連戦には慣れていない。(相手には)西アジア、中東の国が入ってくるだろう。なので、細心の注意を払ってスケジュールを組む」と予選前にミニキャンプなどを張るプランを明かした。

 また、W杯を見据え、「他の大陸との試合で経験を積むことで世界との戦い方を覚えないといけない。また、外に出ていき、アウェーの戦い方、チームとしてのパーソナリティを高める必要がある」との考えを披露。協会では監督の意向に沿って国内の強化試合のみならず、秋に海外遠征を予定している。

○2012年日本代表試合スケジュール

 A代表試合日程
2月24日 対アイスランド代表(親善試合、長居)
2月29日 対ウズベキスタン代表(W杯3次予選、豊田ス)
6月3日 相手未定(W杯最終予選、埼玉)
6月8日 相手未定(W杯最終予選、埼玉)
6月12日 相手未定(W杯最終予選、アウェー)
8月15日 相手未定(親善試合、札幌ド)
9月7日 相手未定(親善試合、東北電ス)
9月11日 相手未定(W杯最終予選、埼玉)
10月(詳細日未定) 海外遠征
11月14日 相手未定(W杯最終予選、アウェー) 

 U-22日本代表試合日程
2月5日 対U-22シリア代表(五輪最終予選、アウェー)
2月22日 対U-22マレーシア代表(五輪最終予選、マレーシア)
3月14日 対U-22バーレーン代表(五輪最終予選、国立)
5月23日〜6月2日 ツーロン国際大会(フランス)
7月26日〜8月11日 ロンドン五輪(イギリス)

 女子日本代表(なでしこジャパン)試合日程
2月29日〜3月7日 アルガルベカップ(ポルトガル)
4月1日 対アメリカ女子代表(親善試合、ユアスタ)
4月5日 対ブラジル女子代表(親善試合、ホームズ)
6月16日〜同21日 海外遠征(欧州)
7月11日 相手未定(親善試合、国立)
7月25日〜8月9日 ロンドン五輪(イギリス)